Month: 2月 2009

致命傷になるかも

労働紛争はえてして長期化するために双方にとって一大事です。

特に深刻なのは資力に乏しい労働側で、解決まで食いつなげるならたいしたもので、大半の場合は兵糧攻めにあるのではないでしょうか。

しかし使用者側にとっても時間は味方といえるほど安直ではありません。えらく費用がかかりますし、昨今の経済情勢ではさらに深刻な問題を生んでいる気配があります。

会社分割無効をめぐる有名な事件でIBM事件というのがあります。

IBMがHDD事業を日立に会社分割をしたところ、労働者の一部が訴訟を起こしたというものです。第一審控訴審とも請求棄却となり現在最高裁に上告中です。

ただ問題なのは、この事件の事実で会社分割後に労働条件を切り下げることをにおわす話があったとかなかったとかでもめているのです。そこで会社分割は進んでしまっていますが、労働条件を切り下げてしまうと、裁判とは直接は関係ないはずなのですが「ほれみたことか」ということになりかねません。

そこでどうやらまだ労働条件の切り下げをしていないようなのです。実はIBMの労働条件は同業他社から比べるとよいという指摘があり、本当だとすると、紛争が長引いているために高止まりしているようです。

そのような中でこの超大不況ですからたまりません。日立のストレージ事業はふらふらしていますが体力の一部を奪っているのかもしれませんね。

この件があったからというわけではないのでしょうが、会社分割をわざと避ける動きが実務で起きています。労働条件を下げられないので困るということですね。この不景気の中ですからそういう労働条件を下げられる再編手法のニーズがもっと増えてくるのではないでしょうか。


雪だ

今日は寒い一日でした。雪も降っていましたし。

doblogはとうとう復旧を来週に先送りしてしまいました。一体いつまでかかるんでしょうか。ここまでとは技術系の会社としてはかなりひどいことなのではないでしょうか。もっとも運営元のNTTデータに高度な技術があるかというと別問題で、技術を販売している会社としては恥ずかしいのではないかという意味ですが。

個人的経験からの感想なんですが、技術の会社であるように思えても実はたいしたことないってことがままあります。資金力で胴元のようなことをしていて、技術自体はほかの会社が持ち寄るみたいな感じなのですが、果たしてそれって意味のあることなんですかね。万が一のときの損害賠償の負担に耐えられないから介在してもらうので、いないと困るのは困るのですが、それって要するに保険ではないかとか常々考えていました。


知らなかった

円高が非常に残念な今日この頃です。

さて、今日は東大の二次試験日でした。そのため学内に入るのが大変でした。

というか入試の日って学内には入れるんですね。最初に東大に入ってからもう11年になりますが、二次試験の日は学生は入れないものだと思い込んでいました。2月末なんて定期試験も終わってしまっているので大学に行くことなどなかったので今まで全く気づきませんでした。

試験終了後の時分に学内をうろうろしていると、受験生らしき人たちが「英語簡単だったな」とか言葉を交わしていました。まあ確かに東大入試の中では英語はとっつきやすい方ですよね。

3月10日に良い結果がでることをお祈りします。

実力十分で受けた方ならどうってことないのでしょうが、私は試験が終わってからも全然生きた心地がしませんでした。そのせいかいまだにこの時期になると感傷に浸ってしまいます。もう10年以上たつのに情けない話ですが・・・。


営業戦略による地盤沈下

法律書籍出版の雄である有斐閣ですが、ある一時期から共著路線に舵を切っています。

いろいろな人が書くと大学教科書として広く使われるだろうから営業的にも期待できるということで、それはそれなりに合理性がありそうなのですが、今になってボディーブローのように色々と効いているのではないでしょうか。

内田教授の民法教科書など大ベストセラーはなぜか有斐閣からでていませんよね。なぜ東大出版会からでることにになったのかについては色々とあったそうです。私は話を聞いたに過ぎないのですが。

ちなみに有斐閣の最近の売れ筋は江頭株式会社法、水町労働法だそうです。結局単独著の方が売れるんですね。

もうすぐ荒木先生の労働法も出るので有斐閣もさらに巻き返しが出来るのではないでしょうか。


それはどうかな

日経恒例の就職特集が昨日入っていました。

例によって就職希望先企業ランキングが載っています。不景気の影響をもろにうけて、安全志向が強まっていました。

公共サービス系が躍進する一方、メーカーは一気に下がってしまっています。

ずっと同じ会社で働き続けたいという希望や年功序列に対する支持も増えているようです。

就職活動は大変ですし、このご時世を考えて安定を求める気持ちがすごくよく分かります。覇気が足りないなんてとてもいえた話ではありません。心配性が強いとはいえ合理的な選択ではあるのではないでしょうか。

そういう情勢下ですので、例の会社は大躍進していました。その理由で、学生たちが、規模が大きい、安定しているとかを選んでおりそうだろうなとこれらは納得できます。

しかし、納得できないというか、気にかかるのは「仕事が面白そう」も入っていたことです。地味ではありますがイメージを作るのはうまい会社なのでしょうね。

これは絶対、入社後に印象を改めることになるでしょう。まあどんな仕事もそんなに面白いものではありませんので程度の差だと思います。社会にでてから気づくこともたくさんあるということですかね。

どこの会社でも同じだと思うのですが、いい仕事をするにはかなり積極的な姿勢を示さないと回ってきません。安定しているとか規模が大きいに安住すると人事にとっては安全牌になってしまってつまらない日々に沈むことになるでしょう。

法律家は一生勉強だと末吉先生が仰っていたのですが、本質的にはどんな仕事をするにしても一生勉強です。ぜひとも就職活動が終わっても広い意味での勉強を続けて会社を活性化するくらいの気概を示してほしいですね。


まだもどらない…

今年は花粉が本当に早いです。

飲み薬しかまだやっていませんが、鼻のスプレーとか目薬とか早めにいるかもしれません。例年なら3月末くらいから追加すればすむんですが、今年は早めにした方がよさそうです。

doblogはまだ戻りません。週末は休みだったのでしょうかね。平日になったので作業をしてくれていると思うのですが、まだまだのようです。一体どうなるんでしょうか。ここまで長い不具合って例がないんじゃないかと思うのですが、戻ったとしてもどうなるんでしょうか。ユーザーの流出がかなりおきそうです。このブログもすでにその可能性があります。

旧商工ファンドのSFCGが経営破たん

巨大かつ有名な貸金業者である旧商工ファンド、現SFCGが民事再生法の再生手続開始の申立てを東京地裁に行いました。

いわゆる強引な取立てが問題視された会社の一つです。

金融危機の影響が主な理由ですが、その他に過払い金の返還の負担も従来から経営の重荷になっていたことが指摘されています。

きっかけは金融危機ですが、これまでにとってきた一連のアンチ貸金業の態度が結実した結果でもあるでしょう。


最高裁、日経新聞の従業員持株会で社員が譲渡する場合に額面で持株会が取得する仕組みを有効と判断

最近、このブログで従業員持株会について述べることがありますが、それとは性格の異なる従業員持株会について最高裁で判例が出ました。

すでに取り上げたことがありますが、新聞社は報道機関として公正中立な立場を保つため、特別な法律があります。

日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社の株式の譲渡の制限等に関する法律

(株式の譲渡制限等)

第一条  一定の題号を用い時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社にあつては、定款をもつて、株式の譲受人を、その株式会社の事業に関係のある者に限ることができる。この場合には、株主が株式会社の事業に関係のない者であることとなつたときは、その株式を株式会社の事業に関係のある者に譲渡しなければならない旨をあわせて定めることができる。

これによって新聞社は株式の譲渡制限を設けることが出来、株主を一定のものに限定することができます。

実際には、従業員が在職中に従業員持株会を通じて株式を保有して、退職するときに指定されたものに譲渡するまたは持株会が取得するなどの扱いがされています。

その制度を有している日経で、元従業員が社外の人に日経の株式を譲渡したために問題となった事件で最高裁判決がありました。

最高裁判所第三小法廷平成21年02月17日判決 平成20(受)1207 株主権確認等,株主名簿名義書換等,株式保有確認等請求事件

結論は上記のような法律がある以上端的に、譲渡は無効ということで落ち着いています。

かなり特殊な世界なのであまり先例としての意味も内容に思えますが、最高裁は興味深いことを述べて手厚く理由を述べています。

「上告人X2は,上記のような本件株式譲渡ルールの内容を認識した上,自由意思により被上告人Y2から額面額で本件株式を買い受け,本件株式譲渡ルールに従う旨の本件合意をしたものであって,被上告会社の従業員等がY1株式を取得することを事実上強制されていたというような事情はうかがわれない。さらに,被上告会社が,多額の利益を計上しながら特段の事情もないのに一切配当を行うことなくこれをすべて会社内部に留保していたというような事情も見当たらない。」

この上記の言及は一般的な社員持株会の当否を考えるときにも重要な観点になる気がします。


なぜこの時期に去るのか

いつになってもdoblogが完全復旧しませんね。

ここまで時間がかかるのは若干恥ずかしいことなのではないかと思います。

さて、民主党の河村議員が地方自治体の首長への転身を図るおつもりのようです。どうして民主党ではみどころのありそうな人に限って地方に転じるのでしょうか。国政に残っているのがどういうバックボーンを持っている人になるか推して知るべしです。

衆議院法制局のお話によると議員立法に熱心な議員だそうで、その内容の当否は差し控えますが、比較的まともな議員さんなのではないかと思っていました。

もうすぐ政権を取れそうなときなのになぜ地方に転身するのかその動機は非常に気になるところです。

民主党は昔は、青臭い正論をいうところで人間としての成熟さがないことを露呈していると思っていたのですが、今はばら撒き政策とか理屈のつかないことを国会で展開するとかばかりで、以前と様変わりしてしまいました。

とある議会関係者のお話によると、この変節の理由の一部には日本が以前見舞われた金融危機のときの対処があるそうです。これは小渕内閣のときだったのですが、このとき緊急事態だということで民主党は政局にはしないということをはじめから宣言していました。

このときの反省に立って今やっているそうです。あの時政局にしていれば政権が取れたのだという忸怩たる思いがあるのだそうです。

まず10年前に政権がとれたはずだという考えにいたる時点で小児病の気がありますし、現在の何も進まない中でどれだけの人が苦しみを味わうかと思うと、政権をとる以前に何か根本的なものを失ってしまったようです。

私の知っている専門家のなかで、民主党政権に期待するといっているのは東大以外の労働法学者くらいですよ。同意人事とかをすべて通さないとかいう焦土戦術のようなことではなくて、これはすごいという政策をぶち上げて、政権にまい進するとか考えられないものですかね。


マニュアルと化したのか

菅野先生から直接伺ったわけではないのですが、弘文堂から出ている菅野労働法に関して、この本に依拠して戦っている人があまりに多いことからそれらの人々に迷惑にならないように説をかえることはしないと仰っているそうです。

論者によっては、だからもう古いのだという言説がその後に続くらしいです。

しかし、今日においても菅野労働法が古いとは思わないのですが、あまりに卓越した業績ゆえにそこまで影響力が大きくなってしまったということは確かでしょう。

もともと労働法は企業実務で扱う要素が他の法律よりも濃厚であるために、企業の行動原理としてどうしてもここまでやれば安全であるというマニュアルがほしくなります。

そのために労働法の世界は法律以外のマニュアル類が異様に通用力を持っているのですが、そのマニュアルを求める精神構造で菅野労働法も使ってきてしまったため、他の法律書に比べて影響力が大きくなっていることは否定できないと思います。

もっとも菅野労働法も全く改説しないわけではないのですが。懲戒解雇事由が例示列挙か限定列挙かの論点で改説したことがありますね。

もっともそのときに生じた混乱に懲りて、説を改めないスタンスをとられるようになったのかもしれません。

でも菅野先生の改説は全くもってささやかです。山口刑法の第2版を呼んだときの衝撃とは比べ物にもなりません。