線引きの難しさ


[関連したBlog]

ジャストシステムの代表ソフト一太郎・花子が特許侵害で製造販売禁止の判決がでたことを先日取り上げましたが、もう少し深い事情があることをしったので、取り上げてみます。

パソコン専門誌の日経パソコンに出ていたのですが、ジャストシステムと松下は問題となった特許についてジャストシステムの別の製品についても同じ事で争っていたとのことで、そちらではすでに平成16年8月31日に同じく高部裁判官より判決が出ておりジャストシステムが勝訴しています。
そちらの判決全文はこちら

こちらの事件では、ジャストホーム2家計簿パックというソフトに関してのものです。
端的にいうと、松下の特許のクレームは、アイコンをクリックしてヘルプモードを起動して、その状態で別のアイコンをクリックするとその昨日が小さく浮かぶように表示されるというものです。このクレームの作り方はどうなのかなと個人的には思いますが…。

さてジャストホームでは、一太郎と違いクエスチョンマークなどでヘルプモードの起動をするため単なる記号として、特許侵害にはならないとしています。

これに対して一太郎や花子では、モードの起動がマウスとクエスチョンマークからなるイラストになっており、これはアイコンということで違いがでた直接の原因となっています。

このちょっとした違いで結論が変わるのはひどいではないかというのが、ジャスト側の訴えです。
もっともだと思いますが、逆に言うと「アイコン」の意味が完全に空洞化しかねず、特許の法をおよそ意味のないものにしてしまいかねないことの裏返しでもあります。

クレームがあまり良くないとは思いますが、これは当事者が請求したものを特許庁が認めて出来上がるものですので、裁判所としては何とか意味のあるように読むしかないのでしょう。

この線引きは非常に微妙で難しいですね。
法律は一線を越えると完全に判断が変わるようなことが結構あるので、判断に悩むことはよくあります。
しかし、なし崩しにすると法制度そのものの存在意義をゆるがせますから非常にならざるを得ない面もあるのですよね。
高部裁判官もバランスを取ったつもりなのだと思います。

さて、実際問題としては解決する道もないわけではないですよね。
ジャストホームの方の事件が控訴されているのかによってかわりますが、法的判断でアイコンとはみなされないものに一太郎と花子も変えてしまえばいいわけですね。

その辺も含めてしばらく騒ぎは続くのでしょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

One thought on “線引きの難しさ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)