Month: 4月 2016

2016.04.30 法律関係tweetまとめ


シャープ、鴻海が買取る予定としていた銀行系ファンドが保有する種類株式をプレミアムの負担軽減のためとして取得することを発表 人材の確保のため株式を活用した報酬制度を検討することをも発表

シャープが銀行系ファンドが保有している種類株式を当初の予定から変更して自ら取得することを発表しました。

また、同時に株式を利用したインセンティブ制度を検討することも同時に発表しました。

 

シャープ、株式活用し新報酬制度 人材流出防ぐ  :日本経済新聞 2016/4/29 20:25

経営再建中のシャープは29日、優秀な人材の流出を防ぐため、株式を活用した報酬制度を導入すると発表した。同社は1000人規模を削減する検討に入ったが、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下入りや足元の業績悪化に伴い、幹部を含む人材の流出が進んでいる。新制度で再生に向けた人材を確保する。

 詳細は今後詰める。5月12日の取締役会に付議する方針だ。シャープにストックオプション(株式購入権)など、株式を使ったインセンティブプログラムはこれまでなかった。

(略)

 29日、銀行系ファンドのジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(JIS)が保有するシャープの250億円分の優先株を全て買い取ることも発表した。取得額には優先配当金や償還時のプレミアム分が上乗せされる見込み。時期は未定だが、財務負担を抑えるため早期の買い取りを目指す。

 シャープはJISの持つ優先株については、鴻海が買い取る予定だと2月末に発表していた。

 

上記についてのシャープのプレスリリースは以下の通りです。

B種種類株式の取得及び役職員向けインセンティブプログラムの導入方針に関するお知らせ

日経の報道とプレスリリースでのいい方が異なっているところが興味深いですが、プレスリリースによっても、買取る株式をインセンティブに使用するのかどうかというつながりについて明言しておらず、そもそも銀行系ファンドに割り当てた種類株式をインセンティブに使用するのかということの当否もありますので、別目的の事項をまとめて発表したのではないかと感じられるところです。

シャープと鴻海の関係は、二転三転することが目につきますが、これもその一部のように見えないでもありません。

2016.04.29 法律関係tweetまとめ


2016.04.29 法律関係tweetまとめ

東京高裁、いわゆる海外派遣のケースで特別加入していなかった場合でも労災保険の給付を認める

海外勤務の場合の労災適用の可否については、海外出張なら労災適用可、海外派遣なら適用なしとされており、そのかわり特別加入すれば対象となるという制度となっています。

 

労働者災害補償保険法

第四章の二 特別加入

第三十三条  次の各号に掲げる者(第二号、第四号及び第五号に掲げる者にあつては、労働者である者を除く。)の業務災害及び通勤災害に関しては、この章に定めるところによる。

 厚生労働省令で定める数以下の労働者を使用する事業(厚生労働省令で定める事業を除く。第七号において「特定事業」という。)の事業主で徴収法第三十三条第三項 の労働保険事務組合(以下「労働保険事務組合」という。)に同条第一項 の労働保険事務の処理を委託するものである者(事業主が法人その他の団体であるときは、代表者)

 前号の事業主が行う事業に従事する者

 厚生労働省令で定める種類の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者

 前号の者が行う事業に従事する者

 厚生労働省令で定める種類の作業に従事する者

 この法律の施行地外の地域のうち開発途上にある地域に対する技術協力の実施の事業(事業の期間が予定される事業を除く。)を行う団体が、当該団体の業務の実施のため、当該開発途上にある地域(業務災害及び通勤災害に関する保護制度の状況その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める国の地域を除く。)において行われる事業に従事させるために派遣する者

 この法律の施行地内において事業(事業の期間が予定される事業を除く。)を行う事業主が、この法律の施行地外の地域(業務災害及び通勤災害に関する保護制度の状況その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める国の地域を除く。)において行われる事業に従事させるために派遣する者(当該事業が特定事業に該当しないときは、当該事業に使用される労働者として派遣する者に限る。)

 

このような仕組みをとっているのは、労災保険が社会保障制度である強制保険であり、主権行為の性格を持っているためであり、それでも海外にいる場合には保護が薄いので特別加入によるオプションを設定しているということになります。

このたび、この特別加入をしておらず、海外の事務所に赴任していて死亡したというケースで労災適用を認めなかった労働基準監督署の判断を、東京高裁が取り消して遺族補償の支給を明示したという裁判例が出ました。

海外勤務に労災適用 東京高裁、遺族が逆転勝訴  :日本経済新聞 2016/4/27 22:41

 海外勤務中の死亡に労災保険が適用されるかどうかが争われた訴訟で、東京高裁(杉原則彦裁判長)は27日、保険を適用できないとした一審・東京地裁判決を取り消し、遺族補償の支給を認めた。赴任先の中国・上海で死亡した男性(当時45)の妻が逆転勝訴した。

(略)

判決によると、男性は2006年、運送会社の上海事務所に首席代表として赴任し、10年に急性心筋梗塞で死亡した。

 中央労働基準監督署は、男性が現地事業所に所属しており「出張中の労災ではない。特別加入もしていない」と遺族補償の支給を認めなかった。

 杉原裁判長は、労災保険の適用について「仕事の内容や国内拠点からの指揮命令などを総合的に判断すべきだ」と指摘。東京の本社に業務の決定権があったことや、出勤簿を本社に出していたことから「男性は実質的には国内の事業所に所属していた」と判断し、労基署の処分を取り消した。

(略)

 

判決全文をまだ確認できていないので、報道からだけで判断しますと、現地の事業所の実態、独立性を問題としている模様です。

そして日本国内の事業所に従属的だとして労災適用の対象としたものと読み取れます。

結論としては救済の範囲を広げるものであり、妥当に感じられないでもないですが、日本の事業所に従属的であるといっても現地に日本の監督官庁の監督権限を及ぼせるわけではないこと、特別加入していない海外派遣中は保険料は徴収されていないはずであることから、保険料なしで保障が受けられることを招きかねないことなど、細かく見ると問題が山積する可能性があります。

もっとも、責任保険であり行政による監督と表裏立体であるという点もどこまで貫くのかというと疑問もないわけではなく、特別加入の制度を設けていることからも保険の性格があることは否定できないわけです。

既存の制度と大きな抵触があるため上告される可能性もかなりあると思われますが、この判断の与えるインパクトというと、そもそも特別加入しておけば直面することもない問題ですので、限定的な意義にとどまるものと思われます。

裁判例情報

東京高裁平成28年4月27日判決

2016.04.27 法律関係tweetまとめ



2016.04.26 法律関係tweetまとめ


同一労働同一賃金の実現に向けた検討会、正規雇用と非正規雇用の待遇差が認められる場合の指針を作成へ

 
同一賃金同一労働の実現が政策課題となっていますが、厚生労働省内に

同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」が設置されて議論が進められています。

この検討会では、正規雇用と非正規雇用の待遇差が認められる場合の指針の作成が進められていますが、22日の会合において、委員である東大の水町教授から発表が行われ、待遇差が合理的と認められる場合について見解が示されたことが明らかになりました。

注目するべきは、補足資料のほうでして、こちらに待遇差が認められると考えられる部分についての言及があります。

第3回「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」資料

資料2-2 同一労働同一賃金の推進について(補足【Q&A】と【参考文献】)(PDF:153KB)

職務内容と関連性の高い給付(基本給、職務手当、教育訓練など)

…職務内容、経験、資格などが合理性を基礎づける事情となりうる。基本給が職能給の場合には、キャリアコースの違いもそれが基本給の違いを説明できる内容のものであれば合理性を基礎づける事情となりうる。

 

同一労働という言葉や、同一労働同一賃金についての政府の検討の方向性としてすでに新聞の記事で言及されてきた内容では、習熟度などが言及されており、職務給を念頭にしたものという考え方がでていました。

これ自体は、同一賃金同一労働の考え方として一つの立場としては正当なものなのですが、日本では業務ごとの賃金という考え方が薄いため、そのまま進むとかなりの不整合になることが予想されるところです。

上記の水町教授の見解は、職能的な仕組みを選定として合理性を基礎づけることを可能とするものであり、日本企業への導入が容易になるようにという観点が入っていることがうかがわれるところです。

立法がなされる方向自体は変わっていませんが、その内容はかなり詰められてきている感じを受けるところです。今後も動向に注意が必要でしょう。