最高裁,新株発行無効の訴えの請求認容の確定判決の効力を受ける第三者は確定判決について独立当事者参加の申し出をすることによって同判決の再審の訴えの原告適格を有すると判示


昨年11月に民事訴訟法と会社法について大変重要な判示をした判例が出ましたので,遅ればせながら取り上げます。

最高裁判所第一小法廷 平成25年11月21日決定 平成24(許)43 再審請求棄却決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件

 

事実関係

250103

上記の図を参照いただきたいのですが,本件はXが再審を求めている事件です。

再審請求にかかる確定判決は,Y2がY1を相手取って提起した新株発行無効の訴えであり,その内容は,Y1がXに対して発行した新株の無効を主張するもので,Y1は請求を認諾したものの,裁判所は主張を促して証拠調べをして,結論としては請求認容となりこのまま確定しました。

Xは自分の株式が無効となる判断がされたことを判決確定後に知って,独立当事者参加の申立てをして,再審の訴えも提起したというものです。

XはもともとはY1の代表取締役でしたが解任されたという経緯があり,すでに前訴以前からXの株式の有効性をめぐってY1が無効と主張するなど紛争となっていました。そこでXは内容証明をY1に送るなどしていたという事実関係がありました。

そのような中,知らぬ間に新株発行無効の訴えが提起され,実質的に会社が認容するような形で確定していたわけです。

そこで,Xは再審を申し立てたわけですが,果たして再審ができるのか自体から問題となり,仮にできるとしても本件のような場合が再審事由に該当するのかが問題となったわけです。

 

争点1 再審の訴えの原告適格

原決定では問題となっておらず最高裁で浮上したのですが,前提となる争点は,本件のXに再審の訴えの原告適格があるのかということです。

一般的に再審の訴えができるのは,前訴の当事者ということになりますが,そのほかに判決の効力を受ける者も含まれるとされています。すると,Xは前訴の確定判決の効力を受けますから当然に再審の原告適格がありそうですが,そうは簡単ではありません。

会社法は法律関係の画一的確定を重視しているため,確定判決の効力を受けるものが再審の訴えの原告適格がある場合について個別に規定を置いていることがある(責任追及の訴えについて853条1項)のですが,新株発行無効の訴えにはこのような規定を欠いていることから,会社法の規定や対世効があるということだけから再審は認められないようにも考えられるからです。

 

争点2 再審事由に該当するか

第二に問題になるのは,Xを蚊帳の外において,勝手に新株発行無効の訴えを行って,請求認諾のような形になったことが再審事由に当たるのかという点です。

再審事由は,法的安定性のために極めて限定的に列挙されているだけで,唯一広く使えるのが,338条1項3号です。

第338条(再審の事由)
次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。

(略)

三 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。

この1項3号は,訴訟代理人が無権代理であった場合だけのように読めますが,広く解されており,手続保障を欠いた場合を広くここに含めています。

本件の事実がこの3号に該当するのかが原告適格があるとしたうえで次の争点となるわけです。

一見すると,手続保障を欠くことおびただしいので,該当しそうだなと思えますが,会社法の法定安定性の要請から,限定的に解するべきですので,単純に結論づけるわけにはいかないわけです。

 

判旨1 再審の訴えの原告適格

第一の争点について原決定は,Xは共同訴訟的補助参加ができるので,再審の原告適格があるとして,この点は簡単に済ませていました。

しかし,最高裁はこの点について誤りがあるとして,この点だけ捉えて破棄差し戻しを行いました。

最高裁は,要するに確定判決の効力を受けるからというだけで再審の原告適格を認めても,訴訟の当事者ではないことから訴訟行為ができないので,確定判決を左右することができないという点を強調しています。要するに,確定判決の効力が及ぶかだけではなく,再審の中でどのように訴訟行為をできるのかという点も含めて考えないといけないということと思われます。

そこで,共同訴訟的補助参加できる地位だからということではなく,前訴について独立当事者参加しておく必要があるということを述べています。

独立当事者参加しておけば当事者になるわけですから当然に訴訟行為できるわけです。しかし,前訴はすでに確定しているわけですが,その点については再審開始決定があれば訴訟行為できるようになるので,ある意味,再審の訴えと独立当事者参加の申立ての両方をすることが必要という判断をしました。

そのうえで原決定は,Xが前訴確定後に行った独立当事者参加の適法性について触れていないためその審理をするようにとして差し戻しているわけです。

 

判旨2 再審事由に該当するか

さらに最高裁は,再審事由に該当するかについて,やはり会社の場合には特に再審事由を限定的に解するべきという前提からと思われますが,以下のような一般論をまず提示しました。

新株発行の無効の訴えは,株式の発行をした株式会社のみが被告適格を有するとされているのであるから(会社法834条2号),上記株式会社によって上記訴えに係る訴訟が追行されている以上,上記訴訟の確定判決の効力を受ける第三者が,上記訴訟の係属を知らず,上記訴訟の審理に関与する機会を与えられなかったとしても,直ちに上記確定判決に民訴法338条1項3号の再審事由があるということはできない。

被告適格を限定しているのに効力が及ぶものに再審を認めたら,限定した意味がなくな

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サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。