最高裁、暴力団排除条項に基づいて条項新設前に開設された口座の解約を有効と判断して、道仁会会長らの請求を棄却した原判決を支持して上告を棄却


銀行の取引約款に暴力団排除条項が導入されて久しいですが、この条項を根拠に、暴排条項導入前に開設された暴力団幹部の口座を三井住友銀行、みずほ銀行が解約したところ、解約の無効を主張して両行が提訴されましたが、第一審福岡地裁、控訴審福岡高裁とも解約を有効としていました。

これに対して上告、上告受理申立がされましたが、最高裁は棄却する決定をしていたことが判明しまして、暴力団排除条項を遡及適用して口座を解約することを有効とする判断が確定しました。

 

銀行勝訴の判決確定 道仁会会長らの口座解約巡り  :日本経済新聞 2017/9/1 21:24

預金口座の解約を巡って訴えを起こしたのは、暴力団道仁会の小林哲治会長ら幹部2人。三井住友銀行、みずほ銀行に解約の無効を訴えたが、7月に「暴力団排除で既存口座を解約することには合理性がある」との判決が最高裁で確定した。

 確定判決によると、幹部2人は1999~2006年に口座を開設した。両行は10年2月、約款に「暴力団組員と判明した場合、口座を解約できる」との暴排条項を追加。15年4~5月に2人の口座を解約した。

 2人は暴排条項の導入前に遡った解約は無効だとして提訴。「口座は社会生活に欠かせず、不利益が大きい」と訴えた。

 一審・福岡地裁判決は口座が違法行為に使われる危険性を重視し「既存口座を解約できなければ暴排の目的を達成できない」と判断した。二審・福岡高裁も解約が有効と認めた。2人は上告したが、最高裁第3小法廷(林景一裁判長)は7月11日の決定で上告を退け、銀行の勝訴が確定した。

 

なお、原判決では、口座がいわゆる生活費口座ではないことにも言及があり、該当する場合には解約が制限される可能性も否定されてはいません。

しかし、第一審判決では、銀行口座がなくてもおよそ社会生活が営めないわけではない旨が指摘されたり、第一審判決、原判決とも暴力団を脱退すれば解約という事態は回避できるので自分で何とか吸うることができるという点に言及がされています。

ここからいきますと、生活費口座であっても必ずしも解約が制限されるわけではないという結論になるように思われます。

実際、生活費口座なら解約できないとなると、反社会的な目的と生活目的を混在すれば回避できてしまうことになりますので、やはりそのような解釈が妥当ということになりましょう。

 

 

判例情報

最高裁平成29年7月11日決定

福岡高裁平成28年10月4日判決

福岡地裁平成28年3月4日判決

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。