不正競争防止法

経済産業省、「産業構造審議会 知的財産分科会営業秘密の保護・活用に関する小委員会」、中間とりまとめを公表 不正競争防止法の改正の方向性を打ち出す

不正競争防止法の改正の方向性については、すでにお伝えしていますが、中間とりまとめの形で内容がまとめられましたので取り上げます。

産業構造審議会 知的財産分科会 営業秘密の保護・活用に関する小委員会-「中間とりまとめ」について(METI/経済産業省)

簡単にまとめると以下の通りです。

  1. 営業秘密の不正取得・領得の国外犯処罰規定の新設
  2. 営業秘密の取得及び使用・開示行為について、未遂処罰化
  3. 営業秘密の転得者の処罰規定の新設
  4. 営業秘密侵害品(営業秘密を不正に使用して生産された物品)であることを知って、故意でそれを譲渡・輸出入等する行為を処罰対象化
  5. 罰金刑の引き上げ
  6. 営業秘密侵害罪の非親告罪化
  7. 民事訴訟における被害企業の立証負担の軽減
  8. 営業秘密侵害行為の差止請求権について除斥期間を20年に延長
  9. 営業秘密侵害品について譲渡・輸出入等する行為を差止・損害賠償の対象化

中間とりまとめでは上記の5の罰金刑については、金額までは明記されていませんが、報道では10億円とする方向と報道がされています。また、5の関連で「海外重課」と言及されていますが、海外の企業が行った場合には重く取り扱うことも中間とりまとめで言及されています。利益没収についても規定を置くことが明記されています。

営業秘密というと技術的なものがまず想起され、実際に大きな問題となって金額も巨額の損害賠償となって顕在化しているのは技術情報なのですが、顧客情報等も入ることから、人事労務管理の問題にもなるところです。

問題状況は広いということも再確認したいところです。

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2015.01.18 法律関係tweetまとめ

[twitter only]川内原発の再稼働差止めをめぐって、申立人の住民の一部が申立てを取り下げたことが判明。九州電力が再稼働が遅れると1日5億5千万円の損害を被るとして賠償に備えて担保金を積むように申立てていることなどが影響している模様。

[twitter only]アメリカ連邦最高裁、合衆国国憲法のもとで同性婚が認められるか審理をすることを発表(1月16日)。同性婚を禁じている州法の合憲性の判断というかたちになる。

[twitter only]経済産業省 産業構造審議会 知的財産分科会 営業秘密の保護・活用に関する小委員会、中間取りまとめ案を了承(1月15日)。不正競争防止法を改正して企業秘密の漏えいについて、未遂処罰、非親告罪化、罰則の強化などが盛り込まれる内容。

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2014.12.23 法律関係tweetまとめ

[法律]東芝、韓国SKハイニックスがNAND型フラッシュメモリーの研究データを不正に入手したとして提起した損害賠償請求訴訟で330億円の支払いを受けることで和解(12月19日)。同社は東芝の主張を一部認めたとみられる。知的財産をめぐる訴訟で日本企業が得た和解額としては過去最大。

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ヤマザキマザックの機密情報不正取得事件で中国籍の元社員に有罪判決

すでにこのブログでも取り上げたことのあるヤマザキマザックの機密情報不正取得事件ですが、改正不正競争防止法の初適用で注目されたところ、有罪判決が出たことが明らかになりました。

ヤマザキマザック 中国人元社員有罪 情報不正取得 – SankeiBiz(サンケイビズ) 2014.8.21 04:30

工作機械大手ヤマザキマザック(愛知県大口町)から部品の設計図などの機密情報を不正に取得したとして、不正競争防止法違反罪に問われた中国籍の元社員、唐博被告(34)に名古屋地裁(景山太郎裁判長)は20日、懲役2年、執行猶予4年、罰金50万円(求刑懲役2年、罰金100万円)の判決を言い渡した。被告側は控訴する方針。事件は利益のために企業秘密を持ち出すことを処罰対象とした改正不正競争防止法を適用した初のケース。企業秘密保護のため被告人質問を初めて非公開で行った。

この件では、平成21年の改正法によって導入された不正の利益目的での情報の取得罪が初めて適用されたという点と、平成23年改正で導入された刑事手続きの特例が初めて行われたという点において先駆的意義がある事案となっています。

不正競争防止法

第五章 罰則

(罰則)

第二十一条  次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、詐欺等行為(人を欺き、人に暴行を加え、又は人を脅迫する行為をいう。以下この条において同じ。)又は管理侵害行為(財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律 (平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項 に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の保有者の管理を害する行為をいう。以下この条において同じ。)により、営業秘密を取得した者

 詐欺等行為又は管理侵害行為により取得した営業秘密を、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、使用し、又は開示した者

(略)

第六章 刑事訴訟手続の特例

(営業秘密の秘匿決定等)

第二十三条  裁判所は、第二十一条第一項の罪又は前条第一項(第二十一条第一項第一号、第二号及び第七号に係る部分に限る。)の罪に係る事件を取り扱う場合において、当該事件の被害者若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、当該事件に係る営業秘密を構成する情報の全部又は一部を特定させることとなる事項を公開の法廷で明らかにされたくない旨の申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、その範囲を定めて、当該事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。

 前項の申出は、あらかじめ、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

 裁判所は、第一項に規定する事件を取り扱う場合において、検察官又は被告人若しくは弁護人から、被告人その他の者の保有する営業秘密を構成する情報の全部又は一部を特定させることとなる事項を公開の法廷で明らかにされたくない旨の申出があるときは、相手方の意見を聴き、当該事項が犯罪の証明又は被告人の防御のために不可欠であり、かつ、当該事項が公開の法廷で明らかにされることにより当該営業秘密に基づく被告人その他の者の事業活動に著しい支障を生ずるおそれがあると認める場合であって、相当と認めるときは、その範囲を定めて、当該事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。

 裁判所は、第一項又は前項の決定(以下「秘匿決定」という。)をした場合において、必要があると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、決定で、営業秘密構成情報特定事項(秘匿決定により公開の法廷で明らかにしないこととされた営業秘密を構成する情報の全部又は一部を特定させることとなる事項をいう。以下同じ。)に係る名称その他の表現に代わる呼称その他の表現を定めることができる。

 裁判所は、秘匿決定をした事件について、営業秘密構成情報特定事項を公開の法廷で明らかにしないことが相当でないと認めるに至ったとき、又は刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)第三百十二条 の規定により罰条が撤回若しくは変更されたため第一項 に規定する事件に該当しなくなったときは、決定で、秘匿決定の全部又は一部及び当該秘匿決定に係る前項の決定(以下「呼称等の決定」という。)の全部又は一部を取り消さなければならない。

上記の他、日経の報道によると、営業秘密に当たるかという点において情報の内容や管理体制について検討をしており、不正の利益目的の認定において、中国の知人とのチャットの内容が証拠として検討されている模様です。

改正法で新設されたのでも当然のこと目的犯であることは変わっていないため、証拠の収集においてもう一段必要性があるということなのだと思われます。

被告人はただちに控訴していますが、仮にその先までいって最高裁まで争った場合にはこの改正法が憲法違反だとする主張をすることになるのでしょう。