民事執行法

東京高裁、厚木市内の建物を暴力団事務所として使用することを禁じる仮処分命令に反したとして、周辺住民による間接強制の申立てが一部却下されたことに対する執行抗告審で、1日100万円の支払命令

昨今の山口組の抗争状態のため暴力団事務所として使用しないことを命じる仮の地位を定める仮処分命令に反したとして、間接強制の申立てがなされたという事件がありまして、報道からは詳細が不明なところがあるのですが、興味深い点がありましたので、取り上げます。

 

山口組系に制裁金、東京高裁認める 「事務所禁止」巡り  :日本経済新聞 2016/8/18 1:06

暴力団山口組系の3次団体が、神奈川県厚木市内の建物を事務所として使うことを禁じた仮処分に従わなかったとして、周辺住民が3次団体側に、使用した場合に1日100万円を支払うよう求める間接強制を申し立て、東京高裁が認める決定をしていたことが分かった。住民側弁護団が17日、明らかにした。決定は10日付。

 弁護団によると、横浜地裁小田原支部が2003年、この建物を事務所として使用するのを禁止する仮処分決定を出した。だが今年2月、建物にトラックが突っ込む事件が発生。山口組と暴力団神戸山口組の抗争とみられ、不安を訴える住民側が5月、同支部に間接強制を申し立てた。

 同支部は6月、03年の仮処分は現在の「6代目山口組」とは異なる「5代目山口組」の傘下組織に対するものだったとして、申し立てを一部却下。住民側が不服として執行抗告していた。

(略)

 

いわゆる仮の地位を定める仮処分で不作為債務の場合には、仮処分命令で直ちに金銭の支払いを命じられるわけではなく、改めて間接強制を申し立てる必要があり、授権決定を経て、それを債務名義として金銭執行をするということになります。

報道によりますと、住民が2003年に事務所として使用しない旨の仮処分決定を得たものの、ここにきて対立抗争によってトラックが突っ込む事件が発生したことから、使用している状態にあるとして間接強制の申し立てがされた模様です。

他の報道によりますと、組側は住んでいるだけとの言い分がある模様で、申尋でこれを言ったのかは定かではないのですが、まずはこの点がポイントとなりそうです。

また、二点目のポイントして、仮処分命令の債務者と現在の債務者が異なるという主張がされたことが報道からうかがわれます。

暴力団が法人組織などではないことから、個人が債務者とすると、代替わりによって異なるという理屈になりそうで、非常に問題と感じられます。

この点をどのように解釈したのかは定かではないのですが、東京高裁は、横浜地裁小田原支部の一部却下の決定に対する執行抗告を認めていますので、ここは債務者は同じであるという見解をとったものと思われます。

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