2018年も法改正の予定や改正法の施行が多数ありますが、個人的に特に関係性の深いものをリストアップしておこうと思います。
1、2018年4月1日 この日以降、無期転換ルールの適用対象が多く発生すると見込まれる
2013年4月1日施行の平成24年の労働契約法改正で有期雇用の無期転換ルールが設けられましたが、有期雇用の多くが、雇用期間を1年としていることから、「5年を超える」雇用契約の締結の実績を満たすのが、2018年4月1日以降の契約更新の際になると予想されます。なお、3年の有期雇用などをしていた場合にはすでに6年の雇用契約を締結していると思われますので、すでに無期転換の対象になっていることがありえます。したがって、4月1日以降に順次発生するだろうという事実上の現象にすぎないことになります。
このため、無期転換時の労働条件について、別段の定めをしておくという意味で、無期転換就業規則を制定するなどについて、実務対応が急がれているところと思われます。
ちなみに、昨今の人出不足により、導入当初とは状況が様変わりしており、無期転換阻止の為の雇止めなどは、かつて予想されていたよりも小規模になると思われますし、求人が非常に旺盛であることから無期転換に雇用安定を期する労働者も従前よりは少ないものと思われます。
2、2018年5月25日 EU一般データ保護規則施行
個人情報の域外持ち出しを制限するEU法なのですが、雇用管理に関する情報も含まれるため、影響する範囲が案外広いことになります。
グループ企業の人事情報は当然、全世界で一括管理をしており、その場所は世界の意外な場所に所在していることもあるため、確認が必要になると思われます。
新聞報道では、日本はEUと同等の個人情報保護をしている国として認定されるように行われている交渉の推移に期待する旨が書かれていたのですが、そもそも日本に個人情報が来ているといえる管理方法なのかが問題となりうるため、どのような体制になっているのかの確認が必要になるといえると思われます。
ちなみにこの実務対応は、日本の改正個人情報保護法の対応に近く、すでに同様の経験をした企業はそれなりに多いものと思われます。
3、2018年9月30日 改正労働者派遣法施行から3年
改正法の施行日が10月1日ではなく、9月末日であった点がポイントですが、派遣期間制限、特定派遣業の廃止などの期限は、9月29日になります。
このため、同一組織単位をめぐる問題、派遣の受け入れに関する社内手続きの有効性の問題などの論点に関連して、違法な派遣が9月30日以降発生することが予想され、労働契約申し込みみなし制度の適用対象として提訴する動きなども出るものと予想されます。
4、通常国会で働き方改革関連法案が国会提出の予定
改正法関係では、従来からの労基法改正案と働き方改革関連法案が国会に提出されるはずなのですが、政治の問題となるためどうなるのか定かではありません。仮に成立した場合にしても、周知期間が短くなるので、当初の予定である来年4月施行も難しそうに思われます。