2017年度末までに厚生年金未加入事業所の実態調査へ


厚生年金の適用事業所は、法人でありさえすればすべて該当します。

法人なりが多い日本においては個人事業主に雇用されている例は、比較的少数という帰結になりますので、実のところ雇用されている人は労働時間の要件などを満たせば厚生年金の被保険者資格を取得していることになるはずなのです。

しかし、法人であるのに未加入であったり、適用対象の個人事業主でも未加入である事業所は結構あるのが実態です。そこで安倍総理の指示で全事業所の調査を行うことになりました。

厚生年金未加入疑い、17年度末までに全事業所調査 首相指示  :日本経済新聞 2016/1/13 21:41

厚生労働省は厚生年金の加入を逃れている企業の実態調査を強化する。安倍晋三首相が13日の衆院予算委員会で、塩崎恭久厚労相に対策を指示する考えを表明した。厚労省の推計によると、約200万人が厚生年金に加入せず国民年金のままになっている。未加入の疑いのある全事業所の調査を2017年度末までに実施する方針だ。

 調査の対象になる事業所は15年9月時点で79万カ所ある。日本年金機構を通じて調査票を送り、加入状況を調べる。未加入であることが確認でき、督促しているにもかかわらず支払う意思を示さない事業所には職員が訪問して指導する。実態調査は15年4月から始め、9月までに18万カ所の調査を実施したが、時間がかかっている。

(略)

未加入の事業所は零細企業が多いとされ、厚労省は「経営に配慮して保険料を督促する」方針。強制徴収権の発動には消極的で、どこまで加入が進むかは不透明だ。

 

国民年金と厚生年金とでは年金額がえらく異なるほか、徴収する保険料も比較になりませんので、将来の生活保障の観点及び保険料の徴収増を目指す観点から適用拡大を図っているのですが、それをさらに総理の指示で拡大するということになります。

実のところ、年金事務所から未加入を指摘されて加入させられると保険料をさかのぼって納めることを求められる例が多いのに対して、それまでは加入しないといけないのに怠っていた事業所が任意に申し出て加入すると、過去の保険料を納めることまでは求められないことが多くなっています。

上記では強制徴収の発動には抑制的とありますが、これは滞納がある場合には租税滞納処分の例によるとなっているのにそれを使わないことが原則となっているということです。

それに対して、この調査の結果、加入を命じられることは当然出るわけで、その際に保険料の遡りをどこまで求められるかはまったく別の問題といえましょう。調査の進展をにらみつつ、自主的に加入を行うべきといえ、その際には給与の支給額を見直さないと社会保険料負担で経営に悪影響が出る事態が起きるように思われます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。