Month: 1月 2018

被保佐人となったことで警備員の失職を余儀なくされたとして、元警備員の男性が警備業法所定の警備員の制限を違憲として国家賠償請求訴訟と会社に対して地位確認の訴えを提起

憲法訴訟と労働訴訟を共同訴訟にした訴訟が提起された模様でして、特徴的なので取り上げます。

成年後見利用で失職は違憲、岐阜の警備員男性が提訴  :日本経済新聞 2018/1/10 11:39 (2018/1/10 13:43更新)

成年後見制度利用者の就業を認めない警備業法の規定は、職業選択の自由を保障した憲法に違反するなどとして、勤務先の警備会社を退職せざるを得なくなった岐阜県の30代男性が10日、国に100万円の損害賠償と、会社に社員としての地位確認を求める訴訟を岐阜地裁に起こした。

 男性の代理人弁護士によると、男性は軽度の知的障害がある。2014年4月から県内の警備会社で警備員として勤務していたが、家族間のトラブルに悩んでいたことから、17年2月に成年後見制度を利用し、障害者支援団体を「保佐人」として自身の財産管理を任せるようになった。

 その後、会社から、警備業法の規定で制度の利用者は勤務を続けられないとの指摘を受け、同3月に退職を余儀なくされたという。

(略)

問題とされているのは、以下の規定です。

警備業法

(警備業の要件)

第三条 次の各号のいずれかに該当する者は、警備業を営んではならない。

一 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの

二 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者

三 最近五年間に、この法律の規定、この法律に基づく命令の規定若しくは処分に違反し、又は警備業務に関し他の法令の規定に違反する重大な不正行為で国家公安委員会規則で定めるものをした者

四 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者

五 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第十二条若しくは第十二条の六の規定による命令又は同法第十二条の四第二項の規定による指示を受けた者であつて、当該命令又は指示を受けた日から起算して三年を経過しないもの

六 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者

七 心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定めるもの

八 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が警備業者の相続人であつて、その法定代理人が前各号及び第十号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。

九 営業所ごと及び当該営業所において取り扱う警備業務の区分(前条第一項各号の警備業務の区分をいう。以下同じ。)ごとに第二十二条第一項の警備員指導教育責任者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者

十 法人でその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。)のうちに第一号から第七号までのいずれかに該当する者があるもの

十一 第四号に該当する者が出資、融資、取引その他の関係を通じてその事業活動に支配的な影響力を有する者

 

(警備員の制限)

第十四条 十八歳未満の者又は第三条第一号から第七号までのいずれかに該当する者は、警備員となつてはならない。

2 警備業者は、前項に規定する者を警備業務に従事させてはならない。

 

警備業法14条1項で端的に成年被後見人、被保佐人は、警備業を営めない欠格事由の一部を準用するかたちで警備員になれないとされており、これを職業選択の自由に反して憲法違反としているものです。

憲法訴訟としての争い方なども興味深いところですが、仮に違憲だったとしても、この方は解雇されたのか、やむを得ず自主的に退職したのかによっても、結論に影響が出てきそうに感じられます。

いずれにせよ非常に珍しい種類の問題であるといえましょう。

京都地裁、後見開始の審判をした家庭裁判所が成年後見人の事務の遂行状況を確認しなかったため、成年後見人が被後見人の預金払戻しを繰り返し多額の使途不明金を発生させたとして提起した国家賠償請求訴訟で、一部認容をして1300万円の支払を命じる

成年後見人による被後見人の財産の使い込みが問題視されるようになって久しいですが、使い込みについて、国の責任を肯定した裁判例が出ましたので取り上げます。

成年後見人の財産管理で使途不明金「家事審判官の監督責任」認定…国に1300万円賠償命令 京都地裁 – 産経WEST 2018.1.10 19:10

 成年後見人の財産管理で多額の使途不明金が生じたのは、京都家裁の家事審判官(裁判官)や調査官が監督を怠ったからだとして、京都府に住む被後見人の女性の兄が国に4400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(久保田浩史裁判長)は10日、家事審判官の責任を認め、国に約1300万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性の後見人は継母で、平成元年から女性が亡くなるまで約20年間、財産を管理。兄は女性の遺産相続人だった。継母は女性の預金口座から払い戻しを繰り返し、19年(2007年)3月以降で1900万円余りの使途不明金があったが、家事審判官は「後見事務の遂行状況は良好」などとして事態を把握せず、確認をしなかった。継母は2012年に死亡した。

 久保田裁判長は、家事審判官が19年(2007年)以降、継母の事務が適切に行われているか確認しなかったことを「成年後見人の監督の目的、範囲を著しく逸脱した」と指摘。継母はそれ以前にも使途不明金や不適切な支出が指摘されていたことを踏まえ、「確認の手続きを取っていれば、不適切な支出を防止できた」とした。

(略)

成年後見人の監督義務怠る 国に賠償命令 | NHKニュース 1月11日 0時53分

8年前に亡くなった女性の遺族が生前、成年後見人だった義理の母親に預金を繰り返し引き出されて使途不明となったのは、家庭裁判所の家事審判官などが後見人の監督義務を怠ったからだと訴えていた裁判で、京都地方裁判所は家事審判官の責任を認めて国におよそ1300万円の賠償を命じました。

8年前の平成22年(2010年)に70代で亡くなった女性は生前、成年後見人だった義理の母親に預金を繰り返し引き出されて使途不明となりました。
これについて、相続人である京都府に住む女性の兄が、家庭裁判所の家事審判官だった裁判官などが後見人を監督する義務を怠ったからだとして、国に対し4400万円の賠償を求める裁判を起こしていました。

 

成年被後見人がなくなり、その後、後見人もなくなったのですが、被後見人の相続人が後見人による使い込みと思われる事態を受けて、すでに後見人がなくなっていることから、国を監督義務違反を主張して訴えたという事案のようです。

現時点で判決全文が公開されていませんので詳細が不明なのですが、後見監督人の選任されていない事例である模様です。

後見人による使い込みについて国の監督責任を認めるということになりますと、大変大きな意味がありそうな事案ですが、本件では、かねてより使途不明金や不適正な支出や指摘されていた模様で、その情報に接しながら何もしなかったのは、不作為の違法があるという判断だと思われます。

従いまして、失われた被後見人の財産の回復に国の責任追及をすればよいという簡単な話にはならないと思われます。

裁判例情報

京都地裁平成30年1月10日判決

日本相撲協会、セクハラをしたとされる式守伊之助を三場所出場停止の懲戒処分

大相撲の立行司・式守伊之助のセクハラ騒動ですが、日本相撲協会からの処分が決定されまして、労働法的観点からコメントをしようと思います。

式守伊之助、夏場所後辞職へ…無報酬で自宅謹慎 : スポーツ : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)2018年01月13日 19時16分

 日本相撲協会は13日、両国国技館で臨時理事会を開き、泥酔して若手行司へセクハラ行為を働いた立行司の第40代・式守伊之助(58)(宮城野部屋)を、3場所出場停止の懲戒処分とするとともに、前日提出された辞職願を処分が明ける5月の夏場所後に受理することを決めた。

 この間、無報酬で自宅謹慎を命じ、土俵外での業務も行えない。伊之助は今後、土俵には上がらず協会を去る。

 発表によると、伊之助は沖縄県宜野湾市で冬巡業が開催された昨年12月16日夜、泥酔し、10代の若手行司に複数回キスをするなどの不適切な行為を行った。若手行司に被害届を出す考えはなく、今後も行司を務める意向だという。

(略)

 

1 同性間におけるセクハラ

まず、セクハラの概念についてですが、近時、均等法から委任を受けて定められている「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」が改定され同性に対する行為もセクハラとして、明記されました。

今回、後輩の行司に対する性的な行為であることから男性同士ということになりますが、これはまさにセクハラに当たるものであるということを改めて確認させてくれる事案となっているわけです。

2 出場停止処分後の退職の扱いについて

懲戒処分は当該労働者が在職中しか行うことができません。今回、辞職願という合意退職の形をとっていたため、日本相撲協会が受理するまでは退職が有効にならないため、処分を先にしてから退職とすることが可能になったわけです。逆に言うと、辞職願ではなく辞職届であった場合には、2週間経過後に一方提起に辞めることができてしまいますので、出場停止処分は一部期間については空振りということになってしまうということもありえたわけでした。今回は最後についても協会と調整の上で行っていると思われますのでそのような事態は生じようもなかったわけですが、教科書的な理屈だけでいくと、そのような場面であったわけです。

退職しかねないような重大な不祥事の場合、処分と退職のどちらが早いかのようなことは往々にして起きてくるところですので、今回のような机上の検討ばかりではないのが実態でもあります。

藤田保健衛生大学病院、36協定を締結せず、オンコール対応の医師に時間外労働をさせていたとして、名古屋東労働基準監督署から是正勧告を受ける

医師の長時間労働も問題になってきていますが、医師のオンコール対応について、36協定を締結せずに行っていたとして労働基準法違反で是正勧告がされた事例が出たことが明らかになりました。

協定結ばず医師に時間外労働 藤田保健衛生大病院に是正勧告  :日本経済新聞 2017/12/26 23:15 日本経済新聞 電子版

藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)が時間外労働に関する労使協定(三六協定)を医師と結ばないまま緊急呼び出しをしていたなどとして、名古屋東労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが26日、同病院などへの取材で分かった。呼び出し時間に応じた割増賃金も支払っていなかった。勧告は11月22日付。

(略)

オンコール態勢で対応した医師は時間外労働になるわけですが、36協定の締結がされていなかったということと報道されています。

病院のような大きな組織で36協定を締結していないとなると大変な事態のように感じますが、他の報道も含めて判断すると、36協定自体は締結されているものの、その対象に医師が入っていなかった模様です。

36協定は事業場単位で締結しないといけませんが、協定届の様式で時間外労働をさせる具体的事由を記載しないといけないため、ここから部署ごとに人数を列挙して記載をしないといけないなっています。想像するに本件では、医師の部門が協定から落ちていたものと思われます。

従って、携帯電話などを渡して呼び出しがあったら駆けつけることにするいわゆるオンコールについて、労働基準監督署が労働時間性を認めたとかそういう論点ではないと想像されます。

最高裁、親権者である父が、監護権を有しない母のもとで養育されている子について、親権に基づく妨害排除請求権を被保全権利として仮処分申立てした事案で、母による監護が相当ではないことの疎明がない場合においては、当該申立ては権利濫用と判示

いわゆる子の引渡しの紛争類型には、大別して二種類の裁判手続きが可能とされています。

一つ目は家事事件手続法所定の子の監護に関する処分に関する審判手続きですが、この他にも、法律上明文の規定はないのですが、親権に基づく妨害排除としての子の引渡し請求ができるとされており、判例にもできることを前提として判示をしたものがあります。

このたび、家事事件手続法の手続きをとらずに、親権に基づく妨害排除請求権を被保全権利として仮処分命令の申立てをして、子の引渡しを求めた事案で判例が出ましたので取り上げます。

最高裁判所第三小法廷平成29年12月5日決定 平成29(許)17  子の引渡し仮処分命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件

原決定は、このような争い方について、家事事件手続法の手続保障の趣旨を没却するという点を考慮して、不適法として却下したのですが、最高裁は、手続自体は可能としつつも、権利濫用として、原決定を結論において是認しました。

離婚した父母のうち子の親権者と定められた一方は,民事訴訟の手続により,法律上監護権を有しない他方に対して親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求めることができると解される(最高裁昭和32年(オ)第1166号同35年3月15日第三小法廷判決・民集14巻3号430頁,最高裁昭和45年(オ)第134号同年5月22日第二小法廷判決・判例時報599号29頁)。

もっとも,親権を行う者は子の利益のために子の監護を行う権利を有する(民法820条)から,子の利益を害する親権の行使は,権利の濫用として許されない。本件においては,長男が7歳であり,母は,抗告人と別居してから4年以上,単独で長男の監護に当たってきたものであって,母による上記監護が長男の利益の観点から相当なものではないことの疎明はない。そして,母は,抗告人を相手方として長男の親権者の変更を求める調停を申し立てているのであって,長男において,仮に抗告人に対し引き渡された後,その親権者を母に変更されて,母に対し引き渡されることになれば,短期間で養育環境を変えられ,その利益を著しく害されることになりかねない。他方,抗告人は,母を相手方とし,子の監護に関する処分として長男の引渡しを求める申立てをすることができるものと解され,上記申立てに係る手続においては,子の福祉に対する配慮が図られているところ(家事事件手続法65条等),抗告人が,子の監護に関する処分としてではなく,親権に基づく妨害排除請求として長男の引渡しを求める合理的な理由を有することはうかがわれない。

 

権利濫用という一般条項になるのはかなり刺激的ではありますが、家事事件手続法の制定によって法理上できなくなったと解することまでは難しいと思われますので、条文に書いていないとしても、親権に基づく妨害排除請求のルートも認めざるを得ないと思われます。そこで、極めて補充的にしか認められない趣旨を述べて、家事事件手続法の手続がある以上、監護が相当でないなどあえてそちらをとらないといけない理由がない限りは、手段の選択を許すわけではないという結論になったものと言えましょう。

トヨタ、退任役員の相談役・顧問への就任について社外取締役が起用を判断する制度を導入

退任した役員が、その後、会社法上の機関ではない名誉的な地位につくことが日本企業では多く見受けられますが、近時、これについて、法令上の責任を負っていないのに経営陣に事実上の影響を与えていることから不当であると厳しい見方が外国の機関投資家を中心になされるようになってきました、

これを受けて、トヨタ自動車は、慣例的に就任するのをやめ、社外取締役が審査を行う制度にしたことが明らかになりました。

役員退任後に相談役・顧問 トヨタ、慣例廃止 社外取締役らが起用審査 :日本経済新聞 2018/1/5付 日本経済新聞 朝刊

トヨタ自動車は相談役と顧問の制度を見直す。これまでは役員が退任した後、慣例で一定期間、相談役や顧問に就いていた。今後は社外取締役らが職務や権限、報酬の必要性などを審査したうえで起用するかどうかを判断する。現在は計約50人が相談役または顧問に就いているが、今年6月に東京証券取引所に提出する報告書から相談役などの情報を記す。

(略)

従来は、副社長以上の退任役員は相談役を4年、専務以下の役員は1年から2年間顧問に就任していたとのことで、これを自動ではなくするとのことです。

起用に説得的な理由がつかない場合には、見送られることになる可能性もあるわけですが、批判の根底にある責任がないのに影響力を行使しうるという点は、起用を決断するような有為な人材ほど、影響力があることになりかねないので、実は答えになるのか微妙である可能性もあるようにも考えられます。

介護分野の技能実習生がその後、国家試験に合格する等すれば、介護の在留資格で継続的に日本で就労する制度が開始

新年早々、日経が取り上げた記事なのですが、介護分野の技能実習生について、その後、日本で継続して働くことができるように在留資格ができる旨の報道がありました。

介護実習生に在留資格、厚労・法務省、国家試験合格で、深刻な人材不足補う、「技能移転」どう整合性。2018/01/03  日本経済新聞 朝刊  3ページ 

 厚生労働省と法務省は介護現場で受け入れが始まる外国人技能実習生について、介護福祉士の国家試験に合格すれば日本で働き続けることができるように制度を見直す。2025年度に37万人超の人材が不足するとされる介護現場では貴重な担い手となる。途上国への技能の移転を目的とした技能実習制度の本来の趣旨とどう整合性を図るかが課題となる。
 技能実習は発展途上国との技術協力や国際貢献を目的に、労働現場で外国人を実習生として受け入れる制度。建設業や農業などに加え、17年11月から介護が新たな受け入れ先となった。同制度では初めての対人サービスとなり、18年中に実習生の第1陣が来日する。
 現行制度でも一定の実務経験などの条件を満たした上で試験に合格すれば介護福祉士の資格を得られる。ただ日本に残って働き続けることは認めていない。介護現場で外国人を受け入れる枠組みには経済連携協定(EPA)もあるが、対象国はインドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国に限られている。
 新しい仕組みを導入すれば、受け入れ国を限定せずに、介護福祉士の資格を取得した人が就労ビザを得て日本で長く働けるようになる。厚労省と法務省は必要となる省令を改正した上で、早ければ18年度中にも始める。

(略)

 

この書きぶりだと、これから制度ができるかのように感じられ、その方法が省令の改正をもって行うかのように読めないでもありません。

在留資格にかかわることについて省令で済むはずがないので、実際にはこの記事の表現は若干ミスリードでして、すでに技能実習適正化法で技能実習制度に介護が加わり、入管法も改正されて介護の在留資格が誕生しています。

技能実習から在留資格を得て働くことに接続する法改正はすでにできており、関連する省令の整備をこれから行うというのが実態と思われます。

もっとも、介護の技能実習生の実習計画申請はまだゼロであるとの話もあり、この報道のとおりに進むのかは定かではないところもあるようです。

 

 

2018年の法改正・改正法施行関係の予定

2018年も法改正の予定や改正法の施行が多数ありますが、個人的に特に関係性の深いものをリストアップしておこうと思います。

 

1、2018年4月1日 この日以降、無期転換ルールの適用対象が多く発生すると見込まれる

2013年4月1日施行の平成24年の労働契約法改正で有期雇用の無期転換ルールが設けられましたが、有期雇用の多くが、雇用期間を1年としていることから、「5年を超える」雇用契約の締結の実績を満たすのが、2018年4月1日以降の契約更新の際になると予想されます。なお、3年の有期雇用などをしていた場合にはすでに6年の雇用契約を締結していると思われますので、すでに無期転換の対象になっていることがありえます。したがって、4月1日以降に順次発生するだろうという事実上の現象にすぎないことになります。

このため、無期転換時の労働条件について、別段の定めをしておくという意味で、無期転換就業規則を制定するなどについて、実務対応が急がれているところと思われます。

ちなみに、昨今の人出不足により、導入当初とは状況が様変わりしており、無期転換阻止の為の雇止めなどは、かつて予想されていたよりも小規模になると思われますし、求人が非常に旺盛であることから無期転換に雇用安定を期する労働者も従前よりは少ないものと思われます。

 

2、2018年5月25日 EU一般データ保護規則施行

個人情報の域外持ち出しを制限するEU法なのですが、雇用管理に関する情報も含まれるため、影響する範囲が案外広いことになります。

グループ企業の人事情報は当然、全世界で一括管理をしており、その場所は世界の意外な場所に所在していることもあるため、確認が必要になると思われます。

新聞報道では、日本はEUと同等の個人情報保護をしている国として認定されるように行われている交渉の推移に期待する旨が書かれていたのですが、そもそも日本に個人情報が来ているといえる管理方法なのかが問題となりうるため、どのような体制になっているのかの確認が必要になるといえると思われます。

ちなみにこの実務対応は、日本の改正個人情報保護法の対応に近く、すでに同様の経験をした企業はそれなりに多いものと思われます。

 

3、2018年9月30日 改正労働者派遣法施行から3年

改正法の施行日が10月1日ではなく、9月末日であった点がポイントですが、派遣期間制限、特定派遣業の廃止などの期限は、9月29日になります。

このため、同一組織単位をめぐる問題、派遣の受け入れに関する社内手続きの有効性の問題などの論点に関連して、違法な派遣が9月30日以降発生することが予想され、労働契約申し込みみなし制度の適用対象として提訴する動きなども出るものと予想されます。

4、通常国会で働き方改革関連法案が国会提出の予定

改正法関係では、従来からの労基法改正案と働き方改革関連法案が国会に提出されるはずなのですが、政治の問題となるためどうなるのか定かではありません。仮に成立した場合にしても、周知期間が短くなるので、当初の予定である来年4月施行も難しそうに思われます。