金沢労働基準監督署、労災の認定に当たり、持ち帰り残業の時間が問題となった事案で、作業を再現して時間を計測することで時間外労働の時間を算定して労災認定を行ったことが判明


行政が行う労災の認定の要件は業務遂行性と業務起因性ですが、時間外労働の量は業務起因性に関わる事実になります。

労災認定にあたり時間外労働の時間は、タイムカードやパソコンのログイン時刻などから認定していきますが、そのような客観的資料が難しいのが持ち帰り残業であり、認定されることがあまりないとされてきました。

このたび、持ち帰り残業の時間を独創的な方法で認定して、労災認定がなされていたことが明らかになりました。

 

英会話講師の自殺、持ち帰り残業原因と労災認定 :  読売新聞(YOMIURI ONLINE) 2014年11月07日 09時51分

 金沢市の英会話教室の女性講師(当時22歳)が自殺したのは、長時間の持ち帰り残業が原因だったとして、金沢労働基準監督署が今年5月、労災認定していたことが遺族の代理人弁護士への取材で分かった。

 女性は一人暮らしだったため、自宅での残業時間数を労基署が推定し、認定した。

 遺族の代理人弁護士によると、女性は2011年3月下旬から、子供向け英会話教室を運営する「アミティー」(岡山市)の金沢校で勤務。6月4日に自宅マンションから飛び降り、死亡した。女性は自殺する直前、親族や知人に自宅に多くの仕事を持ち帰っているとメールや電話で訴えており、遺族が13年1月に労災認定を申請した。

 労基署の資料によると、女性は教室でのレッスンのほかに、イラストや英単語を書き込んだ教材用カードの作成も行っていた。労基署は、女性の自宅での労働状況を調べるため、実際に同様のカードを作成し、自宅で残業時間が月に82時間、学校での残業分を含めると月111時間に達したと推定。女性が長時間労働でうつ病を発症したと認定した。

(略)

 

上記の報道によると、労基署は判明していた持ち帰り残業の業務内容と同じことを自ら再現してみて、時間を推測した模様です。

これはどのような作業をしていたのかが判明しているという特殊事情によるところが大きく、持ち帰り残業の認定にはいずれにせよ困難があるということは基本的には変わっていないものと思われます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。