東京高裁,NHKの契約には視聴者の承諾が必要と判断 NHKが通知して2週間で契約が成立するとした10月の東京高裁判決と判断が分かれる事態に


NHKが視聴料について法定手段を行使するようになってから,NHKとの受信契約の成立が法的争点になってしまっていますが,下記のリンクでお伝えした通り,10月に東京高裁は自動で成立するという判断を下しました。

JAPAN LAW EXPRESS: 東京高裁,NHKとの視聴契約について,受信者が拒んでも,NHKが通知をしてから2週間で契約が成立すると判断

これに対して東京高裁の別の部がこのたび,自動で成立することは否定して,視聴者の承諾が必要であるとする判断を示し,反d何が分かれる事態になってしまいました。

NHK受信料「視聴者の承諾が必要」…東京高裁 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

NHKが、9年以上もテレビの受信契約を拒み続ける東京都の女性に受信料約26万円の支払いを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(下田文男裁判長)は18日、「契約の成立にはNHKが受信料を請求するだけでは足りず、裁判を起こす必要がある」との判断を示した。

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その上で、女性に契約を結び、全額を支払うよう命じる判決を言い渡した。

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この日の判決は、「受信契約を定めた放送法には、NHKと視聴者の間で申し込みと承諾の意思が一致すること以外に、契約の成立を認める規定はない」と指摘。申し込めば契約が成立するとしたNHK側の主張について、「根拠を欠く」と退けた。

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誤解してはいけないのは,承諾しなければ支払は免れるというわけではなく,承諾の意思表示を裁判で求めないといけないのかということにすぎません。放送法上,受信契約を締結する義務が生じること自体は前提とされています。

法的には結構大きな違いなのですが,平たい見方をするとNHKが提起する訴訟の請求内容が一つ多いか少なくて済むのかという問題にすぎません。

民法の原則から考えると,さすがに形成権行使のような一方的行為で契約が成立してしまうのはなんとなく変ですので,この判決の方がすんなりと理解できる感じはあります。いずれにせよここまで判断が分かれてしまうと最高裁が判断しないと解決しない事態になってくるものと思われます。しかし,こうなると上訴するか否か自体が戦略として重要になってくる点も否定できないように思われます。

裁判例情報

東京高裁平成25年12月18日判決

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。