人材不足が強まってきていることから、人材確保の観点から様々な人事制度の導入が試みられていますが、その一例として興味深いものが報道されましたので取り上げます。
コープさっぽろ、パート定年65歳まで延長 :日本経済新聞 2015/11/5 10:50 日本経済新聞 電子版
コープさっぽろは2016年度、高齢化社会に対応した新しい人事制度を導入する。パート・アルバイトの定年を現在の60歳から65歳に延長。親の介護などで退職せざるを得ない正社員については、5年以内なら同じ処遇で復職できるようにする。流通業で人手不足の問題が深刻になるなか、高齢化社会の進行に合わせて人事制度を見直し、優秀な人材の流出を防ぐ。
(略)
報道によると柱は①パートの定年を60歳から65歳にすることと、②介護等の理由で離職した正社員は5年以内ならものと処遇で復職を認めるというものです。
(1)定年の延長
定年を65歳にするという点ですが、定年という言い方をしているのだとすると期間の定めのないパート社員なのかと思いますが、従来から希望があれば68歳まで雇用延長をしていたとのことです。
しかし、賃金体系は安いものに変わるとのことで、業務内容も軽作業中心となっているとのことでした。
これは別にパート社員についてのものではなく、高年齢者雇用安定法によって要請される無期社員に対する継続雇用措置の内容として適切な内容であると評価されます。
高年齢者雇用安定法による継続雇用の場合には労働条件は自由に設定できますが、業務内容もそれに合わせたものになることが要請されるのは当然のこととされています。
このような高年齢者雇用安定法による継続雇用義務が、正社員の継続雇用以外にも適用されるのかは、実は別論なのですが、それはさておき、その趣旨を汲んだ人事制度を導入していたところ、さらに進めて、定年を延長し、賃金体系はそのままにして業務内容もそのままにするというところに意味があるわけです。
(2)5年以内の復職
二つ目の特徴である復職の制度は類例がそれほどあるわけではなく、大変注目される仕組みと思われます。
復職とはいうものの法的には再度採用するということでしょうから中途採用ということになるかと思われますが、報道から読み取れる限りでは、希望があれば自動で復職を認めることになりかねず、募集のプロセスがなくなってしまいかねないようにも読みとれました。この点については詳細が分からないので何とも言えないのですが、大変意欲的であると同時に、若干、人事上はリスクにもなりうるように思われます。

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