行政事件訴訟法

健常者向けのあん摩師養成校の設置を不許可とされた平成医療学園が取消訴訟を提起

大阪地裁、市民団体が大阪府と堺市に対して、シャープに対して堺工場建設以来続けている財政支援について公益性がなく違法であるとして、差止を求めた訴訟で請求を棄却

東京地裁、断熱フィルムに関して消費者庁が出した排除措置命令について、発売元の申立てにより執行停止を命じる

消費者庁が出した景品表示法の排除措置命令について執行停止が認められた初の事例が出たことが明らかになりました。

省エネが重要なテーマになって以降、断熱フィルムが注目されていますが、そのフィルムについて効果がないとして、排除措置命令を消費者庁が出しましたが、これに対して、製造販売元である翠光トップラインらが、取消訴訟、国会賠償訴訟を提起しましたが、その前に執行停止の申し立てをしていました。

東京地裁はこれを認め、執行停止を命じたことが明らかになりました。

消費者庁の発表

弊社に対する措置命令に関するお知らせ|株式会社 翠光トップライン

措置命令の取消訴訟等の提起のお知らせ|株式会社 翠光トップライン

東京地方裁判所による執行停止の決定に関するお知らせ|株式会社 翠光トップライン

同社によると決定の主文は以下の通りとされています。

主 文
消費者庁長官が平成27年2月27日付けで申立人株式会社翠光トップラインに対して行った不当景品類及び不当表示防止法6条に基づく措置命令(消表対第254号)及び同日付けで申立人株式会社ジェイトップラインに対して行った同条に基づく措置命令(消表対第255号)は、本案事件の第一審判決の言渡しまでその効力を停止する。

 

まだ本案の帰趨は定まっていませんが、活発化している消費者庁の権限行使に対して、事業者側の対応パターンの一つとして興味深い展開を見せているといえそうです。

大阪地裁、市職員の労働組合が提起した大阪市による市庁舎内の事務所の使用不許可処分の取消訴訟で請求を認容して、処分を取消

橋下市長になってから大阪市において、市職員労組との対立的な出来事がいくつか起きましたがそのうちの一つに、労働組合の事務所を市庁舎内から退去させたというものがありました。

この件について、取消訴訟が提起されていましたが、大阪地裁は組合側の請求を認めて、処分の取り消しのほか損害賠償も認めました。

大阪市労組事務所、退去の取り消し命じる判決 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 2014年09月11日 00時57分

大阪市が市役所庁舎から職員労働組合の事務所を退去させたことの是非が争われた2件の訴訟の判決で、大阪地裁は10日、市労働組合連合会(市労連)など計8団体の訴えを認め、市に退去の取り消しと計約410万円の損害賠償などを命じた。

中垣内なかがいと健治裁判長は「事務所を退去させるのは、憲法が保障する職員の団結権の侵害。市長の裁量権を逸脱、乱用しており、違法だ」と述べた。

 橋下徹市長と労働組合の対立を巡る司法判断は初めて。市は、組合への便宜供与を禁じる条例を退去の根拠にしていたが、判決は「違法行為を適法とするための条例の運用は違憲で、無効」と言及した。

判決によると、8団体は1982年以降、市の許可を受け、庁舎地下1階の6部屋を事務所として使っていたが、市は2012年1月、「行政事務のスペースが足りない」として同年3月末での退去を通告。6団体が応じ、空き部屋には市の各局が入った。残る2団体は通告に従わず、現在も部屋を使用している。

 判決は、11年12月の就任当時、橋下市長は使用を許可する意向だったが、組合が同年の市長選で対立候補を支援するため庁舎内で政治活動をしたと市議会で指摘された直後、方針転換したと認定。「行政事務のスペース不足ではなく、政治活動の防止が目的。組合活動に著しい支障が生じると認識し、団結権を侵害する意図があった」とした。

 そのうえで「事務所で政治活動があった証拠はなく、退去は社会通念に照らして著しく妥当性を欠く」として、6団体に対する庁舎使用の不許可処分を取り消し、庁舎に残る2団体についても今年度の部屋の使用を許可するよう命じた。

(略)

労使間の争いを解決する機関には裁判所と別に労働委員会があり、大阪府労働委員会は今年2月、事務所退去を不当労働行為と認定。市が中央労働委員会に再審査を申し立てている。

(略)

使用者から労働組合への便宜供与は、労働組合性を失わせるという意味で許されませんが、必要最低限の組合事務所の貸与は例外とされています。

そのため、一般的な会社において、これまで貸与してきたものをいきなり退去させたとなれば、不当労働行為になることは堅いと思われます。しかし、本件の特殊性は、あくまで民主な統制に服する地方自治体においてのことであり、特に便宜供与を禁止する条例があるという点にあります。

それでも、便宜供与にそもそも当たらないと解されていることからすれば、やはり不当労働行為ということになるでしょう。判決全文は確認できていませんが、上記報道によると、事実認定において、当初は許可の意向だったのに一転したなどの事実が指摘されていることから、不当労働行為の意思があったので、権限の濫用があるのだという構成になっているものと思われます。ここからいくと、便宜供与ではあるが権限行使は濫用という構成をとっていると推測されるところです。

あくまで行政処分の取消訴訟であるという点に配慮した構成をしているのではないかと思われます。もっとも、行政上の必要性がある公の施設において貸与を続けないといけないのかは、別の問題であり、本件の構成をかんがみると、事情によっては組合事務所を貸与しなくても不当労働行為にはならない場面がありうるものと思われます。

裁判例情報

大阪地裁平成26年9月10日判決