改革の競争


今日は原稿執筆をしようと思っていたら、変なことが起きたために対応に追われてかなり時間をとられてしまいました。

最近、法律も含めて全然、本を読んでいないのですが、とある記事から存在を知って興味を持ったために、ドイツのシュレーダー前首相についての日本人の著作を読んでみました。

日本では小泉改革と同方向の内容をドイツにおいて行ったということで、社会民主党のはずなのに、保守中道のような政治をして自らの政治生命を縮めてしまい、その成果はドイツ経済の好調としてメルケル首相が享受しているという、要するに、我が身を省みず必要な改革を行ったシュレーダー前首相の功績をたどっている本です。

しかし、その中身は小泉改革より徹底しているようでして、肥大化してしまって極めて重荷になった社会保障を徹底的にカットしまくっています。このため、格差が相当出てきてしまったものの、ドイツの失業率などはかなり改善したというお話です。

功績をたたえているだけではなく、カットしまくったために出てきてしまった副作用についても取り上げているので、別に日本でもこれを見習えというように賛美している本ではありません。日経が出すとなると賛美一辺倒になりそうなのですが、そこは踏みとどまっているところにはかえって説得力があるような気がします。

私は以前、留学生から日本人がイメージする勤勉なドイツ人など存在しないと言われたことがあります。手厚い社会保障のため、ドイツ人は失業保険をもらうことばかり考えていて全然働かないのだというようなことを言っていたのですが、それを切ることで、みんなが働かざるを得ないように仕向けたということなのでしょう。

それだけではなく、化石のようになってドイツの産業を縛っていた産別の労組にも大変な風穴をあけたことが書かれていました。日本の労働法の厳しさは、ドイツのような解雇ほぼ不可能のヨーロッパ型と解雇自由のアメリカの間に位置しているのですが、どうやらヨーロッパの側からの追撃はかなり激しいことがここからも裏付けられました。もっとも東大の大学院にいる際にヨーロッパの労働法の規制緩和の方向性については勉強していたので、再確認でしかなかったのですが。

日本が民主党政権時代にやっていたことは、ヨーロッパではドイツ以外の国がやっていたことと同じであり、それはドイツのみが好調という現在に結実しているようです。

アベノミクスはあまり大規模な規制緩和や改革にはまだ至っていませんが、改革の中身のの国際競争は実はシビアに存在しているのが実際なのだと思います。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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