日本郵便、東京メトロの子会社などで、非正規雇用の労働者が正社員との賃金の差について労働契約法20条に基づいて請求する動きが発生


昨年改正された労働契約法の内容のうち、有期契約であることを理由とする不合理な労働条件の違いを禁じる規定が盛り込まれていますが、この規定に基づいて正社員との賃金の差について請求を行う訴訟が提起されたことが明らかになりました。

東京メトロ子会社:非正規労働者ら賃金格差などで賠償提訴 – 毎日新聞 2014年05月01日 10時29分(最終更新 05月01日 13時04分)

東京メトロの駅売店で働く非正規労働者ら4人が1日、売店を運営する東京メトロの子会社「メトロコマース」(東京都台東区)を相手取り、正社員との3年分の賃金格差を含む計約4250万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。有期契約を理由に正社員との間に不合理な労働条件の格差を設けることを禁じた改正労働契約法(2013年4月施行)を根拠とした初めての裁判になる。

提訴したのは、全国一般東京東部労組メトロコマース支部の後呂(うしろ)良子委員長(60)ら2人と、定年になった組合員2人。訴状などによると、4人は3カ月から1年の契約を更新しながら物品販売などの仕事をしてきた。正社員と非正規労働者の仕事の内容は同じなのに、賃金には月給制と時給制という違いがあり、ボーナスも正社員の年間約150万円に対して非正規は2種類の雇用形態に応じて59万円または26万円に抑えられた。さらに、正社員にはある退職金も支給されないという。

(略)

契約社員:正社員と仕事同じ 手当支払い求め日本郵便提訴 – 毎日新聞

日本郵便(東京都千代田区)の契約社員3人が8日、正社員に支払われる年末年始手当などが支払われないのは改正労働契約法に違反しているとして、日本郵便に計738万円の支払いなどを求め東京地裁に提訴した。今後、関西でも9人が同様の訴訟を起こす方針。日本郵便には約19万人の非正規労働者がおり、勝訴すれば大きな影響が予想される。

3人は労働組合「郵政産業労働者ユニオン」(日巻直映<ひまき・なおや>委員長)に加入する浅川喜義(きよし)さん(42)ら時給制の職員。

訴状などによると、浅川さんは2007年6月、6カ月の契約社員として働き始め、15回の契約更新を重ね、郵便物の仕分けや配達などを担当してきた。仕事の内容が同じ正社員には支払われる年末年始勤務手当(12月29〜31日は1日4000円、1月1〜3日は1日5000円)が支給されず、住居手当なども支給対象外。他の2人の原告も、同様に手当がつかないという。

(略)

労働弁護士が、労働契約法20条訴訟と呼称している模様ですが、改正労働契約法を根拠にしての動きが施行後1年経過して出てきた模様です。

第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

この訴訟においては、職務内容に照らしてどうなのかというこの規定の要件に基づく争点がまずあり、その後にそれが不合理といえるのか、そしてそもそもこの規定は私法上の請求権を基礎づけるのかという争点までありうる大変重い論点が存在することになります。

社会的な動きの端緒を担うということで大変慎重な訴訟追行が予測され、意義深い訴訟になるものと思われます。

上記論点についての私見は追って別の記事で述べたいと思います。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。