最高裁、火災保険金の支払い免責事由「被保険者の悪意・重過失」の立証責任を保険者に負わせる


火災保険は、商法665条より理由の如何を問わず火災が発生したら保険金が支払われるとされていますが、同条に引用される商法641条より、保険者の悪意(=故意)・重過失の場合は免責されるとされています。
この法定された内容はそのまま約款にも規定されていますが、火災保険の保険者の悪意・重過失の立証責任についてはじめて判断した最高裁判決がでました。記事はこちら。判決全文はこちら
結論から言うと、保険者(=保険会社)に立証責任を負わせました。
理由としては生活基盤の再建のため迅速な支払いが求められることと被保険者側からは立証が難しいことが述べられています。
重過失がなかった事の立証はそれほど難しくないような気がしますが、この件は、保険会社側が放火を主張していた事案であり、下級審では事実の立証が争点となっていた事を見逃せないでしょう。
さて保険の免責事由についての判例ですが、上告理由で引用されていた通り、生命保険の免責事由については判例があります。
こちらでは被保険者に負わせたのですが、これは生命保険に付加された災害割り増し特約の要件である「不慮の事故」をめぐるもので、これまた一般化は困難といえるでしょう。
今回の判決の理論だと火災の発生が保険金支払い要件で、免責事由として悪意・重過失を規定しているのを重視しているので、この規定の仕方に関する見方を重視するなら一般化ができそうです。
しかし、一方で火災保険の性格にも言及しており、その点からは生命保険などは別といえるかもしれません。もっとも、遺族の生活継続のために不可欠という理屈の立て方はできるのでやはり同じでしょうか。
それにしても、最高裁が法律審であることが改めてわかる事案ですね。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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