Month: 4月 2013

最高裁,根保証契約の元本確定前に根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債務に係る債権が譲渡された場合の随伴性を肯定

昨年末に出ていた判例なので,相当遅れてしましたが,取り上げます。

根抵当の場合,元本確定前に債権が譲渡されると,それは担保から外れます。

民法
第398条の7(根抵当権の被担保債権の譲渡等) 
元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。

一方で,同じく附従性の緩和をしていて人的担保の場合には,根保証ということになりますが,こちらは根抵当と異なり契約で設定するものであり条文があるわけではないため,元本確定前に譲渡がされるとどうなるのかについては,当たり前ですが明文の規定を欠いていました。

このたび,この点が争点となった判例がでまして,端的に言うと根保証に随伴性を肯定しました。

最高裁判所第二小法廷平成24年12月14日判決 平成23(受)1833 貸金請求事件

根保証契約を締結した当事者は,通常,主たる債務の範囲に含まれる個別の債務が発生すれば保証人がこれをその都度保証し,当該債務の弁済期が到来すれば,当該根保証契約に定める元本確定期日(本件根保証契約のように,保証期間の定めがある場合には,保証期間の満了日の翌日を元本確定期日とする定めをしたものと解することができる。)前であっても,保証人に対してその保証債務の履行を求めることができるものとして契約を締結し,被保証債権が譲渡された場合には保証債権もこれに随伴して移転することを前提としているものと解するのが合理的である。

意思解釈としてそのように解するのが合理的といっているわけですが,そもそも契約で自由に設定できる保証契約で,随伴性のないのが原則となるのはおよそ無意味ですので,その通りでしょう。

根抵当と同じに解するべきということで上告受理申立てがされているのですが,根抵当は物権の側面があるために取引の側面から抵当権者以外が入ってくるのは混乱を生じるので避けようということで制度設計がされたというところがあります。すると,取引的な要素に終始する根保証では,当然のこととして,当事者の合理的な意思が妥当するということになりましょう。

この根拠は,契約自由というところに求められますので,当然のことながら,随伴性を否定するような根保証契約も可能であるということになり,その旨が補足意見に示されています。

お題目のように結論だけ捉えると,意外な感じを受けかねませんが,よくよく考えると当たり前という内容であるといえましょう。

疲労困憊

今日は連休の合間ですが,私自身は仕事とは別のちょっとした事情で,疲労困憊していました。

おそらく飲まず食わずで緊張を続けていたからだと思います。終わった後には解放感はあったのですが,その代わりに頭痛がするようになってしまいました。

結局,今日は二食しか食べなかったので,規則正しく生活して三食きちんと食べなさないといわれているので,なんかまずいなあと思っているのですが,夜になってしまったので,どうしようもないです。

さて,この連休のお楽しみというわけではないのですが,PSvitaを買ってみました。

私にとってゲームを買ったらまずガンダムということで,少し古いのですが,機動戦士ガンダムSEED BATTLE DESTINYをやってみたのですが,vsシリーズと操作方法が違うので,うまくいかず,ストレスになっています。

そのような個人的事情をさておいても,なんとなくvitaは(も?)微妙な感じを受けました。何をどうしていいのかわからず,やりようがないというか,活用の使用がないような感じです。ガンダムのゲームも一つしか出ていませんし。

ガンダムブレイカーがどうなるのか,今から戦々恐々です。

2013.04.29 法律関係tweetまとめ

[法律]名古屋高裁,「暴力団お断り」と掲示しているゴルフ場を利用した暴力団組長に詐欺罪の成立を認める(名古屋高裁平成25年4月23日判決)。争点となっていたのは,組長の関与に関する事実認定であり,「長野(のゴルフ場)は組関係に厳しい」と話した点などを指摘して関与を認定。

最高裁,面会交流を命じる審判が出されたものの,その通りに実施されなかった場合,当該審判においてに面会交流の日時又は頻度,各回の面会交流時間の長さ, 子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠 けるところがないといえるときには,間接強制決定をすることができると判示

離婚の際,離婚後に監護しない側の親と子供の面会交流について定めを置くことが多いですが,その通りに実施されなかったり,だんだんと行われなくなっていく傾向があります。

これは面会交流をする親の側の事情であることもありますが,通常,監護している側の思惑によることもあります。

どの程度,面会交流が実現されているのかは,以前,調査したことがあるのですが,それは別に譲るとして,面会交流が約束した通りに実施されない場合に,これを強制する手段があるのかということが議論されてきていました。

このたび,実現しないならいくらいくら払えという形での間接強制が許されるのかという論点の形で判例がでまして,面会交流に間接強制できる場合があることが正面から判示されました。

ポイントとなるのは,民事執行法の考え方にのっとって,給付の特定がされているのかという点でして,それがされているなら,義務者は何をしないといけないのかわかるわけですから,間接強制ができるということになりました。

審判で面会交流について命じておりこれが確定した場合については,最高裁は以下のように判示しています。

最高裁判所第一小法廷平成25年03月28日決定 平成24(許)41 間接強制決定に対する抗告審の取消決定等に対する許可抗告事件

監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判において,面会交流の日時又は頻度,各回の面会交流時間の長さ,子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合は,上記審判に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である。

要するに,審判の場合には,日時又は頻度,時間の長さ,この引渡しの方法等が定められていれば,間接強制可能ということになります。

この件においては,引き渡しの方法が定まっていなかったとして,間接強制決定はできないという結論になっています。

これに対して,以下の事件では,それらすべての特定に欠けるところはないとして間接強制が可能としています。

最高裁判所第一小法廷 平成25年03月28日決定 平成24(許)48 間接強制に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件

この事件では,子の引渡し方法として,下記のような内容が定められており,ここまでいくと特定に欠けることがないとされています。

①面会交流の日程等について,月1回,毎月第2土曜日の午前10時から午後4時までとし,場所は,長女の福祉を考慮して相手方自宅以外の相手方が定めた場所とすること,

② 面会交流の方法として,長女の受渡場所は,抗告人自宅以外の場所とし,当事者間で協議して定めるが,協議が調わないときは,JR甲駅東口改札付近とすること,抗告人は,面会交流開始時に,受渡場所において長女を相手方に引き渡し,相手方は,面会交流終了時に,受渡場所において長女を抗告人に引き渡すこと,抗告人は,長女を引き渡す場面のほかは,相手方と長女の面会交流には立ち会わないこと

 

また,同日付で面会交流を定めたのが調停であった場合についても判示があり,法律論部分が以下のように上記とは微妙に異なっています。

最高裁判所第一小法廷 平成25年03月28日決定 平成24(許)47 間接強制申立ての却下決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件

非監護親と監護親との間で非監護親と子が面会交流をすることを定める調停が成立した場合において,調停調書に面会交流の日時又は頻度,各回の面会交流時間の長さ,子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえるときは,間接強制を許さない旨の合意が存在するなどの特段の事情がない限り,上記調停調書に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である。

上記特段の事情がついたのは,調停の場合,あくまで合意であることから,別段の合意もまた可能であるということでしょう。しかし,調停が成立するということは原則,間接強制も含めて可能ということになり,あくまで例外という位置づけになっているものと思われます。

また,この件では,当の子供が会いたがっていないので間接強制はできないとする反論がされていましたが,それは間接強制の可否を左右するものではなく,それについては新しい調停や審判を申し立てて,取り扱うべきことであるということが示されました。

民事執行の考え方から行くと,確かに特定されているかという点に尽きるのだろうとは思いますが,子の引渡し方法の特定という点が,頻度や時間についての定め以上に,独立しての意義がどれほどあるのかはやや良くわからない気もします。

以上から,間接強制可能な面会交流の定め方が,明らかになったことになります。離婚が家庭裁判所に持ち込まれた場合,面会交流を定めることが非常に多いですので,実務には,大きな影響を与えると思われます。

つなぐ

連休になってから,体の調子がすごく良いです。疲れをとれるのに加えて,仕事の一部ではありますが,連休前にいい形に持って行けたので心持が楽なところがきいているような気がします。

全然,別の話題ですが,司法修習生の就職が厳しいということが言われて久しくなっており,弁護士へのニーズが本当にないのかとかそういうことをさておいても,就職が以前より厳しいということは厳然とした事実です。

もっとも,ごくごく一般的な企業へ就職する活動はもっと大変なのであり,このことで業界内でやたらと大騒ぎをするとかえって社会から反発を生むかもしれないので注意が必要なのではないかと思います。

それはさておき,弁護士への就職が難しいということの特徴の一つに,採用したいと思っているが,採用活動をする暇がない小規模な事務所があり,人をとりたいと思っている弁護士がいたらつないであげるようなことを可能な限りしています。

最近,また一つ,就職に結び付けることができたので,とてもよかったと思いました。

こちらとしては,どこまで話が広がったのか修習生が殺到してきて,大騒ぎになってしまい,非常に仕事に支障が出たのですが,まあよかったと思います。

金融商品取引法違反が疑われる業者の間で,緊急差止命令の申立てを回避させる動きが出てきていると報道される

金融商品取引法所定の緊急差止命令の実例が出たということはこのブログでも大きく取り上げてきており,証券取引等監視委員会の新しい活動として注目してきておりました。

しかし,ここのところ,新しい発令は伸び悩んでいるところ,疑わしい業者が減ったわけではなく,業者の動きが巧妙を極めてきていることが本日付の日経の報道で言及されました。

それは,緊急差止命令が「緊急性」を要件としているところを逆手に取り,証券取引等監視委員会が動いたときには手口を変えているということとされていました。

同じ行為が続いており,緊急に差し止める必要があるということを断ち切ってしまうということのようです。

これは,司法手続きの際に必ずついて回る特定の問題の一種でもあるように思われますが,結局,警告して終わりという事態が相次いでいる模様です。

金融庁はそのような警告をした業者の実名を出すことをしており,毎月のように追加がされていることから,それを伺うことができます。

無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について : 金融庁

紙面では,緊急差止命令の条文のつくりに問題の原因を求めているような感じがあったのですが,司法手続きを活用する場合にはこのような問題がついて回るのはいつものことなので,緊急差止命令を変えれば何とかなるのかというとちょっと違うような気もしました。

高校時代の仲間と

今日は高校時代の友人たちとの飲み会で出かけてきました。私は酒は飲めなくなったので,ノンアルコールでしたが,もともと飲まない仲間もいるので,一人増えただけです。

高校時代からですのですごい長さの付き合いなのですが,ついに30代半ばにもなって,健康とかそういうことが話題になるようになってしまいました。そのきっかけを作ったのは私なのですが,いろいろと話しているうちに私の現況はやはり忙しすぎるのではないかということをみんなに口々に言われました。

自分では結構平気ではと思っていたのですが,そうでもないのかもしれません。もう少し真剣に状況の打開を考えようと思います。

だんだんと家庭を持つ仲間もできてきて,バラバラになっていくのかなあと思ったのですが,家庭を持ってもお小遣いをやりくりしてくれて,来てくれます。なんとつながりの深い関係なんだと思って,あらためてびっくりします。

話題も高校時代の思い出話が出るのは当然なのですが,過去を懐かしむ話よりは最近の話が多く,前向きでいいなあと思っています。

高校を卒業して今年で18年になってしまうので,卒業後の方が人生で長くなってきてしまいます。年を取ったのだなあと思うのですが,実のところ,ノリはあまり昔と変わっていないのでした。

2013.04.27 法律関係tweetまとめ

[法律]厚生労働省の調査で,離婚が原因で生じた母子家庭で養育費の支払いを受けているのは2割未満に低迷していることが判明。98年以降横ばいとなっており,将来分の差押えを可能とした民事執行法改正による変化はないことも判明。http://t.co/y5yZQYyTUd

勤務先にHIV陽性であることが伝わってしまったために退職を余儀なくされたとして,元看護師が提起した損害賠償請求訴訟で,検査をした病院との間で和解金の支払いと再発防止策を内容とする和解が成立

長いタイトルで申し訳ありませんが,看護師が勤務先とは異なる病院でHIVの検査を受け,陽性と判明したところ,勤務先にそれが知れてしまい,退職を余儀なくされたということで損害賠償請求訴訟が提起され,検査をした病院との間では和解が成立したことが明らかになりました。

無断通知の病院が和解金 HIV感染情報巡る訴訟

エイズウイルス(HIV)陽性の検査結果を、検査した大学病院が勤務先の病院に無断で伝え、退職を余儀なくされたとして、福岡県の看護師が損害賠償を求めた訴訟は20日までに、福岡地裁の支部で大学病院側が看護師に100万円を支払うことなどで和解が成立した。

和解成立は19日付。勤務先の病院側との訴訟は継続中。看護師は両病院を経営する2法人に計約1100万円の損害賠償を求めていた。

看護師側代理人によると、和解金支払いのほか、大学病院が謝罪し、診療情報を提供する際は患者本人の意思確認を徹底するとの再発防止策が盛り込まれた。

(略)

看護師は2011年8月、勤務先の病院に紹介された大学病院でHIV陽性と診断された。医師から「患者への感染リスクは小さく、上司に報告する必要もない」と言われた。

だが、大学病院から勤務先の病院に検査結果が伝わり、上司から「患者に感染させるリスクがあるので休んでほしい。90日以上休職すると退職扱いになるがやむを得ない」と告げられ、休職後、同年11月に退職した。〔共同〕

本件でのHIVの検査は,労働安全衛生法に基づく健康診断ではないと思われますので,勤務先がその結果を取得できるのか自体がそもそも問題となりうると思われます。

そのため,原則としては同意がない限り,個人情報として提供できないということになりますので,検査をした病院との間ではこの点で問題となったわけです。

一方で,元の勤務先の病院との間では,まだ訴訟が継続するわけですが,争点がいくつか考えられるところです。

  1. HIV感染の情報を取得したこと
  2. HIV感染を理由に休職を命じたこと
  3. 休職後に退職となったこと

1の情報の取得ですが,これはあくまで労働者から取得することの当否の問題であるのですが,それでも,使用者は,労働者の健康上の情報の取得ができるのか労務提供にかかわるものに限られるとされているため,B型肝炎,HIVなどは特に例示されて,聞いてはいけないこととされています。

雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項

しかし,一方で本件の勤務先は病院であるため,労務提供に関係するということも言えそうであり,例外の方に当たる場合とも考えられそうです。

すると,その先の人事上の取り扱いに関する論点がどう左右されるかということになりますが,労務提供に関係ない部署への配転ということがあろうという考慮になりそうですが,一方で看護師という資格を持っているからこそ採用しているわけであり,ある種の職種限定的なものがありそうです。すると,また当否が微妙になるということになりそうです。

労働者の健康管理という問題は,最近は非常に微妙で複雑な問題を内包させているのですが,それが如実に表れているような事件であると感じる次第です。

日本取締役協会,経営者報酬ガイドライン(第三版)を発表し,経営者報酬開示の拡大とインセンティブ報酬の拡大として譲渡制限株式の活用を提言

日本取締役協会が,経営者報酬ガイドラインを改定して第三版を発表しました。

経営者報酬ガイドライン(第三版)と法規制・税制改正の要望(2013) – 日本取締役協会

ガイドライン本文

特徴的なところとしては,英米なみの経営者報酬の拡大を提言しているところであり,法制度と上場規則といったソフトローも統一されることに言及されています。

立法が動けないため,ソフトローによって法ができていく傾向が会社法の分野で顕著となって久しく,独立取締役の誕生などが想起されますが,ここでは統一された方がよいということに言及があります。

また,インセンティブ報酬としての譲渡制限株式を提言しており,税制のためにストックオプションのうちの特定の形にならざるを得ない現状から,税制改正の提言につながっています。

インセンティブ報酬の実例は,可能な範囲内で工夫が凝らされており,最近のトレンドといった動きも見受けられますが,一方でそもそも論的な提言も当然だと思います。