名古屋高裁、JR東海が、認知症患者が線路に入り込んで接触死亡事故を起こしたため、介護していた家族に損害賠償を請求した訴訟の控訴審で、長男の監督義務を否定して認容額を半額に変更


JAPAN LAW EXPRESS: 名古屋地裁,認知症の男性が線路に入り電車に接触死亡事故を起こした事象につきJR東海が遺族に安全対策が不十分として列車遅延に関する損害賠償を請求した訴訟で請求を認容の続報です。

上記原判決に対しては、認知症患者の介護をする家族の立場からの批判が報道されていましたが、控訴審は、認容額を半分としたものの認知症患者の妻の責任そのものは認めるという判断になりました。

控訴審と原審の判断を分けているのは、介護の実情についての配慮というよりは、ずっと別居していた長男の監督義務を否定したなどの法的構成から半分に減額したという色彩がある模様です。

もっとも妻も介護に務めていたこと、JR東海にも安全配慮義務があったということに言及しており、多くの批判を呼ぶところとなった実態に配慮はしているところもうかがえます。

しかし、原審の大きな根拠となっている、日常の介護におけるかなりの落ち度についてはやはり重視をしており、センサーの電源を切ったままにしてあったことなどについて指摘がある模様です。

原審に寄せられた批判は、ずっと監視していろというか、無理を求めているのではないかという点からの批判だったのですが、本件ではさすがにもう少しやりようがあった模様です。所在確認のセンサーは介護施設では認知症の利用者の部屋には当然のようにつけているものですので、そこを無視することはできなかったということでしょう。

これまた批判を呼ぶことになりそうな判決ですが、細かい事実に照らしていると別の評価もありうるのかもしれません。

裁判例情報

名古屋高裁平成26年4月24日判決

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。