自分を見誤る


見苦しいといった方がよい散々な末路で猪瀬知事が辞任してしまいました。さすがに1年で辞任というのは異常としかいいようがなく,特筆する業績なしに任期を全うするだけの平凡な知事を下回ることおびただしいということは明らかで能力的に極めて低劣でしかも脇が尋常ではなく甘いことを露呈してしまいました。

猪瀬知事は,まだ作家であった時代に,東大弁論部で東大の学園祭の一つである五月祭の講演に来てもらったことがあります。

行政を追及するような内容の講演だったと記憶していましたし,著作も当時からそういったものが多かったのですが,色々とやっているうちに自分で追及していた相手の役割を自分ならもっとうまくできると思ってしまったようです。もしかしたらそれ以前からずっと,自分でもできると思っていたのかもしれません。

小泉内閣の道路公団の時にも,猟官運動をしていたということは他の委員から随分と漏れ聞こえてくる話でしたので,自分でもできる,むしろ自分がやりたいということだけは一貫していたのかもしれません。

ちなみに副知事になって以降は,自分が目立ちたいということで,自分が絡んでいる形にすることや,自分が格好いいところだけ担うことなどを周りに強要していた節があったようです。そのような形が実現されなかった場合に都職員に対して傲慢な態度をとることもあったようで,そのような態度をとってしまうこと自体,絶対報復を受けることから政治家として見識を問われる事態なのですが,当人にはそのような発想は夢にも浮かばなかったのでしょう。

都営地下鉄と東京メトロの統合も,自分の目玉として推し進めていたことですが,九段下駅の都営新宿線と半蔵門線の間に壁があることは確かに不便ですがそれほど非難に値することがというと微妙で,東京都交通局を東京メトロに押し付けたいことを隠すために,利便性を美名にしていたきらいがありました。今回のことの反動でむしろ統合はすすまなくなるでしょう。メトロは望んでいないでしょうし,大株主である国も株式価値を棄損することを望まないでしょうから。

結局,自分をわかっていなかっただけの人というのが1年も勤められなかった人に対する正しい評価名のではないかと思います。

弁論部で講演会をやってもらったとき,肩書をジャーナリストとしようとしたところ,同期の部員が「猪瀬はジャーナリストじゃない,作家だ」というのでその通りにしたのですが,今となってはこの言葉には深遠な意味があったように思えてきます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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