独禁法事情

福岡高裁、セブンイレブンのフランチャイジーが値引き制限で損害を被ったとしてセブン-イレブン・ジャパンに対して提起した損害賠償請求の控訴審で、一部のフランチャイジーに対する値引き制限行為を否定して、認容額を縮減

セブン-イレブン・ジャパンの値引き制限が独禁法上の問題となったことで、フランチャイジーであるフランチャイズオーナーからフランチャイザーであるセブン-イレブン・ジャパンに対して損害賠償請求訴訟が複数提起されたことはすでにこのブログでもお伝えしています。

このブログではすべてを取り上げられてはいないのですが、値引き制限が公取委によって排除措置命令がでたことで損害賠償の帰趨も本部にとっては難しいのではないかと思っていたのですが、いくつかの訴訟によっては値引き制限行為自体が認められないとして、請求が棄却されたりするという展開をたどっていました。

このたび、一審で、3人のフランチャイジーに対して600万円余の損害賠償命令が出ていた訴訟の控訴審で、そのうち二人に対する値引き制限行為を否定して、認容額を110万円に縮減した判決が出たことが明らかになりました。

まだ報道でしか確認できていませんが、報道での原判決の認容額からいくと、この事件は、福岡地裁平成25年 3月28日判決判時2209号10頁の控訴審であると思われます。

すると原判決では、認容額はそれぞれ220万、220万、165万なので、認容額が110万とすると、値引き制限行為が認められた分についても認容額が縮減されているものと思われます。

裁判例情報

福岡高裁平成26年11月7日判決

音楽著作権管理のイーライセンス,公取委がJASRACの件で出した排除措置命令を取り消した審決の取消訴訟を提起

公取委が,JASRACに排除措置命令を出して,その後,自らこれを取消す審決を出すというよくわからない経緯をたどった一件がありましたが,この件に更なる特異な続きが付加されました。

この排除措置命令に直接は出てこない音楽著作権管理会社のイーライセンスが,この排除措置命令を取り消した審決は間違いであるとして取消訴訟を提起したことが明らかになりました。

つまりJASRACに排除措置命令を出したのが正当だったのだという主張といえましょう。

 

審決取消訴訟ということになりますので,行政訴訟法から考えますと,処分の相手方以外でも原告適格があるかというよくある問題になるわけです。

すなわち法律上の利益があるかということになり,新司法試験の行政法の問題のような検討をすることになりそうです。

イーライセンスは,排除措置命令を取り消した事実認定について不満があるようなのですが,法律上の利益があるのかという訴訟要件の点についても争点となりそうです。

大雑把なところ,競争を保護しているのが独禁法の世界ですが,ライバル業者の利益というのはどのように考えればいいのかということから,結論が分かれてくるということになるのでしょうか。

福岡地裁,セブンイレブンの値下げ制限を独禁法違反と認めて,閉店した元フランチャイジーによる損害賠償請求を一部認容

セブンイレブンの値引きに関する問題は一時期,世間を騒がせまして,このブログでも,何度も取り上げました。

それに起因する訴訟で判決が出ましたので取り上げます。

福岡地裁は,閉店したセブンイレブンのフランチャイジーである元オーナーが,値引き制限で損害を被ったとして,2600万円余りの損害賠償請求をフランチャイザーである本部に対して提起した事件で,値引き制限を独禁法違反と認めて,220万円の支払いを命じました。

セブンイレブンに賠償命令 値下げ制限は独禁法違反 – 47NEWS(よんななニュース)2011/09/15 18:07 【共同通信】

大手コンビニのセブン―イレブン・ジャパン(東京)加盟店の元経営者が、値下げ販売を不当に制限されたなどとして、同社に約2600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁は15日、制限を独占禁止法違反と認め、同社に220万円の支払いを命じた。

田中哲郎裁判長は判決理由で「値下げ販売をやめるように繰り返し指導したことで、店側の取引を不当に拘束した」と独禁法違反を認定。「販売価格の拘束がなければ、値下げすることで利益を上げることができた」と述べた。

(略)

値下げ制限を独禁法違反とした点に注目するべきであることは確かなのですが,それに加えてもう一点,値引き制限をしていなければさらに利益を上げられたとしている点も興味深いところです。

これは,値引きをすると見合いが生じてしまって安く売らざるを得ないというところなどまで考慮に入れているのか,それともそのような経済学的な話ではなく,廃棄ロスを店側負担にしている仕組みだったため,それをしなければその分利益が出ていたという話なのかが気になるところです。

裁判例情報

福岡地裁平成23年9月15日判決

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

公取委,山陽マルナカに2億円の課徴金納付命令を出す方針を固める 優越的地位濫用に対する課徴金納付命令は初

公取委がスーパーを運営している山陽マルナカに対して,納入業者に従業員の派遣や返品を強要したとして,優越的地位濫用で課徴金納付命令を出す方針を固めた模様です。

平成21年度の独禁法改正で課徴金の対象が拡大されており,優越的地位濫用もこのとき対象となりました。

本件はこの改正によって優越的地位濫用に対して課徴金納付を命じる第1号になる模様です。

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

公取委,合併審査の事前相談を廃止へ

まだ公取委からリリースはないのですが,大手各紙が昨日18日に一斉に,公取委の合併審査の見直し案の全容が明らかになったとして報道がなされ,その中で事前相談が廃止されることが明らかになりました。

asahi.com(朝日新聞社):合併の事前相談を廃止へ 公取委、審査不透明と批判受け – ビジネス・経済2011年2月19日7時22分

公正取引委員会は、企業合併・買収(M&A)の審査で続けてきた、企業からの「事前相談」制度を廃止する方針を決めた。経済界から「事前相談が合併審査を不透明にさせている」との批判を受け、近くとりまとめる企業結合規制の見直しの柱にする。

事前相談は、合併や買収を計画する企業が独占禁止法にもとづく正式な届け出を公取委に出す前に、計画が法に反するおそれがあるかどうか公取委の見解をうかがう制度。独禁法に相談の規定はなく、公取委は「サービスの一環」として続けてきた。

欧米の公取委にも事前相談制度はある。しかし、日本の経済界や経済産業省は「法的な根拠もないのに、追加資料の提出を求められるなど手続きに時間がかかる」「実質的には相談段階から審査が始まっている」などと見直しを求めてきた。

(略)

法的根拠もないのに不透明だとかいう経済界からの批判にこたえたものですが,実のところ組織再編関係の行為が行われる全体から見てみると,事前相談がされるのは比率としてはわずかであり,廃止しても大した影響はないという判断もある模様です。

しかし,利用は少ないとはいっても,大きな企業同士の場合など影響が大きいものについては,予防法務的な観点からすべからく行われていたでしょうから,規模まで考えに入れると利用の少ない制度の廃止とはわけが違うと思われます。

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

 

独禁法改正、審判制度廃止で排除措置命令に対する不服は東京地裁に申立てへ

公取委の審判制度廃止が現実のものとなりそうです。

審判制度の廃止と、代わりに東京地裁に取消訴訟を提起できるようにする独禁法の改正案が閣議決定されます。

長年の懸案がこんなにあっさりと現実のものとなろうとしていることに驚きを感じます。

公取委処分、不服申し立て東京地裁に 審判制度廃止、閣議決定へ(日本経済新聞2010年3月12日)

政府は12日、企業が公正取引委員会の行政処分に異議を申し立てる「審判制度」の廃止を盛り込んだ独占禁止法改正案を閣議決定する。企業が直接、東京地方裁判所に処分の取り消しを訴える仕組みに改める。裁判では企業が反論の証拠を新たに出せるようにもする。2011年秋にも新たな制度に移る見通し。東京地裁がどこまで専門性の高い判事を養成できるかも課題になりそうだ。

(略)

「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案」の国会提出について

法案の重要な点は以下の三点です。

  • 審判制度を廃止
  • 代わりに抗告訴訟を設けて東京地裁の専属管轄に
  • 排除措置命令の事前手続きの充実化

これに合わせて憲法上の問題点にもなっていた実質的証拠法則も廃止されます。

独禁法独自の世界が大いに縮減されて、普通の行政法の分野に極めて近くなる改正といえます。

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

公取委、排除措置命令の受命者以外の審判請求適格を否定

公取委から排除措置命令を受けたもの以外が審判請求をしたという珍しい事件で、公取委は審判請求適格がないとして却下する判断を下しました。

株式会社リコムに対する審決について

この事件はもともとは景表法の事件で、シャンピニオンエキスというものを使用した製品を製造販売している会社が、表示の内容の合理的裏づけがないとして排除措置命令を受けたもので、各社はそれを争わず履行しています。

上記のリコムはシャンピニオンエキスを製造販売する会社で、排除措置命令を受けたわけではないのですが、エキスに効能がないといわれると商売が成り立たないとして関係があるということで争ったというものです。

公取委は、独禁法の審判は行政訴訟につながるものであることから原告適格について行訴法9条が妥当するとして、行訴法9条1項の検討を景表法について行っています。その結果、景表法の趣旨から、取引業者が不利益を被るとしても事実上のものに過ぎず、それらまで法的に保護はしてないとしました。

独禁法の問題というよりは行政法の原告適格についての事件となっています。

これで取消訴訟をすると東京高等裁判所からになってしまいますが、完全に行訴法の法律問題であるのに、三審級の審理を受けられないのはやや変な感じがしますが、そのように制度設計をした以上仕方がないと思われます。

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

公取委、ブラウン管カルテルでパナソニック系各社に対する審判開始

JAPAN LAW EXPRESS: 公取委、ブラウン管カルテルで課徴金納付命令 外国企業に命じるのは初」の続報です。

関与したとされた各社のうちパナソニックの子会社とこの会社の東南アジアにある子会社が、課徴金納付命令に不服を示したため、審判が開始されることになりました。

MT映像ディスプレイ株式会社ほか3社に対する審判開始について(テレビ用ブラウン管の製造販売業者らによる価格カルテル事件)

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

東京高裁、着うた事件で参入妨害を認定 レコード会社の請求を棄却

JAPAN LAW EXPRESS: 【「着うた」事件】SMEなど4社、審決取消訴訟を提起」の続報です。

「着うた」をめぐってレコード各社が参入妨害をしたとして、公取委が排除勧告を出したことがありましたが、レコード各社のうち4社が審判で争ったものの結論は変わらず、審決取消訴訟を提起していました。

このたび東京高裁は公取委の判断を支持したレコード各社の請求を棄却しました。

「着うた参入妨害」認定 東京高裁、4社への審決支持(日本経済新聞2010年1月29日)

携帯電話に歌声入りの曲を配信する「着うた」をめぐり、大手レコード会社4社が新規参入を妨害しているとして独占禁止法違反(不公正な取引方法)を認めた公正取引委員会の審決の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京高裁は29日、公取委の審決を支持し、4社の請求を棄却した。

(略)

提訴していたのは、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)、ビクターエンタテインメント、ユニバーサルミュージック、エイベックス・マーケティングのレコード会社4社。(07:00)

判例・裁判例情報

東京高裁平成22年1月29日判決

関連記事

JAPAN LAW EXPRESS: 公取委、「着うた」に排除勧告

JAPAN LAW EXPRESS: 「着うた」で排除勧告のレコード会社のうち4社、排除勧告を応諾せず

JAPAN LAW EXPRESS: 東芝EMI、「着うた」に関する排除勧告に応諾

JAPAN LAW EXPRESS: 「着うた」事件審判開始、排除勧告を応諾しなかった4社は争う姿勢を示す

JAPAN LAW EXPRESS: 「着うた」事件でSMEなど4社に審判審決

JAPAN LAW EXPRESS: 【「着うた」事件】SMEなど4社、審決取消訴訟を提起

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

クアルコムに対する審判開始の関連資料

JAPAN LAW EXPRESS: クアルコム、公取委の排除措置命令に不服で審判開始決定」の関連情報です。

それほどたいした追加情報ではないのですが、審判開始に関する公取委のリリースと昨年にだされた排除措置命令に関するリリースへのリンクを張っておきます。

クアルコム・インコーポレイテッドに対する審判開始について

クアルコム・インコーポレイテッドに対する排除措置命令について

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ