賃金制度

日立、全世界で共通の人事制度を構築。管理職に世界共通のグレード制度を導入して日本国内の管理職の賃金から年功的要素を廃止

報道では日立の管理職が年功序列を廃止という衝撃的な見出しをつけて取り上げられましたが、日立が世界の管理職の処遇を共通化することで日本国内に限ると年功的な要素がなくなったことが明らかになりました。

日立、世界共通の賃金制度導入 年功序列見直しで 競争力アップ+(1/2ページ) – MSN産経ニュース 2014.9.26 23:23

 電機など大手企業で年功序列制度から、仕事の内容や成果に応じた賃金制度を本格導入する動きが相次いでいる。日立製作所は26日、10月から国内の課長級以上の管理職を対象に、仕事の内容や成果に応じた人事・賃金制度を導入すると発表した。大手企業の一部はかつて、コスト削減の一環として成果主義の賃金制度を導入したが、評価法などの難しさから取りやめたところも多い。今回の動きは、事業のグローバル化が急速に進展する中、賃金制度を世界基準にしないと競争力確保が難しくなったという側面が大きい。

 日立の現行の賃金制度は、年齢や勤続年数などに応じた資格や職位を基準とする年功序列の色彩の強いものだった。10月からは世界共通の指針に沿い、自身が今担っている仕事内容や責任の重さなどに照らした目標を設定し、その成果を直接給与や昇級などに反映させる仕組みに変更する。

 対象となるのは、日立の国内全社員の3分の1に相当する約1万1千人の管理職で、今後、一般社員などへの拡大も視野に入れる。

(略)

ニュースリリース:2014年9月26日:日立

人事制度は賃金制度と連動していることが多いので、理念的には別物でも実質的には表裏一体となっていることが実際です。

端的に言うと、日立の管理職の人事制度は、すでに日本の伝統的な職能等級制度からは脱皮していましたが、資格給と職位加算給の合体という内容であったとのことです。

これは、上記リリース内の説明からうかがわれる限りでは、職能資格制度と、アメリカで生まれた職務等級制度を日本風にアレンジした役割等級制度の中間程度のものであったようです。しかし、それでもまだ整理しきれていない職位があるなどの理由から、役割等級で全世界の仕事を貫くことで役割に応じて賃金を支給する仕組みを全世界で展開することになるもようです。

もっとも、役割等級制度を日本で導入している企業はすでに出ていますが、その運用の実際には年功序列的な様相を呈している例があることがすでに指摘されているところです。

やはり重要になってくるのは運用であり、特に人事考課制度における基準とその評価が極めて重要になってくると思われます。

日立が年功序列を廃止というと衝撃的に聞こえますが、本当にそういえるかは運用の実際が明らかになってからというところが実際のところでしょう。

明治安田生命、賃金制度を改めて、正社員と限定正社員と同一の賃金テーブルとすることを可能にする仕組みを導入へ

明治安田生命が、正社員の賃金制度を再編成することが報道されました。日経の報道によると、同一賃金同一労働、男女での違いがなくなるといった捉えられ方をされているようですが、報道中で言及された内容から分析すると、ただいま注目を集めている限定正社員と正社員の賃金制度の接続を可能にするようなものであるように見受けられ、限定正社員の活用が促されている昨今の情勢と軌を一にする改正と思われます。

明治安田生命は、この報道に先だって一般職を地域総合職とするという制度変更が行われることが報道されており、これに連続するものと思われます。

女性社員、男性と同一業務なら賃金同じ 明治安田  :日本経済新聞 2014/8/9 23:39 日本経済新聞 電子版

 明治安田生命保険は2015年度から、同じ業務をしていれば職種が違っても給料を同じにする「同一労働・同一賃金」制度を正社員に導入する。これまでは転勤の有無により賃金表が異なり、業務に対して支払われる賃金が不透明だった。転勤のない職種は女性がほとんどで、待遇の改善で活躍を後押しする。全国型の総合職には転勤が伴う分、給料を加算する。

(略)

上記のとおり、基本給を業務に対する対価として位置づけることで、人事異動の可能性によって差をつけるのをやめることで、この点では同一賃金同一労働となることになります。

一方で、伝統的な意味での総合職の有する人事異動の可能性に対しては、加算によって違いを設けるという整理となる模様です。

この人事に関する加算が手当になるのかは不明ですが、人事異動の可能性に対する対価が、画一的な手当では納得感の点から難しいかもしれません。昨今は基本給表を複数設けて加算するという賃金の決め方もありますので、等級ごとに加算される金額を変えるということもあるかもしれません。

また、最近の賃金制度設計の実例として、本件のように担当する業務に対する基本給と、職能等級的な意味での役割に対する基本給の合算で基本給を決めるという仕組みも見受けられてきています。

賃金テーブルをわけて、職種ごとに別の世界として管理するのがセオリーでしたが、人材確保の観点が重要になってきた昨今、一部の賃金テーブルは共通にすることで基本的には、正社員と同じ待遇なのであるということを強調する向きが出てきている模様です。