王将フードサービス、未払残業代2億5500万円があったことを公表


王将フードサービスで未払い残業代があったことが明らかになりました。

餃子の王将、未払い賃金2.5億円 是正指導受け判明:朝日新聞デジタル

中華料理店チェーン「餃子(ギョーザ)の王将」を展開する王将フードサービスは14日、従業員923人に対して計2億5500万円の未払い賃金があったと発表した。京都下労働基準監督署京都市)から昨年12月に是正指導を受けて調べた。昨年7月~今年2月にかけ、主に店の従業員の残業代を適切に支払っていなかったことが判明したという。

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端数分の賃金2億5千万余未払いだった王将 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 中華料理店「餃子ギョーザの王将」を展開する王将フードサービスは14日、従業員923人に近く、未払い賃金計2億5500万円を支払うと発表した。

 本来は1分単位で管理すべき勤務時間を、15分か30分単位で記録していたため、5分や10分といった「端数」の労働が賃金の支給対象外になっていた。

 昨年12月に京都下労働基準監督署(京都市)から指導を受け、全従業員1万4000人を対象に社内調査をした結果、未払いが判明した。王将によると、昨年7月から今年2月にかけ、正社員やパート、アルバイトなどの一部賃金が未払いだった。

 今回判明した未払い期間より前については、王将は「さかのぼって調査する予定はない」とした。

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内容としては残業代を30分単位で取り扱っていたということで、これは30分行かないと時間外労働としてつけないということだと思われます。同様の取扱をしている企業は結構あるように思われますが、法律上は特に切り捨て等について定めがないため、ありのままに分単位で扱わないといけないものです。

ただし、通達があり、分単位で計算していったものを月の締めをするときに合計して、その合計を30分単位で切り捨て切り上げをすることは許容されています(昭和63年3月14日基発150号、婦発47号)。あくまで通達ですので、法的に有効なのかは別論ですが、実務の扱いがとてつもなく煩雑になることを避けるために、切り捨て切り上げも許容される場面もあるということは覚えておいてよいものと思われます。

また、本件の端緒が労働基準監督署による是正勧告であることも象徴的です。タレこみによって労基署が入ったのか、そうではないのかは定かではないのですが、労基署が入ったことで、過去一定期間分の未払い残業代をまとめて支払うことを是正勧告という形で指導されることがよくあります。

この指導で未払い残業代の支払いを命じる場合は、労働基準法上の時効にかかっていない2年分すべての支払いを命じるのはよほど悪質なケースだけで、大抵の場合には、それより少ない月数の支払いをすれば行政としてはよいとするということになります。これは行政がそれ以上動かないというだけで、労働者にとっての賃金請求権が失われるものではありませんが、とにかく王将といては是正勧告の内容に従うだけであることを述べているのが「さかのぼって調査する予定はない」というコメントなのだと思われます。

いくつかの点で示唆的な内容を含む事象であると思われます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。