福岡高裁那覇支部、自筆証書遺言の押印として花押を認める事例判断


遺言の作成は、完全に様式行為となっており、法律で決められた形を守らないと効力が生じないものです。

第968条(自筆証書遺言) 
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

その要件の中に、押印があるのですが、この押印について、花押でもいいとした極めて珍しい事例判断の裁判例が出ました。

「花押」は「印」…高裁も遺言書有効と判断 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)2014年10月24日 10時03分

手書きのサイン「花押かおう」が印鑑の代わりに記された遺言書の有効性が争われた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部は23日、1審・那覇地裁判決と同様、花押について、民法が遺言書に必要とする「印」と認め、遺言書は有効と判断した。

 控訴審判決によると、遺言書は、琉球王国の名家の末裔まつえいにあたる沖縄県内の男性の名義。男性は2003年に85歳で死亡し、遺言書には息子3人のうち次男に財産を譲るとしたが、押印がなく、署名と花押が記されていた。今年3月の1審判決は、花押が平安時代から文書作成者の特定に使われてきたなどとして遺言書は有効とした。

 原告の長男と三男は控訴審で「父は押印が必要と知りながら、あえて印鑑を使っておらず、遺言書は無効」と主張したが、須田啓之けいじ裁判長は「印鑑を用いていないというだけで無効とは言えない」とし、長男と三男の控訴を棄却した。

法律の求める印に、花押が入るという判断ですが、上記報道では十分言及されていませんが、日経の報道によると、原判決は遺言者は生前から花押をよく用いてきたという事実が大きな意味を持っている模様で、本判決もそれを支持している内容になっている模様です。そのようなことを踏まえると、かなり特殊な事例判断ということになりそうです。

裁判例情報

福岡高裁那覇支部平成26年10月23日判決

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。