名古屋地裁が,労働組合活動を嫌悪しての解雇と判断して,解雇を無効とした判断をしたことが明らかになりました。
女子大教授、解雇は無効=「追い出し部屋」拒否訴訟—名古屋地裁 – WSJ.com
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大学から不当に解雇されたとして、名古屋女子大学教職員組合委員長の山井徳行元教授(64)が大学を運営する学校法人を相手に地位確認などを求めた訴訟の判決が13日、名古屋地裁であった。田辺浩典裁判官は「異動命令は退職に追い込み、反発する者を解雇するのが目的だ」と述べ、解雇を無効と認定した。2011年4月以降未払いとなっている月額約52万円の給与支払いも命じた。
田辺裁判官は判決で、学校法人越原学園(名古屋市)が山井元教授ら組合員5人を恣意(しい)的に選んで、教職員研修室での勤務を命じたと指摘。「言動を封じ込め、無意味な単純作業をさせて自尊心を傷つけようとした」と非難した。
判決によると、越原学園は08年3月以降、研修室で組合員に接客マニュアルを書き写させたり、漢字能力検定試験の過去問題を解かせたりした。
文学部でフランス語を教えていた山井元教授は11年4月、異動を拒否して解雇された。他に研修室勤務を命じられた組合員のうち、2人が解雇され、1人が退職している。
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裁判例全文は確認できておらず,上記のように報道からの情報を目にしているのみですが,上記のとおりだとすると,組合活動だからというよりも,いわゆる過度な退職勧奨としての人事異動という類型の問題である模様です。
最近話題に出ることもある,外資系企業や日本企業でも窓際に追いやって仕事を与えないというようなやり方ですが,これが直ちに違法性を帯びるかは別問題であるため,やはり最終的に解雇になっているという点をとらえることには意味がありそうです。しかし,上記のような事実ですと,閑職に回すことの人事異動を拒否できるのかなどという問題が出てきてしまいそうです。その点は組合活動を嫌悪しての異動であるという点をやはり重視すべきで,一般的に閑職においやる人事異動が違法性を帯びるのかは別問題と解するべきでしょう。
ちなみに人事異動を拒否して解雇されているという流れからわかる通り,原告の教授自体はこの閑職への異動は拒否しているわけです。組合活動を嫌悪するあまりの閑職への異動というのはどのような法的評価になるのかは実際に異動させられた組合員が争った場合に問題になるところということになりましょう。
裁判例情報
名古屋地裁平成26年2月13日判決