Month: 10月 2015

東芝、「不適切会計」の問題で、外部調査委員会の報告を待って旧経営陣提訴へ

東芝はいわゆる「不適切会計」の問題で、株主から当該不適切な会計をしていた期間の経営陣に対する提訴請求を受けていますが、会社としての対応を決めるため外部調査委員会として弁護士3人からなる「役員責任調査委員会」を設け検討をしています。

この委員会の報告の方向性が、旧経営陣に問題があったとする内容になる模様で、東芝は報告を待って、旧経営陣を提訴する方向であることが報道されました。

東芝、旧経営陣提訴へ 会計不祥事 西田・佐々木氏らに賠償請求 :日本経済新聞 2015/10/25

東芝の会計不祥事を巡る経営責任を調べている外部委員会は、旧経営陣に問題があったとする報告書を近くまとめる。これを受け、東芝は西田厚聡氏ら歴代3社長を含む旧経営陣を相手取り、損害賠償請求訴訟を起こす見通しだ。不適切会計を認識しながら是正を指示せず、会社の信用を失墜させたとして一部の株主から経営陣を提訴するよう求められていた。

(略)

提訴期限が11月初旬になるため、会社としての対応を決する必要があるわけですが、株主からの提訴請求では28人の現と元役員が対象であるのに対して、会社の現時点での方針としては被告は10人以下となる模様で、株主の請求内容との齟齬がこの時点ですでにでています。

このまま進むと請求金額についても齟齬が出る可能性があり、外部調査委員会の結論に基づいて会社の提訴内容を決したということにはなるのでしょうが、齟齬があまりに大きいと色々と難しい問題を生じさせるように思われます。

証券取引等監視委員会、平成25年金商法改正で新設された未公表の重要事実の伝達等の禁止の違反があったとして初の課徴金納付命令勧告を行う

平成25年の金融商品取引法改正で、いわゆる「未公表の重要事実の伝達等の禁止」が新設されていますが、この規定には課徴金も設けられているところ、違反行為があったとして、証券取引法監視委員会により金融庁に、初の課徴金納付命令勧告がされたことが明らかになりました。

(未公表の重要事実の伝達等の禁止)

第百六十七条の二  上場会社等に係る第百六十六条第一項に規定する会社関係者(同項後段に規定する者を含む。)であつて、当該上場会社等に係る同項に規定する業務等に関する重要事実を同項各号に定めるところにより知つたものは、他人に対し、当該業務等に関する重要事実について同項の公表がされたこととなる前に当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買等をさせることにより当該他人に利益を得させ、又は当該他人の損失の発生を回避させる目的をもつて、当該業務等に関する重要事実を伝達し、又は当該売買等をすることを勧めてはならない。

 公開買付者等に係る前条第一項に規定する公開買付者等関係者(同項後段に規定する者を含む。)であつて、当該公開買付者等の公開買付け等事実を同項各号に定めるところにより知つたものは、他人に対し、当該公開買付け等事実について同項の公表がされたこととなる前に、同項に規定する公開買付け等の実施に関する事実に係る場合にあつては当該公開買付け等に係る株券等に係る買付け等をさせ、又は同項に規定する公開買付け等の中止に関する事実に係る場合にあつては当該公開買付け等に係る株券等に係る売付け等をさせることにより当該他人に利益を得させ、又は当該他人の損失の発生を回避させる目的をもつて、当該公開買付け等事実を伝達し、又は当該買付け等若しくは当該売付け等をすることを勧めてはならない。

具体的な事案としては以下のとおりであり、伝達のみを単独であげられたというわけではなく、受領者によるインサイダー取引の認定とセットになっています。

公開買付者の親会社との契約締結者の社員からの情報受領者によるウェブクルー株式に係る内部者取引違反行為及び当該社員による公開買付けの実施の事実に係る伝達違反行為に対する課徴金納付命令の勧告について:証券取引等監視委員会

1.勧告の内容

証券取引等監視委員会は、公開買付者の親会社との契約締結者の社員からの情報受領者によるウェブクルー株式に係る内部者取引及び当該社員による公開買付けの実施の事実に係る伝達について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。

2.法令違反の事実関係

(1)課徴金納付命令対象者(1)について

課徴金納付命令対象者(1)は、株式会社ニュートン・フィナンシャル・コンサルティング(以下「ニュートン」という。)の親会社である株式会社光通信との間で株式引受契約を締結していた会社の社員であった課徴金納付命令対象者(2)から、同人が同契約の履行に関して知った、ニュートンの業務執行を決定する機関が、株式会社ウェブクルー(以下「ウェブクルー」という。)の株式の公開買付けを行うことについての決定をした旨の公開買付けの実施に関する事実の伝達を受けながら、上記事実の公表がされた平成26年11月12日午後3時より前の同日午後1時42分頃から50分頃、自己の計算において、ウェブクルー株式合計7800株を買付価額合計496万8500円で買い付けたものである。

課徴金納付命令対象者(1)が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第2項に規定する「第167条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。

(2)課徴金納付命令対象者(2)について

課徴金納付命令対象者(2)は、株式会社ニュートン・フィナンシャル・コンサルティング(以下「ニュートン」という。)の親会社である株式会社光通信との間で株式引受契約を締結していた会社の社員であったが、同契約の履行に関して知った、ニュートンの業務執行を決定する機関が、ウェブクルーの株式の公開買付けを行うことについての決定をした旨の公開買付けの実施に関する事実を、課徴金納付命令対象者(1)に対し、上記事実が公表される前にウェブクルー株式の買付けをさせることにより同人に利益を得させる目的をもって、伝達したものである。

課徴金納付命令対象者(1)は、上記事実の公表がされた平成26年11月12日午後3時より前の同日午後1時42分頃から50分頃、自己の計算において、ウェブクルー株式合計7800株を買付価額合計496万8500円で買い付けたものである。

課徴金納付命令対象者(2)が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条の2第2項に規定する「第167条の2第2項の規定に違反して、同項の伝達をし、又は同項の買付け等若しくは売付け等をすることを勧める」行為に該当すると認められる。

 

上記に引用した通り、「伝達等の禁止」はいわゆる目的犯となっているわけですが、情報受領者によるインサイダー取引の事実認定を持ってこの要件に関する間接事実としていることが伺われます。

このような事実認定の手法は当然に予想されるところではありますが、金融商品取引法167条の2の運用の第一号の実例として重要であると思われます。

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