商事法務事情

トヨタ、個人株主の増加を目的として種類株式を発行へ

トヨタ自動車が個人株主の増加を目的として種類株式を発行することが発表されました。

トヨタ自動車、中長期保有を前提とした「AA型種類株式」の発行に向けた手続きを開始 | TOYOTA Global Newsroom

トヨタは個人株主が少ないとのことでその拡大が課題とのことで、社債に近い種類株式を発行することで、個人株主の投資を呼び込む意図のようです。

この種類株式ですが、上場している企業による種類株式発行の先例である伊藤園の種類株式とは異なり、上場はしないものとされています。

内容を大まかにまとめると以下のような内容とされています。

  • 譲渡制限
  • 議決権有
  • 配当が5年間で徐々に増加
  • 5年後には普通株式への転換か発行価格での取得請求が可能、トヨタも全部取得請求が可能

社債に近い内容の種類株式ですが、議決権はあることが特徴的です。その他にも諸々の良好な条件が付いているため、この種類株式の発行価格は普通株式よりも相当高くなることが予想されます。

種類株式の活用は、会社法と東証の上場規則の改正などから例が見られるものの、それほど多数の活用例があるわけでもないような印象です。このトヨタの種類株式は大変意欲的な内容で注目されるものと思われます。

 

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ルノー、株主総会で株式を2年以上保有した株主に2倍の議決権を与える制度の導入を決定 フランス政府による政府の保有株式の議決権を増加させることが目的

フランスには、2年以上保有した株式の議決権を2倍とする法律が存在されているとのことですが、これがフランス政府による企業への介入に使われる事態が生じており、具体的にはルノーに対する影響力増大に使わることが明らかになりました。

仏政府、ルノーへの議決権2倍に 日産の経営に影響も  :日本経済新聞 2015/5/1 10:09

【パリ=竹内康雄】フランスの自動車大手ルノーと筆頭株主の仏政府が対立していた問題が決着した。30日のルノー株主総会で、株式を長期保有すると議決権が2倍になる制度を導入することが固まった。制度採用を後押ししたマクロン仏経済産業デジタル相は「長期保有の株主を優遇する資本主義を守れた」と歓迎。今後はゴーン最高経営責任者(CEO)がどう対応するかが焦点だ。

 2014年に成立したフランスの通称「フロランジュ法」は株式を2年以上持つ株主に2倍の議決権を与えると定めた。ただ株主総会で投票者の3分の2が反対すれば適用されない。主要2株主である仏政府と日産自動車のバランスが崩れると懸念したルノー経営陣は、株主総会に現行制度存続を求める議案を提出した。

 仏政府はルノー株を一時的に買い増してこれを否決に持ち込んだ。賛成が60.53%で反対は39.39%だった。これを受け、仏政府のルノーへの議決権は従来の15%から28%に増える見通し。日産はルノー株を15%保有するが議決権はない。

(略)

ヨーロッパでは景気がよくないこともあり、企業への介入や排外主義が頭をもたげてきているきらいがあるようですが、フランスでは政府が企業経営に介入して事業戦略の合理性よりも、雇用維持や国内産業の保護を求めている模様です。このような介入が過度になると結果として国際競争力を損なうことになりますので、最終的には自らの首を絞めることになると思われます。国内経済への配慮を政治的に求めたかわりに国内的に優遇するということも考えられないでもないですが、WTO体制の下ではそのような優遇措置はできない筋合いのものですので、やはり企業にだけ無理を強いるだけということになりかねないように思われます。

また、別の問題なのですが、このような立法が行われたことの法的適合性が日本法の観点からはやや驚きです。

日本では株主平等原則を捨てない限り、単純に特別の立法でこのような仕組を導入することは難しいと思われますが、日本法の下でも種類株式を用いれば同様の仕組みは可能であるかもしれません。

比較法的にも非常に興味深い事象であるとはいえそうです。

 

 

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平成26年改正会社法施行、上場企業で100社超が監査等委員会設置会社に移行へ

会社法制定以来の初の大改正と行って良い平成26年改正会社法が5月1日から施行されました。

この改正法の内容は多岐にわたりますが、そのうち監査等委員会設置会社へは、上場している企業の中から意向を表明した企業がすでにかなり出ており、日経の報道によると100社を超えることが明らかになりました。

改正会社法1日施行 社外取締役が経営監査、上場100社超移行  :日本経済新聞 2015/4/30 23:35 日本経済新聞 電子版

企業統治(コーポレートガバナンス)の強化を主な目的とした改正会社法が5月1日に施行される。社外取締役が経営を監査する新制度「監査等委員会設置会社」の導入などが特徴で、100社を超す上場企業が新制度に移行する見通しとなった。

(略)

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株式交付型の役員報酬の導入が進んでいることが明らかに

役員報酬の大きな流れとして、退職慰労金の廃止の流れ、固定報酬から業績連動部分を入れる流れなどがありますが、業績連動報酬についてはストックオプションからさらに次の段階に発展して、ポイント制によって現金を交付するものや株式を交付するものが生まれてきています。

近時は特に、株式交付型が信託銀行が開発したサービスを導入するという形で広がってきており、日経の調べによると現在30社が導入しており、年内に100社ほどが導入する模様であることが明らかになりました。

役員報酬 自社株で 大林組やKDDI 年内に100社 業績連動性高く 株主重視の経営めざす :日本経済新聞 2015/4/25付 日本経済新聞 朝刊

役員の報酬として自社の株式を交付する企業が増えている。一定期間の業績に連動する形で交付する株式数を決める仕組みで、大林組やKDDIなど導入企業は年内に100社を突破する見通しだ。業績向上への動機づけを高めつつ、報酬の透明性を確保する。企業に報酬改革を求めたコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の適用を控え、固定給中心の日本型報酬が変わり始めた。

(略)

上記記事では、コーポレートガバナンスコードの適用による変化である点も言及されています。

コーポレートガバナンスコード原案のうち、以下を受けてのものであると考えられます。

【原則4-2.取締役会の役割・責務(2)】

(略)

また、経営陣の報酬については、中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させ、健全な企業家精神の発揮に資するようなインセンティブ付けを行うべきである。

補充原則4-2①

経営陣の報酬は、持続的な成長に向けた健全なインセンティブの一つとして機能するよう、中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定すべきである。

上記のようなコードの内容は、あくまで健全なインセンティブを求めているのであり、インセンティブ報酬を導入することを求めているというわけではありません。そうなると、業績を評価して付与する株式に結び付けるポイント制の設計やいつ株式を付与するのか、いつ売却できるのかなどの仕組みの内容と、その説明がコードで求められているということになりましょう。

役員報酬の設計もまた、大きな流れがある分野ですので、今後も先進的な実務が次々と開発されていって、変化していくものと思われます。

 

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株式会社三菱 UFJ フィナンシャル・グループ、指名委員会等設置会社へ移行 取締役の3分の1以上を独立社外取締役とすることもルール化へ

東証、上場企業に2名以上の独立社外取締役の選任を求めるコーポレートガバナンスコードを6月から施行へ 選任しない場合には理由の説明が求められることに | Japan Law Expressの関連情報です。

上記リンク先の記事でお伝えした通り、東証のコーポレートガバナンスコードでは、独立社外取締役を2人以上選任するべきとされていますが、それに関わらず、独立社外取締役を3分の1以上とするならばそれを開示することも求められています。

この内容に対応する実例が早速現れてきましたので取り上げます。

株式会社三菱 UFJ フィナンシャル・グループは、これまで委員会等設置会社と呼ばれていた指名委員会等設置会社への移行を、6月の定時株主総会での承認を前提として、公表しました。

指名委員会等設置会社への移行について

このリリースの中で指名委員会等設置会社への移行と同時に「MUFG コーポレートガバナンス方針」の制定についても公表され、その中に独立社外取締役が3分の1以上をしめることもルール化するとされました。

これは、とりもなおさず、東証のコードで推奨されることになる内容の先取りということになりましょう。

コーポレートガバナンスの実務の動きが早速始まっているということができ、今後の規模の大きな上場企業から同様の動きが相次ぐものと思われます。

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東証、上場企業に2名以上の独立社外取締役の選任を求めるコーポレートガバナンスコードを6月から施行へ 選任しない場合には理由の説明が求められることに

金融庁と東証がまとめる「コーポレートガバナンス・コード」で、上場規則に複数の社外取締役の設置を求めることが明らかに | Japan Law Expressの続報です。

上記記事を受けて、昨年12月17日に東証からコーポレートガバナンス・コードの基本的な考え方(案)が公表されていますが、当該コードが6月から施行され、上場規則でこのコードの内容を実施しない場合には説明をすることが求められるという形で、上場規則の整備が行われることになり、2月24日にパブリックコメントに付されました。

コーポレートガバナンス・コードの策定に伴う上場制度の整備について

コードの内容は多岐にわたることから、独立社外取締役の点だけ取り上げるのは適当ではなく、他にもさまざまなコーポレートガバナンスに関する内容について、行うべきとされていることが示されており、実施しない場合には説明が求められるという形になっています。

コードのうち、独立社外取締役についての箇所は以下の通りになります。

【原則4-8.独立社外取締役の有効な活用】
独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきである。また、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、自主的な判断により、少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、上記にかかわらず、そのための取組み方針を開示すべきである。

上記だけ読むと、開示するべきは、後段の3分の1以上の独立社外取締役の選任に関する場合に限られそうに読めますが、そもそも全体を拾う規定として以下のようなものがあり、全体の内容について説明をしないといけない立てつけになっています。

【原則3-1.情報開示の充実】
上場会社は、法令に基づく開示を適切に行うことに加え、会社の意思決定の透明性・公正性を確保し、実効的なコーポレートガバナンスを実現するとの観点から、(本コード(原案)の各原則において開示を求めている事項のほか、)以下の事項について開示・公表し、主体的な情報発信を行うべきである。
(ⅰ)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画
(ⅱ)本コード(原案)のそれぞれの原則を踏まえた、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針
(ⅲ)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続
(ⅳ)取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続
(ⅴ)取締役会が上記(ⅳ)を踏まえて経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選任・指名についての説明

上記プレスリリース内に書かれていますが、 “Comply or Explain”(原則を実施するか、実施しない場合にはその理由を説明するか)が、コーポレートガバナンスの規律方法として確立して久しいですが、その段階がさらに進展したということになります。

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経済産業省、「産業構造審議会 知的財産分科会営業秘密の保護・活用に関する小委員会」、中間とりまとめを公表 不正競争防止法の改正の方向性を打ち出す

不正競争防止法の改正の方向性については、すでにお伝えしていますが、中間とりまとめの形で内容がまとめられましたので取り上げます。

産業構造審議会 知的財産分科会 営業秘密の保護・活用に関する小委員会-「中間とりまとめ」について(METI/経済産業省)

簡単にまとめると以下の通りです。

  1. 営業秘密の不正取得・領得の国外犯処罰規定の新設
  2. 営業秘密の取得及び使用・開示行為について、未遂処罰化
  3. 営業秘密の転得者の処罰規定の新設
  4. 営業秘密侵害品(営業秘密を不正に使用して生産された物品)であることを知って、故意でそれを譲渡・輸出入等する行為を処罰対象化
  5. 罰金刑の引き上げ
  6. 営業秘密侵害罪の非親告罪化
  7. 民事訴訟における被害企業の立証負担の軽減
  8. 営業秘密侵害行為の差止請求権について除斥期間を20年に延長
  9. 営業秘密侵害品について譲渡・輸出入等する行為を差止・損害賠償の対象化

中間とりまとめでは上記の5の罰金刑については、金額までは明記されていませんが、報道では10億円とする方向と報道がされています。また、5の関連で「海外重課」と言及されていますが、海外の企業が行った場合には重く取り扱うことも中間とりまとめで言及されています。利益没収についても規定を置くことが明記されています。

営業秘密というと技術的なものがまず想起され、実際に大きな問題となって金額も巨額の損害賠償となって顕在化しているのは技術情報なのですが、顧客情報等も入ることから、人事労務管理の問題にもなるところです。

問題状況は広いということも再確認したいところです。

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2014.12.18 法律関係tweetまとめ

[法律]ベネッセと情報流出事件で、持株会社の個人株主が、同社が対策費用として支出した260億円について当時の役員6人に責任追及の訴えを提起するように提訴請求(12月15日)。厳重な情報管理体制を構築して運営する責任を怠ったとしており、任務懈怠があると主張の模様。

金融庁と東証が開催している「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」において、コーポレートガバナンス・コード原案が承認される

金融庁と東証がまとめる「コーポレートガバナンス・コード」で、上場規則に複数の社外取締役の設置を求めることが明らかに | Japan Law Expressの続報です。

12月12日に開催された「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」において、コーポレートガバナンス・コード原案が承認されました。

大きく分けると5つの原則なのですが、それぞれ細かく分かれているので、全体としてはかなり大分にわたります。

コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議(第8回)議事次第:金融庁

コーポレートガバナンス・コードの基本的な考え方(案)

5つの原則だけ抜き出すと以下の通りになります。

【株主の権利・平等性の確保】
1. 上場会社は、株主の権利が実質的に確保されるよう適切な対応を行うとともに、株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備を行うべきである。
また、上場会社は、株主の実質的な平等性を確保すべきである。少数株主や外国人株主については、株主の権利の実質的な確保、権利行使に係る環境や実質的な平等性の確保に課題や懸念が生じやすい面があることから、十分に配慮を行うべきである。

【株主以外のステークホルダーとの適切な協働】
2. 上場会社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出は、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーによるリソースの提供や貢献の結果であることを十分に認識し、これらのステークホルダーとの適切な協働に努めるべきである。
取締役会・経営陣は、これらのステークホルダーの権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に向けてリーダーシップを発揮すべきである。

【適切な情報開示と透明性の確保】
3. 上場会社は、会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・経営課題、リスクやガバナンスに係る情報等の非財務情報について、法令に基づく開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報提供にも主体的に取り組むべきである。
その際、取締役会は、開示・提供される情報が株主との間で建設的な対話を行う上での基盤となることも踏まえ、そうした情報(とりわけ非財務情報)が、正確で利用者にとって分かりやすく、情報として有用性の高いものとなるようにすべきである。

【取締役会等の責務】
4. 上場会社の取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図るべく、
(1) 企業戦略等の大きな方向性を示すこと
(2) 経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと
(3) 独立した客観的な立場から、経営陣(執行役及びいわゆる執行役員を含む)・取締役に対する実効性の高い監督を行うこと
をはじめとする役割・責務を適切に果たすべきである。
こうした役割・責務は、監査役会設置会社(その役割・責務の一部は監査役及び監査役会が担うこととなる)、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社など、いずれの機関設計を採用する場合にも、等しく
適切に果たされるべきである。

【株主との対話】
5. 上場会社は、その持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主総会の場以外においても、株主との間で建設的な対話を行うべきである。
経営陣幹部・取締役(社外取締役を含む)は、こうした対話を通じて株主の声に耳を傾け、その関心・懸念に正当な関心を払うとともに、自らの経営方針を株主に分かりやすい形で明確に説明しその理解を得る努力を行い、株主を含むステークホルダーの立場に関するバランスのとれた理解と、そうした理解を踏まえた適切な対応に努めるべきである。

上記のうち、原則4から導かれる細則として、独立取締役については以下のような規律が含まれています。

【原則4-8.独立社外取締役の有効な活用】
独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきである。
また、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、自主的な判断により、少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、上記にかかわらず、そのための取組み方針を開示すべきである。

上記のように5つの原則自体は結構抽象的ですが、細目となると上記の独立取締役についての規律のように結構具体的であることから、かなり具体的にガバナンス強化を求めるものといえそうです。

報道によると東証は上場規則として、6月1日から適用する方針とされています。

山喜、ノンコミットメント型のライツ・イシューで資金調達 東証の規制後初の事案であり同社は株主総会の承認を条件とすることも公表

東証、平成26年10月から、ノンコミットメント型のライツ・イシューを規制へ | Japan Law Expressの関連情報です。

上記従前の記事のとおり、東証は会社法の規定にかかわらず、新株予約権の発行のうち、ノンコミットメント型のライツ・イシューと呼ばれる株主割り当てであるものの未行使分の新株予約権について、行使を約束する引受人がいない類型について、規制を設けています。

この規制が設けられて以降、初のノンコミットメント型のライツ・イシューで資金調達をする事例が出ましたので取り上げます。行うのはシャツの大手の山喜になります。

山喜のプレスリリース

会社作成のQ&A

上記リリースから明らかなとおり、本来取締役会の権限であるものの、株主総会の承認を得ることを条件とするとされており、その理由として株主に影響があることを挙げており、さらに東証の上場規則で規制があることにも言及があります。したがって、ソフトローによる規制が実務態様にそのまま影響を与えたということになります。

また、本件では、株主の承認について、普通決議とされています。

この点、東証の上場規則では、株主の意思の確認という言い方をしているため(有価証券上場規程304条(2)b)、具体的な決議要件は実行しようとする会社それぞれの判断となるところです。

もっとも、経営権を巡って争いがあるなどの特段の事情がない限り、普通決議で意思確認をするというので十分と思われます。