改正高年齢者雇用安定法による65歳までの雇用義務については、再雇用の形で応じた企業が大半ですが、再雇用についても人件費の増大を避けるためや年齢構成の適正化の観点から、有期雇用、嘱託として業務内容も制限的にする例などが大半でスタートしました。
その後、人材確保の観点から、法律上要請される最低限を超える積極的な内容に改める例が出てきていますが、その例に東京信用金庫が加わりました。
東京信用金庫、65歳以降も雇用継続へ-年齢制限撤廃、経験・知識を若手に伝える:日刊工業新聞 2015年09月11日
東京信用金庫(東京都豊島区、半澤進理事長、03・3984・9111)は65歳以降も職員の雇用を継続する方針を決めた。現行では60歳の定年時に雇用した職員は65歳で契約期間が終了する仕組みだが、年齢制限を撤廃する。業界内では珍しいという。人口減少社会に突入する中、シニア層を積極的に活用することで現場で経験や知識を若手に円滑に伝える体制を整える。
現在、東京信用金庫の60歳以上の再雇用職員は80人程度で、全職員の1割超に相当する。本人の希望を聞き取り、健康で職場に貢献できると会社が判断した場合、雇用延長する。人数に制限は決めていないという。
同金庫では、14年に再雇用職員を部長や支店長など上級管理職に起用する「上級ライン管理職コース」を導入していた。今回、幅広いシニア層が活躍できる場を設けることで、会社全体の底上げにつなげる。
東京信用金庫の定年後再雇用の仕組みの詳細は不明なのですが、上記の報道から行くと、有期雇用で65歳を期限としている模様ですが、それを制限なしに更新をするということである模様です。
すると契約期間が5年を超える事態が生じるように思われますので無期転換が気になりますが、専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法で認められた厚生労働大臣の認定で適用除外になりますので、これを活用することでリスクを回避することはできることにはなります。
しかし、無期転換制度の適用除外がされても、雇止め法理などの適用がある有期雇用の原則に戻るだけですので、雇用期間の設定について完全に自由にできるかは不明なところがあります。
高齢者の雇用であるというところは最大の考慮要素になるとは思われますが、いつでも自由に雇用調整ができるかというとそうではない可能性には注意が必要であるといえるでしょう。