二転三転といった様相を呈していた有期雇用の無期転換の規制緩和ですが,専門職に限って10年に延長という内容に落ち着いた模様です。
対象となる職種は法改正後に決めるとされていますが,年収で区切るという考え方もあるようで,まだまだ具体化には相当かかりそうです。
実際,専門職の有期雇用ということになりますと,どれだけの実例があるかというと微妙であるため,柔軟性のある労働力としての有期雇用や研究職など職種の必要性から有期雇用となっているものなどは含まれないことになると思われます。
すると,各種の業界から緩和を求められていた点についてはほぼゼロ回答というような結果といえると思われます。研究や教育の分野の実態を聞くところによると,コスト増でも仕方がないとして雇用が安定化することにならず,むしろ業界が成り立たなくなる可能性の方が高いような印象を受けました。適用の対象がほとんどない規制緩和という中途半端な規制緩和に落ち着いたため,民主党政権での法改正の影響か今後もじわじわと出てくることになると思われます。
また,高齢者雇用で5年を超えてしまった場合に,無期転換されず,有期で更新することができるようにする内容も盛り込まれることになる模様です。
これも産業界が強く求めていたもので,実のところ継続雇用制度で有期で再雇用しても,65歳で完全にやめてもらうというのはなかなか難しくそのまま続けてもらいたいという事態は日本中に結構あることは私もあちこちで企業の声として聴くところでした。
しかし,労働契約法は無期転換制度特に例外を設けなかったため超高齢者無期社員が出てしまいかねないことは,民主党政権の立法のずさんさを端的に表している非常にうかつな内容でした。この点について手当がされる模様です。
これは当然職種を問わないのだと思われます。
いずれにせよ,雇用の分野における規制緩和は非常に中途半端なものにとどまる模様です。