東京地裁、チャイナ・ボーチーの株式の価格決定に関して株主からの請求を棄却し、一方で株主1人につき10万円の慰謝料請求を認容


ケイマン籍でありかつ中国系企業であったチャイナ・ボーチー・エンバイロメンタル・ソリューションズ・テクノロジー(略称 チャイナ・ボーチー)という環境関連の会社が東証に上場していましたが、MBOを行って上場を廃止になっていました。

その際、反対株主の株式買取請求がなされて、価格で合意できなかったために価格決定の申立てに相当する訴訟提起が東京地裁に対して提起される事態となっていましたが、4月24日に判決が出され、価格決定については請求を棄却しました。

上記では、相当する訴訟というよくわからない書き方をしましたが、チャイナ・ボーチーはケイマン籍の会社であるため、そもそも日本の会社法の適用がないため、会社法所定の価格決定の申立てなどもできないはずのところなのです。会社側は、東京地裁で何らかの司法的な手続きができるように株式譲渡契約を締結するなどして訴訟が提起されたものの、会社側の代理人の交代などもあったとのことで、和解的な解決はできずに、判決に至ったものです。

その結果、価格決定に相当する部分については報道によると請求を棄却された一方、会社の対応のためケイマンで手続きをすることができなかったとして提起した慰謝料請求が認容され、一人10万円が認容されたことが明らかになりました。

チャイナ・ボーチーのMBOは相当な安値であったとの批判を受けるなどして、このような紛争になったわけですが、そもそも司法でも有効になしうる手段が限定的であり、慰謝料とするにしてもその性質上、かなり限界があることが露呈した格好になっています。

なお、上記の判断の基礎になっているのは、日本の会社法の適用があるのは、日本法に基づいて設立された会社だけであるという組織法としての会社法の議論です。

しかし、堂々と東証に上場していたわけであるので、投資家にとっては非常に不十分な事態がまかり通っていることが明らかになってしまいました。

これは法的に乗り越えるのは困難な問題で何らかの立法措置につながるということは期待できないように思えますが、本件事象は関係者の記憶には強く残ることになりそうです。

裁判例情報

東京地裁平成26年4月24日判決

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。