厚生労働省、福島第一原発事故後の収束作業に当たった東電社員の甲状腺がんり患を労災認定


福島第一原発事故の収束作業に従事した労働者に電離放射線に係る疾病り患が発生した事例が出ており、事例によっては労災認定されたり、事例によっては業務起因性が否定されて労災認定されないなどの結論になっています。

労災認定されたものは白血病だったのですが、このたび、甲状腺がんのり患を労災認定した事例が出ました。

甲状腺がんで初の労災認定 福島原発の収束作業  :日本経済新聞 2016/12/16 22:25

厚生労働省は16日、東京電力福島第1原子力発電所事故の収束作業に従事した後、甲状腺がんを発症した東電社員の40代男性を労災認定したと発表した。同原発の事故後の作業を巡る労災認定は3例目だが、甲状腺がんによる認定は初めて。

 厚労省によると、男性は1992年に東電に入社し2012年4月まで放射線業務に従事した。11年3月の事故は屋外で遭遇。その後は原子炉の水位計の確認や燃料の給油などを担当した。事故発生時から対応に当たった作業員の労災認定は初。

 男性の入社後の累積被曝(ひばく)線量は149.6ミリシーベルトだが、福島事故後が139.12ミリシーベルトと大半は事故後だった。男性は14年4月に甲状腺がんと診断され、現在も通院を続けている。

 甲状腺がんの労災認定には基準がなく、厚労省の有識者検討会は15日、「累積被曝線量が100ミリシーベルト以上」の場合などに認定するとの考え方をまとめた。厚労省はこれに基づき、男性の事例は労災に当たると判断。16日に富岡労働基準監督署が労災認定をした。男性には医療費が支給される。

(略)

電離放射線による疾病の労災基準については通達で基準がありますが、甲状腺がんについては定められておらず、電離放射線によって引き起こされる疾病であることが記載されているのみで労災認定の可否は個別判断となっていました。

電離放射線に係る疾病の業務上外の認定基準について(昭和51年11月8日基発810号)

このたび、甲状腺がんについても厚生労働省の研究会で医学的知見が示されたのに合わせて、これに照らして労災認定がされたという経緯をたどっています。

甲状腺がんと放射線被ばくに関する医学的知見を公表します |報道発表資料|厚生労働省

この医学的知見はあくまで現時点のものであり、当面の労災補償の考え方に過ぎませんが、認定基準が従来よりも多くの疾病について定められたという意味を有するものと思われます。

 

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。