労働組合法

両備バス労働組合、新規バス路線の参入をめぐり中国運輸局の認可は違法と主張してストライキを実施

岡山市内のバスの新規参入をめぐって両備ホールディングスが問題提起していましたが、労働組合も雇用が脅かされるとしてストライキを行って、当局の認可に対して抗議をする事態になっています。

両備バス労組が時限スト 八晃の新路線参入巡り抗議  :日本経済新聞 2018/4/23 19:59

両備ホールディングス(HD)のバス事業の労働組合、両備バス労働組合(岡山市)は23日、岡山市の中心部と東部を結ぶ主力路線を対象に、午後1時から1時間のストライキを行った。同路線への八晃運輸(同)の「めぐりん」の参入を巡り、岡山市の道路占用許可に不備があり、「中国運輸局の認可は違法」と主張。参入で黒字が圧迫され、路線網や賃金、雇用を守れなくなるとしている。

 両備HDによると、ストで上下計16本が運休し約200人に影響が出たという。同社の主力である西大寺線には、八晃運輸が低運賃循環バス「めぐりん」の新路線の参入を申請。中国運輸局が2月に認可し、八晃は今月27日の運行開始を予定している。

 岡山市で開いた決起集会には、組合員ら約200人が参加。高木秀治執行委員長は「地域の方には迷惑をかけるが、今回の参入はどう考えてもおかしい」と訴えた。同労組は26日に西大寺線で時限スト、27日は全路線で終日ストを予定。同じ両備グループの岡山電気軌道労組でも、27日にバスと路面電車の全路線で終日ストを計画している。

 

両備ホールディングスのウェブサイトでは、ストライキの趣旨を組合は以下のように主張している模様です。

ストライキ通告書について | 両備グループ ポータルサイト – Ryobi Group -

1.趣旨

①現在両備バスが運行している西大寺線に対して、競合他社であるH社が新規参入してきたが、同社の参入は不当に低廉な運賃での参入であり、これにより両備バスは著しい業績悪化(年間約1億6000万円の減収)が見込まれる。

②上記の業績悪化により、両備バス労働組合員の大幅な減収が見込まれるほか、事業存続の為、複数の赤字路線が廃止されるおそれもあり、最悪の場合両備バス労働組合員の雇用が危ぶまれる。

③かかる事態を回避し、組合員の雇用と生活を維持するために、争議行為を行うとともに、上記の不当な認可を行った行政に対しても抗議をしていく。

 

雇用が脅かされるとはしているものの、今回の事態は会社が招いたわけではなく、行政への抗議ともされています。

すると、使用者に処分することのできない問題に対してストライキをしていることになりかねず、いわゆる政治ストにすぎない可能性があります。

このような態様のストライキに正当性があるかについては、議論のあるところです。

政治ストに理解を示す学説だと、労働法制に関する主張のストライキは許されるのではないかとしているくらいですので、今回のも正当性があるとするのかもしれませんが、菅野説では、使用者に処分できない、団交で解決できる問題でないならば正当性がないのではないかとされているので、この立場では正当性がないことになりそうです。

上記ウェブサイトでは会社は特に見解を示していませんが、私見では法的には微妙なストライキなのではないかと感じるところです。

大阪地裁、市職員の労働組合が提起した大阪市による市庁舎内の事務所の使用不許可処分の取消訴訟で請求を認容して、処分を取消

橋下市長になってから大阪市において、市職員労組との対立的な出来事がいくつか起きましたがそのうちの一つに、労働組合の事務所を市庁舎内から退去させたというものがありました。

この件について、取消訴訟が提起されていましたが、大阪地裁は組合側の請求を認めて、処分の取り消しのほか損害賠償も認めました。

大阪市労組事務所、退去の取り消し命じる判決 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 2014年09月11日 00時57分

大阪市が市役所庁舎から職員労働組合の事務所を退去させたことの是非が争われた2件の訴訟の判決で、大阪地裁は10日、市労働組合連合会(市労連)など計8団体の訴えを認め、市に退去の取り消しと計約410万円の損害賠償などを命じた。

中垣内なかがいと健治裁判長は「事務所を退去させるのは、憲法が保障する職員の団結権の侵害。市長の裁量権を逸脱、乱用しており、違法だ」と述べた。

 橋下徹市長と労働組合の対立を巡る司法判断は初めて。市は、組合への便宜供与を禁じる条例を退去の根拠にしていたが、判決は「違法行為を適法とするための条例の運用は違憲で、無効」と言及した。

判決によると、8団体は1982年以降、市の許可を受け、庁舎地下1階の6部屋を事務所として使っていたが、市は2012年1月、「行政事務のスペースが足りない」として同年3月末での退去を通告。6団体が応じ、空き部屋には市の各局が入った。残る2団体は通告に従わず、現在も部屋を使用している。

 判決は、11年12月の就任当時、橋下市長は使用を許可する意向だったが、組合が同年の市長選で対立候補を支援するため庁舎内で政治活動をしたと市議会で指摘された直後、方針転換したと認定。「行政事務のスペース不足ではなく、政治活動の防止が目的。組合活動に著しい支障が生じると認識し、団結権を侵害する意図があった」とした。

 そのうえで「事務所で政治活動があった証拠はなく、退去は社会通念に照らして著しく妥当性を欠く」として、6団体に対する庁舎使用の不許可処分を取り消し、庁舎に残る2団体についても今年度の部屋の使用を許可するよう命じた。

(略)

労使間の争いを解決する機関には裁判所と別に労働委員会があり、大阪府労働委員会は今年2月、事務所退去を不当労働行為と認定。市が中央労働委員会に再審査を申し立てている。

(略)

使用者から労働組合への便宜供与は、労働組合性を失わせるという意味で許されませんが、必要最低限の組合事務所の貸与は例外とされています。

そのため、一般的な会社において、これまで貸与してきたものをいきなり退去させたとなれば、不当労働行為になることは堅いと思われます。しかし、本件の特殊性は、あくまで民主な統制に服する地方自治体においてのことであり、特に便宜供与を禁止する条例があるという点にあります。

それでも、便宜供与にそもそも当たらないと解されていることからすれば、やはり不当労働行為ということになるでしょう。判決全文は確認できていませんが、上記報道によると、事実認定において、当初は許可の意向だったのに一転したなどの事実が指摘されていることから、不当労働行為の意思があったので、権限の濫用があるのだという構成になっているものと思われます。ここからいくと、便宜供与ではあるが権限行使は濫用という構成をとっていると推測されるところです。

あくまで行政処分の取消訴訟であるという点に配慮した構成をしているのではないかと思われます。もっとも、行政上の必要性がある公の施設において貸与を続けないといけないのかは、別の問題であり、本件の構成をかんがみると、事情によっては組合事務所を貸与しなくても不当労働行為にはならない場面がありうるものと思われます。

裁判例情報

大阪地裁平成26年9月10日判決

中労委、大阪市が行った職員に対する組合活動の調査を不当労働行為の支配介入と認定

大阪市においては橋下市長が就任後に世間的な注目の下に行われた職員に対する組合活動に関するアンケート調査ですが、組合側が大阪府労働委員会に救済命令の申し立てをして、不当労働行為と認定され救済命令が出ていました。

これに対して大阪市は中央労働委員会に再審査の申し立てをしていましたが、27日に、府労委と同じく不当労働行為の支配介入と認定されたことが明らかになりました。

中労委命令の概要

現時点では概要しか公表されておらず、細かい判断は難しいものがありますが、判断の決め手は3つあるようにうかがわれます。

  • 業務命令で早期回答を命じていること
  • 内容が無限定であり、組合活動全般や組合の内部の問題にわたっていること
  • 当時の状況からみても組合を弱体化させようとする意図を持っていたこと

これらの指摘から行くと、むしろアンケートのやり方によっては、支配介入にならないやり方がありえたようにもうかがわれるところであり、職務専念義務から就業時間中の組合活動などはなしえませんので、その調査のために何らかの方法で行うことそのものはありうるところなのでしょう。