高松地裁、多胎妊娠で胎児1人の死亡が確認されたことから、残りの胎児を帝王切開して出産したところ、障害が残ったために提起された損害賠償請求訴訟で、請求全額を認容


出産事故で非常に判断の難しい事案について、判決が出たことが明らかになりました。

「帝王切開判断早すぎ」日赤に2億円の賠償命令 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 2015年04月23日 07時41分

三つ子の胎児の1人が死亡後、帝王切開で出産した残る2人のうち長男(12)に重い障害が起きたのは医師の切開の判断が早すぎたためとして、高松市在住の両親と長男が病院側に介護費用など2億1147万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、高松地裁であった。

福田修久裁判長は両親らの主張を認め、病院を運営する日本赤十字社に請求全額の支払いを命じた。

 判決によると、母親が高松赤十字病院(高松市)入院中の2003年2月、胎児1人の死亡が判明。医師の勧めですぐ帝王切開を受け、残る男女2人を妊娠30週と6日で産んだが、長男には重い脳障害が起き、常時介護が必要になった。両親らは12年9月に提訴した。

 福田裁判長は判決で、3人の胎児が胎内でそれぞれ違う膜に包まれていた点を挙げ、当時の医学的知見ではこうした場合、「胎児死亡の他の胎児への影響は限定的とされていた」と指摘。長男の障害が妊娠32週以前の早産児に多いことを踏まえ、「脳障害予防の観点から可能な限り胎児の成長を待つべきだった」と述べた。

(略)

判決全文を見ていないので何とも言えないのですが、上記報道からうかがわれる限りでは、3名の胎児がいて1人が死亡している場合に、他の胎児を直ちに出産するべきであるかということ、その上で、生じた障害がこの早期の出産に起因しているのかが争点となった模様です。

報道によると、証拠調べの結果、当時の医学的知見では、胎児1人が死亡しても違う膜につつまれていた場合には他の胎児への影響は限定的であったということになり、過失があったと判断された模様です。医学の知識がないのでこの見解の当否がわからないのですが、大変重い判断であるということは言えそうです。なお、妊婦は当時29歳と別の報道では言及されています。

また、この訴訟では日赤側は、損害額についての反論としていなかったために、請求全額認容となったきらいがある模様です。損害額の認定は、裁判所が主張を待たずにできるはずのところではあるものの、実際のところ主張を待ってのところも多分にある部分です。

日赤側の訴訟方針も判断の難しいところがあったのかもしれません。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。