被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法がはじめて適用され,仙台市で全壊したマンションの敷地が多数決で売却される


震災対応として,民法,建物区分所有法の要件が一部緩和された被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法がさらに緩和されていますが,この改正法の適用事例の第一号が生じたことが判明しました。

被災マンション、跡地売却へ 改正法初の適用 仙台(河北新報)2013年12月10日火曜日

東日本大震災で被災し、解体された仙台市宮城野区の「東仙台マンション」の所有者らが8日、改正被災マンション法に基づく跡地売却の決議を行った。ことし6月に施行された改正法では、売却に必要な同意が「全員」から「5分の4以上」に緩和され、要件を満たす初の適用となった。
市幸町市民センターで開かれた集会には所有者ら約30人が出席。跡地約2370平方メートルを、宮城野区の医療法人に約1億9000万円(見込み額)で売却する決議に、140戸の個人・法人のうち、面積に応じた持ち分比率で委任状も含め9割以上が賛成した。
東仙台マンションは1974年築の7階建て。震災で建物の沈下や壁面の崩落などが起き、市は「全壊」と判定。管理組合役員や不動産コンサルタントら4人が、2012年2月に一般社団法人「東仙台マンション清算協会」を設立し、跡地売却へ向けた作業を進めてきた。建物は12年8月までに解体を終えた。
協会は、所有権の集約や行方不明者2人への対応、10戸に残る抵当権の抹消といった手続きを進め、早ければ来年3月ごろの売却を目指す。
同マンションは改正前、行方不明で意向確認できない所有者がいたため、全員の合意形成が難しかった。震災当時に管理組合理事長だった菅井俊宏さん(42)は「専門家と協力しながら何とか跡地売却までこぎつけた。条件を緩和した現実的な法改正が追い風になった」と話した。
協会の土谷信也代表理事(56)は「被災して困っているマンションの区分所有者に、今回の事例を参考にしてもらいたい」と述べた。

(略)

改正法では,全壊と一部破壊の場合にそれぞれわけて,建替え,敷地売却,取り壊し,取り壊して敷地売却などの本来なら全員合意などの高度な多数決が必要な変更について,区分所有者及び議決権,(関係する場合には敷地利用権も含む)の5分の4で実現できるように改正がされています。

被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法

今回は全壊ですでに解体されているとのことで,敷地の売却というカテゴリになります。

(敷地売却決議等)

第五条 敷地共有者等集会においては、敷地共有者等の議決権の五分の四以上の多数で、敷地共有持分等に係る土地(これに関する権利を含む。)を売却する旨の決議(以下「敷地売却決議」という。)をすることができる。

敷地売却決議においては、次の事項を定めなければならない。

売却の相手方となるべき者の氏名又は名称

売却による代金の見込額

(略)

これが法改正後初の適用事例ということになりますが,この措置が使えるのはずっとというわけではなく期間制限(全部滅失の場合には政令施行の日から3年,一部滅失の場合には1年)がありますので,比較的迅速に動かないといけないという点は注意が必要ということになりそうです。

政令については以下より,平成25年7月31日に公布施行となっています。

法務省:東日本大震災に改正後の被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法が適用されました

 

 

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。