Month: 7月 2008

最高裁、簡裁に管轄がある事件で地裁に訴訟提起され、移送申立てがされた場合に、却下する判断基準を判示

地裁と簡裁は訴額で管轄が分かれています。
140万円までの事件だと、簡易裁判所の管轄になります。
これを事物管轄といいます。
これは裁判所の特性というか能力的なものを念頭にして分けているものです。

一方で、簡易裁判所に管轄を合意することも当然できます。
合意管轄は一般的に企業の所在地ということで東京地裁にすることが多いですが、定型的に額が小さい契約などの場合は簡易裁判所にすることも多いです。

この管轄を合意している事件が実際に、事物管轄で線引きしている140万円を下回っているなら問題ないのですが、高額にもかかわらず、簡裁に合意管轄があるときに問題が生じます。

そのようなことが問題となった事件で最高裁が判断を示しました。

最高裁判所第二小法廷平成20年07月18日決定 平成20(許)21 移送申立て却下決定に対する抗告審の取消決定等に対する許可抗告事件

そもそもの事件は、いわゆるサラ金の過払い金返還請求です。しかし消費貸借契約に簡易裁判所に管轄を合意する条項が入っていたため、貸金業者が簡裁への移送を申し立てたという事件です。

返還を請求した過払い金は664万円を超えており、かなりの高額になっています。簡易裁判所が扱うには大きな事件になっているのは確かです。

関連する条文は16条にあります。

第16条(管轄違いの場合の取扱い)
裁判所は、訴訟の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。
2 地方裁判所は、訴訟がその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、前項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。ただし、訴訟がその簡易裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)に属する場合は、この限りでない。

上記の2項から見る限り、地裁で審理できますし、但書には簡裁に合意管轄をしている場合は、移送しないといけない専属管轄の例外であることが分かるので、地裁で審理して当然ではないかと思えます。

しかし、問題となっているのは移送申立てを却下する理由です。
16条2項は「できる」としているので、どういうことを考慮して判断するのかが問題となっているわけです。

事件が大きいことを理由にしてよさそうに思えますが、一方で17条には移送できる場合
の考慮事項が言及されている規定があるため、そこにあるものに限られるのではないかと考えることもできるわけです。

第17条(遅滞を避ける等のための移送)
第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者及び尋問を受けるべき証人の住所、使用すべき検証物の所在地その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。


原々審は、事件が大掛かりであることを端的に指摘して移送申立てを却下したのですが、原審は、17条の「訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるとき」に限られるとして、そういう事情はないとして移送を認めました。

これに対して最高裁は、17条にあるような事由に限られず、地裁で審理することが合理的であるかを広く考慮してよいとしました。
「地方裁判所の合理的な裁量にゆだねられて」いるとしています。

本件は、簡易裁判所に専属的合意管轄をした場合でしたが、判示はこれに限られず、簡易裁判所に管轄があるものの地方裁判所に訴えが提起された場合を広く含む内容となっています。

簡裁は数が多く設置されていますから、とんでもなく遠隔地の簡易裁判所に合意管轄をしているのでなければ、地理的には近い間での移送をするかしないかという問題になります。
よって17条にあるような事由が満たされて移送される場合はあまり考えられなくなります。それよりは、簡裁で扱うのに相応しいものかという点を考慮する方が妥当でありましょう。

最高裁、簡裁に管轄がある事件で地裁に訴訟提起され、移送申立てがされた場合に、却下する判断基準を判示

地裁と簡裁は訴額で管轄が分かれています。
140万円までの事件だと、簡易裁判所の管轄になります。
これを事物管轄といいます。
これは裁判所の特性というか能力的なものを念頭にして分けているものです。
一方で、簡易裁判所に管轄を合意することも当然できます。
合意管轄は一般的に企業の所在地ということで東京地裁にすることが多いですが、定型的に額が小さい契約などの場合は簡易裁判所にすることも多いです。
この管轄を合意している事件が実際に、事物管轄で線引きしている140万円を下回っているなら問題ないのですが、高額にもかかわらず、簡裁に合意管轄があるときに問題が生じます。
そのようなことが問題となった事件で最高裁が判断を示しました。
最高裁判所第二小法廷平成20年07月18日決定 平成20(許)21 移送申立て却下決定に対する抗告審の取消決定等に対する許可抗告事件
そもそもの事件は、いわゆるサラ金の過払い金返還請求です。しかし消費貸借契約に簡易裁判所に管轄を合意する条項が入っていたため、貸金業者が簡裁への移送を申し立てたという事件です。
返還を請求した過払い金は664万円を超えており、かなりの高額になっています。簡易裁判所が扱うには大きな事件になっているのは確かです。
関連する条文は16条にあります。
第16条(管轄違いの場合の取扱い)
裁判所は、訴訟の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。
2 地方裁判所は、訴訟がその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、前項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。ただし、訴訟がその簡易裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)に属する場合は、この限りでない。
上記の2項から見る限り、地裁で審理できますし、但書には簡裁に合意管轄をしている場合は、移送しないといけない専属管轄の例外であることが分かるので、地裁で審理して当然ではないかと思えます。
しかし、問題となっているのは移送申立てを却下する理由です。
16条2項は「できる」としているので、どういうことを考慮して判断するのかが問題となっているわけです。
事件が大きいことを理由にしてよさそうに思えますが、一方で17条には移送できる場合
の考慮事項が言及されている規定があるため、そこにあるものに限られるのではないかと考えることもできるわけです。
第17条(遅滞を避ける等のための移送)
第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者及び尋問を受けるべき証人の住所、使用すべき検証物の所在地その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。
原々審は、事件が大掛かりであることを端的に指摘して移送申立てを却下したのですが、原審は、17条の「訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるとき」に限られるとして、そういう事情はないとして移送を認めました。
これに対して最高裁は、17条にあるような事由に限られず、地裁で審理することが合理的であるかを広く考慮してよいとしました。
「地方裁判所の合理的な裁量にゆだねられて」いるとしています。
本件は、簡易裁判所に専属的合意管轄をした場合でしたが、判示はこれに限られず、簡易裁判所に管轄があるものの地方裁判所に訴えが提起された場合を広く含む内容となっています。
簡裁は数が多く設置されていますから、とんでもなく遠隔地の簡易裁判所に合意管轄をしているのでなければ、地理的には近い間での移送をするかしないかという問題になります。
よって17条にあるような事由が満たされて移送される場合はあまり考えられなくなります。それよりは、簡裁で扱うのに相応しいものかという点を考慮する方が妥当でありましょう。

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大混雑

連日、大学に出かけています。

今日は東大のオープンキャンパスだったようで、非常に学内が混雑していました。
やはり皆さん高校生だけあって若々しい感じでした。
私はもう最初に東大に入ってから10年たってますからそういう点はもうだめです。

ここぞと生協が東大グッズ販売の出店を出していましたが、東大オリジナルの食べ物関係は、品質のわりに高めなので、微妙です。

大手メーカーが作っていることが多いのでその辺が影響しているのかもしれません。
東大ワインも例外ではなく、メルシャンが作っているのですが、随分前に飲んでみたのですがえらくまずかったです。
今はもっとましになったのでしょうか。

判例インデックス・平成20年(2008年)

平成20年中の判例・裁判例について取り上げたエントリーへのリンク集です。
随時編集していきます。
末尾に【】で付した命名は内容が想起できるかと思い、個人的につけたものです。

【1月】
福岡地判平成20年1月8日 平成18(わ)1191 危険運転致死傷(予備的訴因業務上過失致死)、道路交通法違反【福岡飲酒運転3児死亡自動車事故】

【2月】
最高裁判所第二小法廷平成20年02月15日判決 平成18(受)2084 損害賠償請求事件

最高裁判所第二小法廷平成20年02月22日判決 平成19(受)528 所有権移転登記抹消登記手続等請求本訴,貸金請求反訴,所有権移転登記抹消登記手続請求事件

最高裁判所第三小法廷平成20年02月26日判決 平成19(受)1443 取締役解任請求事件

東京地方裁判所平成20年02月26日判決 平成19(ワ)15231 著作権侵害行為差止等請求事件【社会保険庁週刊現代記事部内LANアップロード事件】

知的財産高等裁判所平成20年02月28日判決 平成19(ネ)10073 著作権侵害差止等請求控訴事件【チャップリン格安DVD事件控訴審】

【7月】
最高裁判所第二小法廷平成20年07月04日判決 平成19(受)1401 書類引渡等,請求書引渡等請求事件

最高裁判所第一小法廷平成20年07月10日判決 平成19(受)1985 損害賠償請求事件

知的財産高等裁判所平成20年07月17日判決 平成20(ネ)10009 発信者情報開示等請求控訴事件

最高裁判所第一小法廷平成20年07月17日判決 平成18(受)1818 入会権確認請求事件

最高裁判所第二小法廷平成20年07月18日決定 平成20(許)21 移送申立て却下決定に対する抗告審の取消決定等に対する許可抗告事件

どういう判断をするのか

今日は大学の自習室に行って勉強しました。

さすがに空いていて、学期中の大混雑がうそのようです。
心なしか社会人出身者の比率が高い感じがしました。
自宅にいると子供の世話とかで勉強どころではなくなってしまうからですかね。


痴漢事件で逮捕され、不起訴処分になった方がでっち上げであるとして、被害者とされる女性を訴えている損害賠償請求事件で、最高裁が弁論を開くようです。

第一審、原審とも痴漢を認定して請求を棄却しているそうなのですが、最高裁が弁論を開く以上、結論が変わると思われます。
しかし、事実認定に関することになってしまいますから、職権で判断するのでしょうか。
結論を変えざるを得ないとき、最高裁は無理やり職権で色々と述べることが結構あります。

結論を覆すとしてその後どうなるでしょうか。
事実が出尽くしているなら、破棄自判もできるでしょうが、多分そうはなっていないでしょう。差し戻しになるほうがありそうな気がします。どのような審理を経てきたか分からないので短絡的な予想に過ぎませんが。

サンエー・インターナショナル、同社社長のインサイダー取引で野村證券に責任追及

サンエー・インターナショナルで増資に関係して同社社長がインサイダー取引で証券取引等監視委員会から課徴金納付命令勧告を受けました。

当社社長に関する証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告について

これに関連して同社はインサイダー取引にならないかを野村證券に問い合わせて問題ないと回答を得ていたとして、この事態に対して野村證券に責任追及するとしています。

野村證券株式会社への対応について

普通、意見書の類では、色々と抜け道を用意しているものですが、本件ではどのような内容だったのでしょうか。

アドバイザーに責任を追及するという事象は珍しいと思ったので取り上げました。

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当社社長に関する証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告について
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「着うた」事件でSMEなど4社に審判審決

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楽曲を携帯電話の着信音として配信する「着うた」のサービスでレーベル5社が共同して他者の楽曲使用を制限したとして独禁法違反に問われた事件で、24日に審判審決がでたことが明らかになりました。
公取委のプレスリリース
審判まで争ったのは5社のうち4社であり、東芝EMIは排除勧告を応諾しているため、入っていません。
4社が審判の最後まで争ったというのは若干意外な気がしますが、4社は共同性の認定について異議があるとしています。
この先としては、東京高裁へ提起することができますが、独禁法の審決取消訴訟には実質的証拠法則があります。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
第80条〔公正取引委員会の認定事実の拘束力〕
第七十七条第一項に規定する訴訟については、公正取引委員会の認定した事実は、これを立証する実質的な証拠があるときには、裁判所を拘束する。
②前項に規定する実質的な証拠の有無は、裁判所がこれを判断するものとする。
証拠から導かれた共同性に関する事実認定が合理的であるならば、裁判所はこれに拘束されますので、この先争うのは普通の事件より難しいといえるでしょう。

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第80条〔公正取引委員会の認定事実の拘束力〕
第七十七条第一項に規定する訴訟については、公正取引委員会の認定した事実は、これを立証する実質的な証拠があるときには、裁判所を拘束する。
②前項に規定する実質的な証拠の有無は、裁判所がこれを判断するものとする。


証拠から導かれた共同性に関する事実認定が合理的であるならば、裁判所はこれに拘束されますので、この先争うのは普通の事件より難しいといえるでしょう。

徒労感

ネットワークプリンタをなおそうと思って半日つぶしましたが、だめでした。
どうもプリントサーバが壊れているみたいです。

PC関係でトラブルがあるといつも時間をえらく食うのですが、解決しないと徒労感もひとしおです。
仕方ないのでサポートに連絡しようと思ったのですが、修理依頼のフォームが壊れていて、入力した情報がすべて吹っ飛びました。

絶望的な気分になりました。
もはや嫌がらせです。