佐賀地裁、ゼミの教官が統一教会からの脱会を勧めた行為を、信仰の自由を侵害したとして8万8千円の損賠賠償を認める


信仰の自由を侵害されたという事実認定がなされて、損害賠償が認められたという大変珍しい裁判例が出ましたので取り上げます。

統一教会信仰侮辱、佐賀大に賠償命令-地裁/佐賀新聞ニュース/The Saga Shimbun :佐賀のニュース

佐賀大の20代の女子学生(当時)と両親が、統一教会の信仰を侮辱され、脱会を勧められ信教の自由を侵害されたとして、50代の男性准教授と大学側に440万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、佐賀地裁であり、波多江真史裁判長は訴えの一部を認め、大学に約9万円の支払いを命じた。

判決によると、准教授は2012年2月、大学の研究室で、当時ゼミ生で学内の学生信者団体代表だった女子学生に、統一教会の教義を批判し執拗(しつよう)に脱会を勧めた。合同結婚式を通じて結婚した両親を「犬猫の結婚」と侮辱するなどした。

波多江裁判長は、准教授の発言は不適切で「信仰の自由を侵害する」と指摘。一方、准教授との会話を無断で録音していた女子学生の目的が、大学によるカルト対策への攻撃材料にするためだったと認定し、「精神的苦痛はさほど大きいものとはいえない」とした。

(略)

国立大学法人なので国家賠償なのですが、不法行為全般に通じるものがあると考えてよいかと思います。

単に脱会を勧めるだけなら別でしょうが、上記のような程度と回数に及ぶと違法性があるということになりましょう。

もっともポイントであるのは、学生側が秘密録音していたことの評価についての下りでして、秘密録音をしているくらいであるので、後で利用する意図があったのであろうから、逆に言うと、精神的苦痛を大きくとらえることはできないとしている点です。

これは信仰の自由があくまで内心の問題であることから、このような言い方ができるものでして、秘密録音があるということからすべからく思惑があると捉えてマイナス評価するわけではないでしょうが、興味深い評価の仕方であり、実務的に注意しておくべき点であるように思われます。

裁判例情報

佐賀地裁平成26年4月25日判決

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。