セクハラ,アカハラを起こしたとして諭旨解雇になった鹿児島大の元教授が,処分を不当として地位確認と慰謝料を求める訴えを提起


セクハラなどの現代的なハラスメントを起こした場合には,懲戒の相場観としては,懲戒解雇までは難しい場合が多いものの諭旨解雇などは十分ありうるくらいの位置づけのように思われます。

しかし,この手の事案の場合,最大の争点はそもそもハラスメントの事実の有無となります。

セクハラ,アカハラがあったとして諭旨解雇された元教授が,事実無根などの様々な点から解雇無効を主張して,訴訟提起をしたことが明らかになりました。

「セクハラは事実無根」 諭旨解雇された元教授が鹿児島大を提訴 – MSN産経ニュース

鹿児島大で平成23年、学生や教員にセクハラやアカハラをしたとして諭旨解雇された教育学部元教授が13日までに、解雇理由は事実無根であり処分は不当だとして、大学などに教授としての地位確認や慰謝料を求める訴訟を鹿児島地裁に起こした。1月31日付。

訴状によると、大学は22年5月、学生や教員にセクハラやアカハラをしたとして、元教授を出勤停止にした。同年12月、諭旨解雇処分とし、退職届けを提出するよう勧告。元教授は23年2月に退職した。

訴状で元教授は「弁明の機会を全く与えず出勤停止にしたうえ、大学関係者との接触も禁じたのは違法だ」と指摘。セクハラやアカハラも事実無根だとして、諭旨解雇は無効だと主張した。未払いの給与や慰謝料計約3670万円も請求した。

(略)

事実無根という点については,事実認定の問題となりますので,今後の審理によることになりますが,興味深いのはその後の主張です。

弁解の機会を与えないで出勤停止にして接触を禁じた点についても違法と主張している点です。

諭旨解雇そのものについては当然,弁明の機会を付与しているのだろうと思いますので,これはその前段階で出勤停止にされてその間に調査が行われたことを指しているのだと思われます。

そしてこれをも懲戒処分としてとらえて,弁明の機会がなかったとして懲戒の有効性の点から違法性を主張するという法的主張だと思われます。

しかし,就業規則には,事実調査のための出勤停止を定める例はよくありますし,それ自体は懲戒とは別物でしょう。鹿児島大の就業規則がどうなっているのかは定かではありませんが,一般的には事実調査のための出勤停止と証拠を確保して保全するための接触禁止は定められている例が現実に見受けられますので,それほどの不当性があるものとは思われません。

この点について裁判でどのような展開をたどるのかは興味深いところです。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。