退任した役員が、その後、会社法上の機関ではない名誉的な地位につくことが日本企業では多く見受けられますが、近時、これについて、法令上の責任を負っていないのに経営陣に事実上の影響を与えていることから不当であると厳しい見方が外国の機関投資家を中心になされるようになってきました、
これを受けて、トヨタ自動車は、慣例的に就任するのをやめ、社外取締役が審査を行う制度にしたことが明らかになりました。
役員退任後に相談役・顧問 トヨタ、慣例廃止 社外取締役らが起用審査 :日本経済新聞 2018/1/5付 日本経済新聞 朝刊
トヨタ自動車は相談役と顧問の制度を見直す。これまでは役員が退任した後、慣例で一定期間、相談役や顧問に就いていた。今後は社外取締役らが職務や権限、報酬の必要性などを審査したうえで起用するかどうかを判断する。現在は計約50人が相談役または顧問に就いているが、今年6月に東京証券取引所に提出する報告書から相談役などの情報を記す。
(略)
従来は、副社長以上の退任役員は相談役を4年、専務以下の役員は1年から2年間顧問に就任していたとのことで、これを自動ではなくするとのことです。
起用に説得的な理由がつかない場合には、見送られることになる可能性もあるわけですが、批判の根底にある責任がないのに影響力を行使しうるという点は、起用を決断するような有為な人材ほど、影響力があることになりかねないので、実は答えになるのか微妙である可能性もあるようにも考えられます。