肥後銀行、自殺した行員の遺族からの損害賠償請求訴訟において、長時間労働と自殺との因果関係を認める


肥後銀行,36協定の上限を超える時間外労働をさせていたとして,労働基準法違反で罰金30万円の略式命令を受ける | Japan Law Expressの関連情報です。

肥後銀行において、長時間労働について刑事事件となる事態になったのが上記リンク先の事象ですが、この件はきっかけが行員の自殺であり、長時間労働による自殺と見受けられる点があったというものでした。刑事罰のほかに自殺については、労災認定がすでにされています。

この件では、自殺した行員の遺族から同行に対して損害賠償請求訴訟が提起されており、その訴訟の中で、長時間労働と自殺の因果関係について同行が認めたことが明らかになりました。

「長時間労働で自殺」 肥後銀、因果関係認める-熊本のニュース│ くまにちコム

2012年にうつ病で自殺した肥後銀行の男性行員=当時(40)=の遺族が、自殺の原因は長時間労働による過労だったとして、同行に約1億7千万円の損害賠償を求めた訴訟で、銀行側が当初の主張を撤回し、自殺と長時間労働の因果関係を認めたことが10日、分かった。
 同行は昨年8月と11月の口頭弁論で因果関係などを否定し、争っていた。だが今年4月、熊本地裁に提出した準備書面で「男性が長時間の過重な労働でうつ病を発症したこと、それを被告(銀行)が認識し得たこと、うつ病に罹患した結果自殺した点については、従前の主張を撤回し、これを認める」と改めた。

(略)

同行文化・広報室は主張を改めたことについて「略式命令を受けての反省など、諸事情を勘案して判断した。裁判ではご遺族の意向をできるだけくみ取り、誠心誠意対応したい」としている。第3回口頭弁論は今月18日。

(略)

刑事罰、労災認定などの事実の積み重ねから考えると妥当とも見えなくもないですが、法的には別物といえば別物ですし、行政の判断がされているからといって必ず民事訴訟における因果関係まであるかというと別問題であろうと思われます。

因果関係そのものは、規範的要件ではなく、普通の要件ですので、自白の対象になるわけですが、自殺という行為が介在している場合には、評価に近いものが出てきますので、被告の側で因果関係を認めるという判断もなかなか難しいものがあるように思われます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。