広島高裁松江支部,自治労共済で不正な契約があることを厚生労働省に通報した職員が解雇されたため,解雇の無効確認と未払賃金の支払いを求めた訴訟の控訴審で,解雇無効の原判決を破棄して,解雇有効の判断


JAPAN LAW EXPRESS: 松江地裁,自治労共済で不正な契約があることを厚生労働省に通報した職員が自治労共済から解雇されたため,同職員が解雇の無効確認と未払賃金の支払いを求めた訴訟で,請求を認容の続報です。

上記原判決では,解雇無効と判断されたため,自治労共済側が控訴したところ,広島高裁松江支部は,一転して,解雇有効とする判断を下しました。

上記リンク先の記事で書いておりますが,本件は公益通報保護法に関する事件ではなく,情報の不正取得が理由となっています。

当該職員が職場のパソコンから情報を取得したことをとらえて懲戒解雇しているのですが,控訴審はこの情報取得について以下のような判断をしていることが報道されています。

「解雇は正当」内部通報の男性が逆転敗訴 広島高裁松江支部 – MSN産経ニュース

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塚本伊平裁判長は、田中さんが職場のパソコンから無断で情報を得たことについて「自動車共済をめぐる問題は解決しており、情報を不正に取得する必要はなかった」と指摘。そのうえで解雇したことは「合理的で正当」などとした。

平成23年2月の1審判決は、解雇を無効と認定、県支部に未払い賃金の支払いを命じた。1審判決などによると、田中さんは平成20年10月、自治労共済で不正な契約が行われていることなどを厚労省に通報、21年8月に「内部情報の不正取得」を理由に解雇された。

(略)

要するに,内部通報のために必要な情報取得ではなかったという判断がされてしまったということになります。

上記報道では,通報の時期とそれに対する対応等の時期が不明であるために判断できないのに加え,本件の原判決も公開されていないため,事実関係が全く持って不明で判断できません。

しかし,あくまで懲戒の理由は情報取得であり,公益通報そのものではありませんでした。労働者側は公益通報者保護法の趣旨を訴えていくつもりのようですが,本件のそもそもの問題状況から行くと,前途は難しいでしょう。

裁判例情報

広島地裁松江支部平成25年10月23日判決

 

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。