Month: 8月 2007

判例が出ているな

東京地裁でチャップリンの映画の著作権についての判決が出たのと最高裁で自己使用文書に関しての判決がでまして、詳しく取り上げたいところですが、いかんせんテスト直前なのでもう少しお待ちください。

勉強だけしていればいいので仕事に比べれば気楽なものですが、それでも相当なきつい上り坂です。

ブルドック、事前警告型買収防衛策を導入

先日まで問題となっていたブルドックの買収防衛策は、スティール・パートナーズのみを対象としたものだったので、その他の買収者に対しては防衛策を持っていない状況でした。
これをうけてブルドックは、事前警告型の買収防衛策を導入して、一般的な買収防衛の体制を整えることになりました。
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ブルドック、事前警告型買収防衛策を導入(日本経済新聞2007年8月30日)
ブルドックソースは30日、事前警告型の買収防衛策を導入したと発表した。20%以上の議決権保有を目指して株式を買い付ける投資家が現れた際に独立委員会で買収防衛策の発動の是非を検討する。(略)
 スティールから5月にTOBを仕掛けられたブルドックは緊急手段としてスティールのみを対象にした買収防衛策を導入、発動し株式の大量取得を防いだ。TOBが終了し、通常時に戻ったため事前警告型の買収防衛策を導入し新たな買収に対しても備える。
 今回の防衛策は取締役会決議で導入したため、来年の株主総会の議案とする。総会で株主に承認されない場合は廃止となる。3分の2以上の賛成票が必要だが法的リスクが低い特別決議にかけるかどうかは未定。
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当然ですが、取締役会決議のみでの導入となりますので、来年の総会で決議を取ることにするようです。
特別決議にするか通常決議でよいかについては未定としていますが、適法性に与える影響はアンケートくらいの意味しかないと私見では考えますので、念を入れても大して効果はないように思えます。
それよりも個別の発動時の事情と態様の方が重要でしょう。

ブルドック、事前警告型買収防衛策を導入

先日まで問題となっていたブルドックの買収防衛策は、スティール・パートナーズのみを対象としたものだったので、その他の買収者に対しては防衛策を持っていない状況でした。

これをうけてブルドックは、事前警告型の買収防衛策を導入して、一般的な買収防衛の体制を整えることになりました。

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ブルドック、事前警告型買収防衛策を導入(日本経済新聞2007年8月30日)

ブルドックソースは30日、事前警告型の買収防衛策を導入したと発表した。20%以上の議決権保有を目指して株式を買い付ける投資家が現れた際に独立委員会で買収防衛策の発動の是非を検討する。(略)

 スティールから5月にTOBを仕掛けられたブルドックは緊急手段としてスティールのみを対象にした買収防衛策を導入、発動し株式の大量取得を防いだ。TOBが終了し、通常時に戻ったため事前警告型の買収防衛策を導入し新たな買収に対しても備える。

 今回の防衛策は取締役会決議で導入したため、来年の株主総会の議案とする。総会で株主に承認されない場合は廃止となる。3分の2以上の賛成票が必要だが法的リスクが低い特別決議にかけるかどうかは未定。
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当然ですが、取締役会決議のみでの導入となりますので、来年の総会で決議を取ることにするようです。
特別決議にするか通常決議でよいかについては未定としていますが、適法性に与える影響はアンケートくらいの意味しかないと私見では考えますので、念を入れても大して効果はないように思えます。
それよりも個別の発動時の事情と態様の方が重要でしょう。

ようやく涼しく

今日は久々に冷房のお世話にならずにすみました。

結局予想通り今年は猛暑でしたね。
天気予報はちゃんと当たるものだと感心しました。

ここのところ毎日勉強しているだけですが、思い出すことが多いのもさることながら、新しく知ることも恐ろしく多くて、これまで何をやってきたのかと思うことがあります。

私が学部生とは様変わりしていて、かなり多くの人が専門的な文献に当たり、本格的に勉強しようと努めています。
そのせいで書籍と雑誌がぼろぼろですが、人数が多いので仕方ないでしょう。
もちろん予備校のテキストを広げている人もいますが…。

法科大学院の評価はまだまだ難しいですが、東大に限っていうなら、志の高い教育自体は行われているといってよいでしょう。
それが結実するかは別問題ですが。

今日も質問の日

今日は憲法と民訴の質問コーナーの日だったので大学に行ってきました。

私自身は質問しなかったのですが、他の質問の説明を聞くと別角度からの勉強になるような気がします。

それにしても憲法で扱った内容がいわゆる芦部教科書と乖離がありすぎて、なるほどとは思うもののなんとなくうまく整理されていません。
うまく体系化して書けるか若干疑問です。

都市対抗の結果を見てみたところ、今のところ順当のようでよかったです。
野球部の人たちは都市対抗の成績が昇進に響くらしいのです。
それはそれで大変そうでした。
各社の応援団の写真も載っていますが、知っている顔がちらほらとありました。
ご苦労様です。ほんとに…。

モリテックス、IDEC提起の株主総会決議取消しの訴えについてリリース

[関連したBlog]
6月27日開催のモリテックスの株主総会に関して、IDECから決議取消しの訴えが提起されたことはすでにお伝えしましたが、これは株主総会の当日に訴状を提出したものでした。
そのためIDECの主張するところの決議の瑕疵関する具体的事実が記載されていなかったとのことで東京地裁から補正書面の提出が指示され、8月24日になり、当該書面が送達されたとのことで、モリテックスから訴訟が提起されたことに関するリリースがありました。
モリテックスのリリース
決議取消しの訴えは、決議の日から3ヶ月以内に提起しなければならず(会社法831条1項)、判例は期間内に提訴しても、期間経過後の新たな取消し事由を追加することを認めません(最判昭和51年12月24日民集30巻11号1076頁)。
よって、当日に急いで訴訟提起したことは、今回の補正書面の提出に比べると意義は薄いようにも思えます。
会社法
第831条(株主総会等の決議の取消しの訴え)
次の各号に掲げる場合には、株主等(当該各号の株主総会等が創立総会又は種類創立総会である場合にあっては、株主等、設立時株主、設立時取締役又は設立時監査役)は、株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。当該決議の取消しにより取締役、監査役又は清算人(当該決議が株主総会又は種類株主総会の決議である場合にあっては第三百四十六条第一項(第四百七十九条第四項において準用する場合を含む。)の規定により取締役、監査役又は清算人としての権利義務を有する者を含み、当該決議が創立総会又は種類創立総会の決議である場合にあっては設立時取締役又は設立時監査役を含む。)となる者も、同様とする。
一 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。
二 株主総会等の決議の内容が定款に違反するとき。
三 株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。
2 前項の訴えの提起があった場合において、株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、同項の規定による請求を棄却することができる。
どういった主張なのかについては明らかにされていませんが、6月27日の総会で争点となった点については、IDEC、モリテックスに対して株主総会決議取消の訴え、職務執行停止・職務代行者選任の仮処分申立を提起をご覧ください。

モリテックス、IDEC提起の株主総会決議取消しの訴えについてリリース

[関連したBlog]

6月27日開催のモリテックスの株主総会に関して、IDECから決議取消しの訴えが提起されたことはすでにお伝えしましたが、これは株主総会の当日に訴状を提出したものでした。
そのためIDECの主張するところの決議の瑕疵関する具体的事実が記載されていなかったとのことで東京地裁から補正書面の提出が指示され、8月24日になり、当該書面が送達されたとのことで、モリテックスから訴訟が提起されたことに関するリリースがありました。

モリテックスのリリース

決議取消しの訴えは、決議の日から3ヶ月以内に提起しなければならず(会社法831条1項)、判例は期間内に提訴しても、期間経過後の新たな取消し事由を追加することを認めません(最判昭和51年12月24日民集30巻11号1076頁)。
よって、当日に急いで訴訟提起したことは、今回の補正書面の提出に比べると意義は薄いようにも思えます。

会社法
第831条(株主総会等の決議の取消しの訴え)
次の各号に掲げる場合には、株主等(当該各号の株主総会等が創立総会又は種類創立総会である場合にあっては、株主等、設立時株主、設立時取締役又は設立時監査役)は、株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。当該決議の取消しにより取締役、監査役又は清算人(当該決議が株主総会又は種類株主総会の決議である場合にあっては第三百四十六条第一項(第四百七十九条第四項において準用する場合を含む。)の規定により取締役、監査役又は清算人としての権利義務を有する者を含み、当該決議が創立総会又は種類創立総会の決議である場合にあっては設立時取締役又は設立時監査役を含む。)となる者も、同様とする。
一 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。
二 株主総会等の決議の内容が定款に違反するとき。
三 株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。
2 前項の訴えの提起があった場合において、株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、同項の規定による請求を棄却することができる。



どういった主張なのかについては明らかにされていませんが、6月27日の総会で争点となった点については、IDEC、モリテックスに対して株主総会決議取消の訴え、職務執行停止・職務代行者選任の仮処分申立を提起をご覧ください。

昔のエントリーを更新しました

実はこのブログのエントリーで長期にわたり安定したアクセスがあるのが、
最高裁、第三者異議の訴えに法人格否認の法理を適用 (2005/07/15)です。

最高裁判所第二小法廷平成17年07月15日判決 平成16(受)1611第三者異議事件 民集第59巻6号1742頁を取り上げたもので、執行逃れに法人格否認の法理を認めたということで意義が大きいためか、今でも検索でこられる方が多いです。

そのエントリーですが、かなり簡易な記述しかなかったので、勉強の復習ついでに内容を補充しました。

以前書いていたときよりも、視点が色々と変わってきました。
ロースクール教育の影響がでていると思います。

逆風のタンタン

福音館書店から出ている絵本のシリーズに「タンタンの冒険旅行」というのがあり、どういう経緯で買い始めたのかは覚えていないのですが、とにかく全巻持っています。

単純にいうと世界を舞台にした冒険物の絵本なのですが、いかんせんかなり古い作品のためか、偏見があるとのことで問題になっているそうです。

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タンタン騒動、各国で広がる=人種差別と訴訟も(時事通信2007年8月27日)

【ブリュッセル26日時事】世界中で親しまれているベルギーの漫画「タンタンの冒険」シリーズの1作をめぐり、植民地主義的で人種差別的な表現が目立ち、動物虐待も目に余るとして、各国でボイコットや訴訟など抗議の動きが広がっている。
 問題の1作は、1930~31年に発表された第2巻「タンタンのコンゴ探検」。主人公の少年記者タンタンが愛犬を連れて当時のベルギー領コンゴ(現コンゴ民主共和国)に出掛け、さまざまな危機を切り抜けて冒険する筋立て。
 作者エルジェ(1907~83年)の視点には当時の植民地に対する偏見に満ちた見方が色濃く反映されており、現地住民を怠け者で劣った人種として描いている。また、野生動物を虐待したり殺したりする場面も多い。
 これに抗議して英国の人種差別反対を掲げる団体が今年7月、書店に販売方法の見直しを要請。米書籍販売大手ボーダーズは、米国と英国のチェーン店で同書を児童書コーナーから大人向けコーナーに移すなどの対応を取った。
(略)
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さて問題となっている描写ですが、日本を悪者にした話もあります。
「青い蓮」というのがそれで、舞台は中国で第二次大戦前夜の大陸進出中の陸軍軍人を悪く描いています。
これは実際の事実に依拠している部分があるので、別に差別だ何だという話ではないと思いますが、日本人がめがねで出っ歯に描かれるなど当時のステレオタイプをそのまま体現しています。

一方、作者は自由主義かつ保守的な思想を有していたため、当時新興の機運に燃えてヨーロッパの多くの知識人の共感を集めていたソビエトを非常に悪く描くなどもしています。

要するに偏っていることとその原因を知っておけば十分楽しめますし、むしろそういった事情を知ることによって色々考察できて楽しいのですが、あまり感心しないという見方もあるとは思います。

日本でも知る人は知っていて、東大駒場のときにフランス語を教わった先生が集めていました。

東京地裁、携帯電話への音楽転送サービス「MYUTA」を著作権侵害と判断

判決からかなりたってしまい、時機を逸している感じがありますがとりあげます。

ブロードバンドの発達でネットワークストレージを利用したサービスが次々現れていますが、それらの中にテレビのコンテンツや音楽など著作物を保存するサービスの一群があります。
どのように定義したらいいのかはわかりませんが、一般に公開することを目的とするものではなく、私的複製の一環としての著作物の活用にストレージをかませるというものが多いのが特徴です。

まねきTVの件では、ストレージは使われていないものの、テレビを転送してPCでみることができるための機器を設置するサービスを適法としました。

一方で、同じテレビで、HDレコーダーを活用したロクラクⅡビデオデッキレンタルというサービスは著作権侵害とされました。

東京地裁平成19年03月30日決定 平成18(ヨ)22046 著作隣接権等侵害差止請求仮処分命令申立事件

さらに、表題に掲げた事件で、東京地裁は、携帯電話へ会員自らが保有している音楽を転送できるようにする「MYUTA」というサービスを著作権侵害と判断しました。

次々とでてくるサービスですが、著作権侵害になるかならないかの決め手はどこにあるのか、複数の裁判例を見ることで考えてみたいと思います。

東京地裁平成19年05月25日判決 平成18(ワ)10166 著作権侵害差止請求権不存在確認請求事件

まず「MYUTA」の内容ですが、事実認定によると会員登録制のサービスで、会員が自ら調達したmp3ないしwmaファイルからaviファイルを作成して、それを3g2ファイルに変換、サーバーにアップロードすると携帯電話にダウンロードできるようになるというものです。
アップロードしたデータにアクセスできるのは会員の携帯電話だけであり、1:1対応になっているとされています。

本件訴訟は、MYUTAのサービスを提供するイメージシティ株式会社が、JASRACを相手取って、差止請求権の不存在確認を求めたものです。

争点は二点になります。
①複製の主体が誰であるか
②本件複製行為が公衆送信権侵害か

①は、MYUTAの提供会社である原告かアップロードするユーザーのどちらかという問題になります。
ユーザーだと、複製行為が著作権侵害であるかの当否はともかく、提供会社としてはサービスを行うのに問題がないということになるわけです。
JASRACは、差止をする相手はユーザーだということになり、矛先をかわすことができます。

この点について、東京地裁は、主体を、提供会社としました。
理由についてはリンク先の判決全文では30~31頁にかけて述べられていますが、決定的なのは、携帯電話で利用可能な形にするには技術的にかなり難がありそれを可能とする仕組みを提供会社が整えているという点だと思われます。
このことについては、この部分に先立つ27~28頁にも「極めて重要なプロセス」として言及があります。

②について、主体が提供会社と判断したため、利用が1:1対応になっていても、潜在的にユーザーは不特定として公衆送信にあたるとしています。

会員登録してからアップロードするのであり、不当的多数がアクセス可能な状態にしているのとは違うような気がしますが、主体を提供会社としているのでそう解せないこともないかもしれません。
鶏が先か卵が先かという問題のような気もしますが。


①②をまとめて捉えて著作権侵害になるのはどういうときなのかと考えてみると、提供会社がかなり寄与をするようなサービスでは、主体が提供会社になって著作権侵害となるといえるかと思います。

上記「まねきTV」では、提供会社は場所を貸して機器を置いてあげて、アンテナとつないでくれるだけであり、他には何のサポートもしてくれません。普通のロケーションサービスと対価も含めてなんら変わらないということが判示では強調されていました。

これに対して「MYUTA」では、上記のように技術的に難しい携帯電話で利用可能にすることを提供会社がシステムを用意して実現していることが引っかかったものと評価できます。

技術的な発展が非常に盛んですので、今後も司法判断を伺うサービスの登場は続くと思いますが、あまり親切でないサービスなら適法となるというのは、単純に考えるとおかしな感じがします。

判決から3ヶ月もたってしまっていますので、本件判決についてネット上にはすでに見解がかなり多く出されています。
専門家ではない方からは、よく分かっていない裁判官が出した判決だという意見が結構ありましたが、裁判長の高部さんは知的財産の専門家であり、多くの知的財産判決に関与しておられますので付言しておきます。