新宿労働基準監督署、カルテや会員制交流サイトの記述などを総合して、過労による自殺として労災認定


いわゆる過労自殺の労災認定の事実認定について興味深い判断がされたことが明らかになりました。

スポーツニッポンの報道が比較的充実していたので引用します。

アニメ制作で過労自殺 カルテに「月600時間」 28歳男性、労災認定 ― スポニチ Sponichi Annex 社会

東京都のアニメ制作会社「A―1 Pictures」に勤め、辞めた後の2010年10月に自殺した男性=当時(28)=について、新宿労働基準監督署が過労によるうつ病が原因として労災認定したことが18日、分かった。遺族側代理人の和泉貴士弁護士が明らかにした。認定は11日付。
和泉弁護士によると、男性は正社員として06年から09年12月まで勤務。会社にタイムカードで労働時間を管理する仕組みはなかったが、通院した医療施設のカルテには「月600時間労働」との記載があった。
新宿労基署は時期を不明としつつ、在職中にうつ病を発症し、その前の2~4カ月に少なくとも100時間を超える残業があったと認定した。
一方、弁護側は男性が残した会員制交流サイトの日記などから発症時期を08年12月ごろと推定。男性が在職中に控えた記録では、それまでの半年の残業時間は月134時間から、多い時で344時間に上ったという。

(略)

上記報道の内容からすると、死亡の前の労働時間はタイムカードがないことから判然としないものの、カルテに本人から聞き取りをしたと思しき内容で労働時間についての記載があったことから、それも参考にしているということがまず注目するべき点と思われます。

また、死亡より前のうつ病へのり患に関する事実に関して、会員制交流サイトでの記述から発症時期を推し量ったり、それ以前の労働時間については本人による控えがあった模様で、それも重視していることが伺えます。

労働時間管理を適切に行っていない場合、どのように立証を行っていくかという問題は、いわゆる労働訴訟でも労災の請求でもパラレルな要素があります。本件は資料が典型な形とは異なる様々な形で存在していた例であり、それを組み合わせたというところに意義深いものがあるように思われます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。