韓国大法院,割増賃金の算定の基礎となる通常賃金の範囲に賞与の固定給部分が含まれると判断 人件費が年1兆4000億円増加しかねない事態に


韓国の最高裁にあたる大法院は創造的な判断をするように日本からは見えますが,そのように見受けられる判断がまた一つなされました。

12月18日に韓国の大法院が,割増賃金の算定の基礎となる通常賃金の範囲を,それまで韓国政府の見解よりも広げて,賞与の固定給部分にまで広げたため,割増賃金すべての単価が上がってしまうことになり,総計すると韓国全体で年1兆4000億円の人件費の増加が見込まれる事態に直面してしまったとのことです。

韓国、残業代算定ベース拡大 人件費膨らむ恐れ :日本経済新聞

【ソウル=小倉健太郎】韓国の大法院(最高裁に相当)は18日、残業代などを計算するベースとなる「通常賃金」の構成範囲をこれまでよりも幅広くとらえるべきだとの判断を示した。(略)

韓国政府は従来、企業の通常賃金にはボーナスは含まないという指針をとってきた。これに対し、自動車部品会社の従業員らが会社側と通常賃金の定義を争った裁判で、大法院は通常賃金の範囲をボーナスの固定給部分にも広げた。通常賃金が上がると、残業代や休日出勤手当なども増える。

政府は判決を受けて指針を改定する方針。この通りに適用すると企業の負担は兆円単位で上昇する。経済団体の韓国経営者総協会は、人件費が1年で合計14兆ウォン(約1兆4000億円)弱増えると試算している。

(略)

韓国法は,日本法をベースにしている分野も多く,法制度が似通っているところが多々あります。

割増賃金の計算方法の日本と同様になっており,通常の賃金を算出してそれに割増率をかけて,時間外労働,休日労働の実労働時間をかけることで,割増賃金を算出する仕組みになっています。

その通常の賃金の算定に当たり,賞与は入らないという見解を韓国政府はとっていたところ,賞与の固定給部分も含まれるとのことで,通常の賃金が上昇してしまうことになったというものです。

日経の報道では,これは韓国だから起きたことというような書き振りがうかがえるのですが,そのように言うことの根拠は日本では通常の賃金についての定め方について厚生労働省令で定めがあって賞与は除外されることを規定しているからです。

労働基準法施行規則

第十九条 法第三十七条第一項 の規定による通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の計算額は、次の各号の金額に法第三十三条 若しくは法第三十六条第一項 の規定によつて延長した労働時間数若しくは休日の労働時間数又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの労働時間数を乗じた金額とする。

時間によつて定められた賃金については、その金額

日によつて定められた賃金については、その金額を一日の所定労働時間数(日によつて所定労働時間数が異る場合には、一週間における一日平均所定労働時間数)で除した金額

週によつて定められた賃金については、その金額を週における所定労働時間数(週によつて所定労働時間数が異る場合には、四週間における一週平均所定労働時間数)で除した金額

月によつて定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によつて所定労働時間数が異る場合には、一年間における一月平均所定労働時間数)で除した金額

月、週以外の一定の期間によつて定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額

出来高払制その他の請負制によつて定められた賃金については、その賃金算定期間(賃金締切日がある場合には、賃金締切期間、以下同じ)において出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における、総労働時間数で除した金額

労働者の受ける賃金が前各号の二以上の賃金よりなる場合には、その部分について各号によつてそれぞれ算定した金額の合計額

○2 休日手当その他前項各号に含まれない賃金は、前項の計算においては、これを月によつて定められた賃金とみなす。

 

第二十一条 法第三十七条第五項 の規定によつて、家

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サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。