東京地裁,「目標未達なら車売れ」をパワハラとして野村証券に25万円の損害賠償を命じる


パワハラという概念はすっかり定着していますが,どのような態様の行為が該当して,該当したとしてどのような損害賠償額になるのかなどの評価はケースバイケースなのではっきりとは言い難いものがあります。

このたび東京地裁でパワハラの裁判例がさらにだされまして,事例判断として興味深い点が含まれています。

上司「外車売れ、退職届を」野村証券に賠償命令 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

仕事上のミスを理由に上司から退職届の提出を強要されたなどとして、野村証券の元社員の男性が同社側に約530万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(相沢哲裁判官)は13日、パワーハラスメントを認定し、同社側に25万円の賠償を命じる判決を言い渡した。

判決によると、2009年7月から愛知県内の支店勤務となった男性は、支店長から、営業成績の低迷を理由に、購入した外車を売るよう言われたり、日付が空白の退職届を提出するよう求められたりした。男性は社内のパワハラ対応窓口に相談した後、11年11月に退職した。

訴訟で同社側は「原告を発奮させようとしたもので、違法行為ではない」と主張したが、判決は「上司の言動は、部下への指導としての許容限度を超えており、違法だ」と指摘。同社にも使用者責任があるとした。

報道からの情報にすぎませんが,車を売るように言ったことがパワハラと認定されたことが一つのポイントと思われます。額面上は会社内の地位・待遇に関係することではありませんが,あいまって不安を与えるということにつながるということでしょうか。

さらに,退職届を出させたことも同様にパワハラと判断されています。

一方,上記報道では触れられていませんが日経の報道によると,週に1冊本を読むことを勧めて内容を報告させたり,座禅への参加を勧めたとのことですが,これについてはパワハラには当たらないとしています。

パワハラに当たること,当たらないことについて新しく判断された点があるということは注目に値すると思われます。

裁判例情報

東京地裁平成25年12月13日判決

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。