Month: 4月 2015

東京地裁、断熱フィルムに関して消費者庁が出した排除措置命令について、発売元の申立てにより執行停止を命じる

消費者庁が出した景品表示法の排除措置命令について執行停止が認められた初の事例が出たことが明らかになりました。

省エネが重要なテーマになって以降、断熱フィルムが注目されていますが、そのフィルムについて効果がないとして、排除措置命令を消費者庁が出しましたが、これに対して、製造販売元である翠光トップラインらが、取消訴訟、国会賠償訴訟を提起しましたが、その前に執行停止の申し立てをしていました。

東京地裁はこれを認め、執行停止を命じたことが明らかになりました。

消費者庁の発表

弊社に対する措置命令に関するお知らせ|株式会社 翠光トップライン

措置命令の取消訴訟等の提起のお知らせ|株式会社 翠光トップライン

東京地方裁判所による執行停止の決定に関するお知らせ|株式会社 翠光トップライン

同社によると決定の主文は以下の通りとされています。

主 文
消費者庁長官が平成27年2月27日付けで申立人株式会社翠光トップラインに対して行った不当景品類及び不当表示防止法6条に基づく措置命令(消表対第254号)及び同日付けで申立人株式会社ジェイトップラインに対して行った同条に基づく措置命令(消表対第255号)は、本案事件の第一審判決の言渡しまでその効力を停止する。

 

まだ本案の帰趨は定まっていませんが、活発化している消費者庁の権限行使に対して、事業者側の対応パターンの一つとして興味深い展開を見せているといえそうです。

高松地裁、多胎妊娠で胎児1人の死亡が確認されたことから、残りの胎児を帝王切開して出産したところ、障害が残ったために提起された損害賠償請求訴訟で、請求全額を認容

出産事故で非常に判断の難しい事案について、判決が出たことが明らかになりました。

「帝王切開判断早すぎ」日赤に2億円の賠償命令 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 2015年04月23日 07時41分

三つ子の胎児の1人が死亡後、帝王切開で出産した残る2人のうち長男(12)に重い障害が起きたのは医師の切開の判断が早すぎたためとして、高松市在住の両親と長男が病院側に介護費用など2億1147万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、高松地裁であった。

福田修久裁判長は両親らの主張を認め、病院を運営する日本赤十字社に請求全額の支払いを命じた。

 判決によると、母親が高松赤十字病院(高松市)入院中の2003年2月、胎児1人の死亡が判明。医師の勧めですぐ帝王切開を受け、残る男女2人を妊娠30週と6日で産んだが、長男には重い脳障害が起き、常時介護が必要になった。両親らは12年9月に提訴した。

 福田裁判長は判決で、3人の胎児が胎内でそれぞれ違う膜に包まれていた点を挙げ、当時の医学的知見ではこうした場合、「胎児死亡の他の胎児への影響は限定的とされていた」と指摘。長男の障害が妊娠32週以前の早産児に多いことを踏まえ、「脳障害予防の観点から可能な限り胎児の成長を待つべきだった」と述べた。

(略)

判決全文を見ていないので何とも言えないのですが、上記報道からうかがわれる限りでは、3名の胎児がいて1人が死亡している場合に、他の胎児を直ちに出産するべきであるかということ、その上で、生じた障害がこの早期の出産に起因しているのかが争点となった模様です。

報道によると、証拠調べの結果、当時の医学的知見では、胎児1人が死亡しても違う膜につつまれていた場合には他の胎児への影響は限定的であったということになり、過失があったと判断された模様です。医学の知識がないのでこの見解の当否がわからないのですが、大変重い判断であるということは言えそうです。なお、妊婦は当時29歳と別の報道では言及されています。

また、この訴訟では日赤側は、損害額についての反論としていなかったために、請求全額認容となったきらいがある模様です。損害額の認定は、裁判所が主張を待たずにできるはずのところではあるものの、実際のところ主張を待ってのところも多分にある部分です。

日赤側の訴訟方針も判断の難しいところがあったのかもしれません。

株式交付型の役員報酬の導入が進んでいることが明らかに

役員報酬の大きな流れとして、退職慰労金の廃止の流れ、固定報酬から業績連動部分を入れる流れなどがありますが、業績連動報酬についてはストックオプションからさらに次の段階に発展して、ポイント制によって現金を交付するものや株式を交付するものが生まれてきています。

近時は特に、株式交付型が信託銀行が開発したサービスを導入するという形で広がってきており、日経の調べによると現在30社が導入しており、年内に100社ほどが導入する模様であることが明らかになりました。

役員報酬 自社株で 大林組やKDDI 年内に100社 業績連動性高く 株主重視の経営めざす :日本経済新聞 2015/4/25付 日本経済新聞 朝刊

役員の報酬として自社の株式を交付する企業が増えている。一定期間の業績に連動する形で交付する株式数を決める仕組みで、大林組やKDDIなど導入企業は年内に100社を突破する見通しだ。業績向上への動機づけを高めつつ、報酬の透明性を確保する。企業に報酬改革を求めたコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の適用を控え、固定給中心の日本型報酬が変わり始めた。

(略)

上記記事では、コーポレートガバナンスコードの適用による変化である点も言及されています。

コーポレートガバナンスコード原案のうち、以下を受けてのものであると考えられます。

【原則4-2.取締役会の役割・責務(2)】

(略)

また、経営陣の報酬については、中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させ、健全な企業家精神の発揮に資するようなインセンティブ付けを行うべきである。

補充原則4-2①

経営陣の報酬は、持続的な成長に向けた健全なインセンティブの一つとして機能するよう、中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定すべきである。

上記のようなコードの内容は、あくまで健全なインセンティブを求めているのであり、インセンティブ報酬を導入することを求めているというわけではありません。そうなると、業績を評価して付与する株式に結び付けるポイント制の設計やいつ株式を付与するのか、いつ売却できるのかなどの仕組みの内容と、その説明がコードで求められているということになりましょう。

役員報酬の設計もまた、大きな流れがある分野ですので、今後も先進的な実務が次々と開発されていって、変化していくものと思われます。

 

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