新株予約権発行の仮処分では勝利したライブドアですが、次なる一手としてニッポン放送が保有する株を手放してしまい、ニッポン放送を支配してもフジサンケイグループへの支配につながらない事態になるのを避けるため、ニッポン放送の全役員に対して重要視さんの保有継続を求める書面を送ったことが明らかになりました。
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買収対象となった会社が資産を放出して、魅力ある買い手でなくなることで買収を逃れるM&Aの防衛方法をクラウン・ジュエルといいます。
今回のライブドアの書面は奏しないように釘をさす狙いがあるようです。
ただ、法的には、0とはいいませんが、あまり意味はありません。
実際は株主は会社の持ち主と入っても細かいことは完全に取締役という経営陣に信託してしまっているためで、定款でわざわざ定めない限りは、株主が会社のことでイニシアチブを発揮できるのは、営業譲渡くらいです。
商法260条2項1号より、重要資産の売却は取締役が勝手にやってはいけないのですが、取締役会の承認があればできるので、株主に拒否権があるわけではありません。
ライブドアの行為はまさに牽制に過ぎません。
さて、持株会社なら実際の事業はしていないので、保有株の売却はやることをなくしてしまうことになり、営業譲渡だといえるかもしれません。
ニッポン放送は持株会社のような役割も果たしていますが、一方でラジオもやっており事業会社でもあります。
この持合が生んだハイブリッドな会社で保有している株式を売却するのは法的には何に当たるのでしょうかね。
考えてみると面白い問題ではあります。