福島第一原発で作業に当たっている下請会社の原発作業員、危険手当の支払いがないとして下請会社のほか東電も提訴


福島第一原発で作業に当たっている下請企業に雇用されている作業員が、危険手当が払われていないとして、雇用主である下請け企業のほか東電まで提訴したことが明らかになりました。

福島原発作業員が東電提訴、危険手当など未払いで約6200万円請求| Reuters 2014年 09月 3日 17:10 JST

[いわき市/東京 3日 ロイター] – 東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原発の事故処理で危険手当など所定の賃金が支払われなかったとして、作業員2人と元作業員2人が3日、東電とその協力企業を提訴した。東電と下請けを含む協力企業合計17社に対し、未払いの危険手当や残業代約6200万円の支払いを求めている。

作業員らが訴えたのは東電のほか鹿島(1812.T: 株価, ニュース, レポート)、太平電業(1968.T: 株価, ニュース, レポート)など。訴状では、「東電から下請け企業に対して支払われている危険手当は、原告ら末端の労働者には行き届いておらず、中間搾取が放置されている」などと主張している。

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提訴後、原告2人が都内で記者会見した。現在も福島第1原発で作業に従事する55歳の男性は、多重の下請け会社が作業員確保の過程に介在する中で危険手当が中抜きされている現状を告発した。

「(作業員確保で)口利きしただけで(危険手当の)何割かをむしり取っていく悪質な業者があまりにも多すぎる。東電には(現状を)改めていただきたい」と訴えた。

上記報道を見る限り、偽装請負などと同じ問題構造で東電との雇用関係の確認を求めるというものではなく、下請け構造が介在することで、東電からの報酬が減っていくことを問題視しているようです。

すると、危険手当なるいかにも賃金の一部らしきものを東電が支払っているのに勝手に目減りしているという話題とは若干異なる可能性があります。作業員の賃金を決めるのはあくまで雇用主である下請け企業であるため、東電の支払った報酬がそのままいかないといけないというわけではないのが原則となるからです。

一方で、建設業の場合、労務費は社会保険料なども含めて支払うようになどということが指導されており、その限りでは発注と下請けの関係を超えて、そのままの支払いが認められる場面もありますが、原発事故対応の作業の場合にはどうなるのでしょうか。

危険手当をそのまま支給するように東電が求めて報酬を支払っているのかどうかもわかりませんし、そもそもそれが守られなかったとして当然にどのような行為が取れるのか、義務があるのかなどは、なおさら難しい問題であるような気がします。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。