最近、判例が相次いでいる熱い分野である建物賃貸借の更新料の有効性の論点ですが、先日更新料を無効とする判断をした大阪高裁において、今度は有効とする判断が出されました。
無効とする判断が相次いでおり、流れができつつありましたが、流れを食い止める方向に作用する一石が投じられました。
賃貸マンション:更新料は「適法」 大阪高裁、異なる判断(毎日新聞2009年10月29日)
滋賀県野洲市の賃貸マンションを約6年半借りた男性会社員(33)=大阪市=が入居継続時に支払う更新料計26万円の返還を貸主に求めた訴訟の控訴審判決が29日、大阪高裁であった。三浦潤裁判長は「更新料は借り主にとって一方的に不利益とはいえず、消費者契約法に違反しない」と述べ、更新料を適法とする判断を示した。(略)
更新料について、1審判決は「賃料の一部前払いとしての性質がある」として適法と認定。これに対し、三浦裁判長は「賃貸借期間が長くなった際に支払われるべき対価の追加分ないし補充分」との判断を示し、「貸主にとって必要な収益で、更新料がなければ賃料が高くなっていた可能性がある」と指摘した。
(略)
まだ判決全文を確認できていませんが、上記報道からは追加の対価という認定をされた模様です。
これまで更新料を無効とした判決では、貸主側の主張で色々な対価であるとされていましたが、どれも否定されていました。
詳しくは以下のエントリーをご覧ください。
賃貸借の更新料を無効とした京都地裁判決全文が公開される(2009.08.17)
更新料を無効とした大阪高裁判決の検討(2009.09.03)
これらの裁判例で対価性を否定したのもどれも微妙な判断であるのは確かなので、評価がひっくり返ったとしてもおかしくはないのですが、どう判示しているのかについて確認したいと思います。
上記報道からははっきりしませんが、この賃貸借の特有の事実によって判断が変わったということも考えられないわけではないですが、一般的には定型的なフォームで行われていると思われますので、法的評価が一変したのではないかと思われます。
この判決に対しては借主側が上告するとのことですので、最高裁の判断が待たれます。
