JAPAN LAW EXPRESS: 投資ファンドのエフィッシモ、出資先の日産車体を提訴の関連情報です。
上記で取り上げた事件の結果であるかまでの確認はとれていないのですが,日産車体が行っているグループ企業への低利融資を,取締役の善管注意義務に反するとして,元代表取締役に対して損害賠償を求めた株主代表訴訟の判決が,2月28日に横浜地裁であり,請求が棄却されたことが,商事法務1964号のニュースで明らかになりました。
本件訴訟では,
- 低利融資が善管注意義務違反・忠実義務違反にあたるとして損害賠償
- 融資が親会社である日産への利益供与に当たるとして株主権行使に関する利益供与にあたるとして利益の支払い
- (現代表取締役に対して)低利融資が貸金業法違反に当たるとして,違法行使の差し止め請求
が請求されていました。
商事法務の記事では,グループ間での資金融通の合理性についての理解が示されたものであるようです。さらに本件では,金利は銀行預金よりは高く,その点からも結論を補強している模様です。
また,貸金業法違反という巧妙な主張についても,本件がキャッシュマネジメントシステムを介して資金を融通しているものであるという特徴をとらえて,本件預託は貸付ではなく,消費寄託であるとしている模様です。
おそらくファンドが原告だと思われるのですが,一時期,話題となった親子上場のところを突こうとした行動であったと思われます。しかし,親子上場の問題とグループ間の資金融通,グループ外への資金流出を止めようという行動はそのままリンクしているかというと微妙であるので,このかい離が結論を芳しくないものにしたのかもしれません。
裁判例情報
横浜地裁平成24年2月28日判決