大阪労働局及び京都労働局、36協定の上限時間を超える時間外労働、休憩の不付与、割増賃金の未払いがあったとして、まいどおおきに食堂などを運営するフジオフードシステムと店長などを送検 大阪労働局過重労働撲滅特別対策班による初の送検事例とされる


労働基準監督行政においては過重労働の指導を強化していますが、東京労働局過重労働撲滅特別対策班(通称「かとく」)の送検第一例が、著名なABCマートであったのは記憶に新しいところです。

かとくは、大阪にもあり、東京で第一例が出たこともあり、世間に対する示威的な効果も考えての送検第一号を考えているのではないかと憶測していたのですが、このたび、初の送検事例が出ました。

送検されたのは、まいどおおきに食堂などを展開するフジオフードシステムでして、著名な企業を取り上げたという点に、ABCマートの件との共通性を見ることができるように思われます。

当ブログのtwitterでの速報ですでにお伝えしていますが、大阪労働局のウェブサイトから報道発表がされましたので改めて取り上げます。

違法な長時間労働、賃金不払い残業等で書類送検 大阪労働局8月27日発表

問題となったのは、なんと17店舗であり、多岐にわたることから京都労働局と連携して捜査をした事案となっています。

被疑事実は、ABCマートと同じ、36協定の上限を超えての時間外労働のほかに、休憩を与えなかったこと、一部店舗における割増賃金の未払いの3点となっています。

送検されたのは、会社と店長、エリアマネージャーなど16名となっています。

 

法的な観点から注目するべきは、以下のようなところかと思われます。

1 休憩の点

まず、休憩を与えていないという点が含まれていることです。

休憩を与えないと労働基準法違反として刑事罰の対象となることは改めて注意をするべき点だと思われます。

2 割増賃金の未払いと送検対象者

次に、割増賃金の未払いが入っているにもかかわらず、会社の代表者が送検されていないことも注目されます。未払いがある場合には、給与支払者である手前、代表も送検されることが多いものですが、本件では、全体のうち未払いがあったのはごくわずかである点が影響しているのかもしれません。

3 体制の不備に言及しながら代表を送検していないこと

上記2のように言いましたが、一方で大阪労働局のプレスリリースによると、会社の体制不備も指摘しています。このような事実があって調書が取れた場合には、代表者をむしろ送検する方向に作用しますので、今回は見送ったものの、代表の送検もありうることが伺われてきて、注目するべき記述だと思われます。

4 36協定の特別条項についての点

プレスリリースによると、同社はどうも36協定に特別条項を付けていなかった模様です。指摘されている時間外労働はどれも100時間を超えていますので、特別条項をつけていたとしても特別条項越えとなり、36協定違反という同じ結果になったと思われますが、別の対策もありえたという点では示唆を受けるところでもあります。

 

印象論ではありますが、時間外労働が100時間を超えてくる規模になると、やはり送検の対象となってくるような印象があります。長時間労働で心疾患になった場合の労災の認定基準などと平仄があっているわけですので根拠は一応はあることになりますが、メルクマールとして労務管理に注意を払う際の目安とするべきと思われます。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。